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ツムラCSR~社会と企業の共通価値創造を目指して~

特集1 がん領域に対する取り組み

世界に先駆けて超高齢社会を迎える日本は、多くの社会的課題に直面しています。とくに国民病ともいわれるがんは、国民の生命と健康にとって重大な問題です。当社では、がん領域を重点領域と位置づけ、漢方治療に関する研究や情報提供を行ってきました。2013年からは、「フォーラムがんと生きる」への協賛を行っています。
特集1では、がん領域(主に緩和ケアや支持療法)に用いられる漢方薬を中心に、製品を通じた社会と企業の利益を両立する活動を紹介します。

日本におけるがんの現状

がんは、1981年より日本人の死因の第1位であり、2014年度には年間約37万人の方が亡くなっています。統計によると、約2人に1人ががんにかかり、約3人に1人はがんで亡くなると言われています。
わが国では、これまでのがん対策をより一層推進するため、2009年に「がん対策基本法」を施行、「がん対策推進基本計画」が策定されました。これに基づくさまざまな施策により、がん対策の進捗はみられるものの、「2015年度のがん死亡率20%減少」という目標の達成は困難であると予測されています。
そのため、2015年には、(1)がんの予防 (2)がんの治療・研究 (3)がんとの共生を3つの柱とした、「がん対策加速化プラン」が策定され、「がん対策基本法」の改正に向けた取り組みが注目されています。
近年では、生存率の向上だけではなく、患者様のQOL(生活の質)や社会とのつながりが重要視されるようになっています。そのため、患者様への情報提供や心理面のサポートなどを含めた包括的ながん医療の実践が強く求められています。

医療現場に対する主な活動

当社は、医師や薬剤師、看護師や介護現場への適正な情報提供活動を行っていますが、MR活動にとどまらず、医療機関や研究機関との連携によるエビデンスデータの構築や学会に対する支援活動などを行い、がん領域に対する漢方治療の適正推進を行っています。

育薬の進捗

育薬処方として掲げている5品目(半夏瀉心湯・六君子湯・抑肝散・大建中湯・牛車腎気丸)は、がん治療にともなう状況でも使用されています。そのなかでもとくに六君子湯と大建中湯に関しては、大規模な臨床試験や著名なジャーナルなどで英語論文が発表され、多くの医療関係者に注目されています。例えばDKTフォーラム※は、全国46施設が参加した過去最大規模の大建中湯に関する治療研究であり、術後の腸管麻痺などについて有意性が報告されています。
※DKTフォーラムは、財団法人がん集学的治療研究財団(JFMC)により2007年に企画・実施された、大建中湯(DKT)の臨床効果を科学的に検証することを目的とした研究組織。「胃・食道班」「肝外科班」「大腸班」「臨床薬理班」「基礎薬理班」の5班に分かれて研究が行われました。

緩和ケアや支持療法の現場で使われる漢方薬

近年、がん治療にともなう「苦痛」をとることに関心が寄せられるようになってきています。治療で低下するQOLを維持・向上するため、心身の状態や気力の充実など「全人的」な医療が求められています。
漢方医学は、ココロとカラダを一体と考え、「全人的」な医療を行うことが特徴です。抗がん剤の副作用、手術や放射線治療の合併症、がんの進行による心身の苦痛などを和らげる手段として、医療現場や患者様にもたいへん期待されています。

社会に対する主な活動

フォーラムがんと生きる(2013年~)

2013年より始まった「フォーラムがんと生きる」(主催:NHK厚生文化事業団、NHKエンタープライズ、読売新聞)は、2015年度までに全国9エリアで開催され、延べ約7,200名の方々に参加いただきました。新しい治療法や薬剤など、がん医療における最新情報だけでなく、地域の取り組みや緩和ケアと支持療法の啓発活動などを目的に、2016年度も下記4エリアで開催されています。

フォーラムがんと生きる(秋田)
NHK厚生文化事業団
http://www.npwo.or.jp/

NPO法人わたしのがんNET(2014年~)

2014年に開設された「わたしのがんNET」は、「がん対策基本法」成立に尽力した故・山本孝史参議院議員を特別代表とし、その妻である山本ゆき子さんを代表理事とするNPO法人です。がん当事者が自ら情報を発信するだけでなく、がんを抱えても最後まで“わたしらしく”生き抜ける社会の実現に向けて活動する団体です。当社では、その趣旨に賛同し協賛を続けています。「フォーラムがんと生きる」の動画配信や「がんカフェ」等イベント開催など、充実したコンテンツがあり、閲覧者数も年々増加傾向にあります。

NPO法人わたしのがんNET
http://www.my-cancer.net/

今後の展開

エビデンス充実/構築への活動とがん患者様への支援の充実

「がん対策加速化プラン」(下記Topics参照)への漢方薬の掲載でもわかるように、がん治療、とくに緩和ケア・支持療法の現場で漢方薬が注目されていることは間違いありません。しかし、がん治療の領域ほど、エビデンスの必要性・重要性が求められている領域もありません。当社では、「DKTフォーラム」のような、大規模臨床試験の実現に対して、さまざまな情報提供や寄付をとおして、貢献していきたいと考えています。また、がん治療にともなうさまざまな社会問題の解決に対して、漢方製剤の供給はもちろん、正しい情報の啓発活動をとおして、社会に対する貢献を続けていきます。

Topics

がん対策加速化プランへの漢方薬の掲載

2015年12月、厚生労働省健康局がん・疾病対策課より「がん対策加速化プラン」が発表されました。これは、2015年6月に厚生労働省主催のもとに開催された「がんサミット」を受けて、基本計画中間評価報告書や最近のさまざまな調査結果などを踏まえ、策定されたものです。
「がん対策加速化プラン」の柱は (1)がんの予防 (2)がんの治療・研究 (3)がんとの共生の3つです。(3)の施策の1つ「支持療法の開発・普及」では、実施すべき具体策として漢方薬に関する記述が掲載されました。
療養生活の質を向上させ、さらに患者様が無理なく仕事と治療を両立できるようにするため、以下の施策を実施することとされています。

  • ・治療に伴う副作用・合併症・後遺症の実態を把握し、それを踏まえた支持療法に関する研究を進める。
  • ・特に術後の合併症・後遺症を軽減する観点から、栄養療法、リハビリテーション療法や漢方薬を用いた支持療法に関する研究を進める。
  • ・患者視点の評価も重視した、支持療法に関するガイドラインの作成に向けた研究を進める。