ツムラグループ コーポレートレポート 2016
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FDAとの協議のもと、2010~2012年に日本にて大建中湯の副作用発現頻度調査を実施しました。本調査の結果はFDAに提出し、日本でも2012年11月医療用医薬品添付文書を改訂し、医療担当者に対して情報提供活動を行いました。大建中湯に含まれる成分の血中濃度推移を明らかにするため、2010年に日本人、2011年には米国人を対象として実施しました。また、日本人と米国人の試験結果について統合解析を行い、人種差がないことを確認しました。さらに、薬物代謝酵素および薬物トランスポーターに関しては、相互作用がないことが確認されました。米国食品医薬品局(FDA)は、2004年に植物製剤の米国内での開発方針を「植物薬ガイダンス」として示しました。当社は、このガイダンスに従い、TU-100の製造・品質管理方法に関するFDAとの合意を図るための活動を推進しています。同時に、手術後の患者様を対象としたTU-100の忍容性試験を実施し、安全性・服薬コンプライアンスに問題がないことを確認した後、2008年6月から社内開発体制を整え、本格的に米国開発に着手しました。2009年からは、健常人を対象とした臨床薬理試験を米国の医療機関で実施し、米国人での消化管運動亢進作用を確認しました。さらに、2010年から機能性便秘症患者様を対象とした臨床薬理試験を、米国の医療機関で実施しました。その結果、TU-100が痛みに影響することなく、内臓感覚閾いき ち 値(直腸感覚、排ガス感覚)の低下に関与することが確認されました。2013年からは、過敏性腸症候群(IBS)患者様の消化管知覚改善作用を対象とし、臨床薬理試験を新たにスタートさせました。あわせて、2014年からIBS患者様での探索的な有効性試験を実施しています。一方、POI※については2014年から腹腔鏡下大腸切除患者様を対象とした臨床試験を実施しています。2011年から実施したクローン病患者様を対象とした有用性探索試験は、2014年度に終了しました。※ POI:Postoperative ileus(術後腸管機能障害)FDAは「植物薬ガイダンス」の中で植物製剤の安全性を重視しており、その情報の提供を求めています。大建中湯の安全性を明らかにするために、日本国内にて副作用発現頻度調査、薬物動態試験を実施し、その結果をFDAに報告しました。また、腸内細菌についても情報が集積されつつあります。当社は常に最新の技術を用いた品質管理をすすめてきましたが、FDAも複数の植物を原料とする生薬製剤の品質評価方法、製品の均一性の評価法について重要視しています。2014年には、バイオアッセイ(生物学的検定法)・HPLC-FP※による植物薬の科学的品質評価法の確立に向け、FDAとの公式ミーティングを実施し、一定の合意を得ることができました。引き続きFDAとのミーティングにて相互理解を得ながら、米国での漢方製剤の上市に向けた活動をすすめていきます。※ HPLC-FP:化学分析法のひとつ(高速液体クロマトグラフィー法による成分 分析)大建中湯の腸内細菌に対する作用については、米国の大学との共同研究をすすめており、DDW2013で発表され、2015年度にはPharmacology Research & Perspective誌に論文が掲載されました。コーポレートレポート 201642

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