ツムラグループ コーポレートレポート 2016
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自然の恵みである生薬を原料とした漢方製剤の製造・販売を事業としており、自然の恵みによって成り立つ事業だからこそ、責任をもって自然と共生するために必要な循環の仕組みと、生物多様性への配慮が必要であると考えています。環境基本方針の「自然の恵みを将来にわたって享受していくため、生物多様性の保全に配慮した取り組みを行います」に従って、生薬生産地の生物多様性の保全と、持続可能な生薬採取を実現するため、漢方薬の原料となる野生生薬の栽培化や保護育成に取り組んでいます。除草剤や殺虫剤などの農薬に頼る現代の農業は、環境に対する負荷が大きいといわれていることから、生薬の栽培に際して、農薬使用に配慮しています。例えば、環境負荷の軽減のため、農薬の使用量が最低限になるように指導しています。また、近隣の生物への影響が懸念されるため、農薬が飛散しないように細心の注意を払うなど、その種類や使い方を規定し、環境に配慮した管理を行っています。このような取り組みが地域の豊かな生態系を守り育むことにつながると考えています。栽培の前段階では生薬の自生地の調査と種の同定を行ってきました。絶滅危惧種を含む野生植物の調査・研究に関わる国際的学術雑誌「植物研究雑誌」を刊行し、漢方薬の基本となる薬用植物の遺伝子把握に長年取り組んできました。2016年には、創刊100周年を迎えて100周年記念事業を実施しました。漢方薬の安定供給において、野生生薬の栽培研究は原料生薬を持続的に供給するために重要な課題です。その生育・収量・品質は、産地の気候・土壌・栽培年数・収穫時期などの環境要因や遺伝的な要因、収穫後の乾燥・加工条件などによって影響されることが知られています。野生生薬の栽培化によってこれらの条件が変化することから、栽培研究と品質研究を両輪とする生薬研究に取り組んでいます。生薬の品質は日本薬局方・日本薬局方外生薬規格などの規格に適合しなければ漢方薬の原料生薬として使用することができません。そのため、外部形態的特徴・遺伝子鑑定技術に関する研究を行い、これらに基づいて正しい基原の薬用植物を用いて栽培研究をすすめています。栽培研究において生産性を高めることも重要な課題であり、機械化による大規模栽培技術の導入や栽培技術の改良研究を行っています。優良品種育成、採種技術の改良による発芽・生育の均一化も必要です。これらの研究によって品質の安定化を目指しています。また、除草の効率化、病虫害の防除を行うために、最低限の農薬の使用は必要となります。このため、薬用植物に対する薬害、有効性、農薬の残留性などの面から最適な農薬の選択に関する研究に取り組んでいます。この研究結果を踏まえて、国内においては関係研究機関などと協力して農薬取締法に基づく農薬登録をすすめています。野生植物は、外部形態、含有成分、病虫害への抵抗性など、さまざまな形質において個体変異を有する集団からなります。こうした個体変異は、遺伝子レベルでの多様性を反映したものです。野生植物の遺伝子の多様性を保全し、持続的な利用を図ることが重要な課題です。コーポレートレポート 201662

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