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漢方は日本育ち

漢方医学は日本の気候や生活に根付いた医療

日本に中国から医学が伝わったのは5~6世紀以降。その際、多くの漢方処方薬や生薬、医学の本が持ち込まれました。
その後、室町時代までは伝来した中国の医学にそって医療(診断や治療)が行われていましたが、それ以降は日本で独自の発展を遂げていきます。日本国内の風土や気候、日本人の体質やライフスタイルに合った医学に進化し、確立していったのです。
現代医療で用いられている漢方医学や漢方薬は、日本の伝統医学としてずっと守られ、発展していった「日本独自の医学」と言えるでしょう。

「漢方」という言葉も日本独自のもの

「漢方」という呼び名は、江戸時代に入ってきた「オランダ医学=蘭方」に対してつけられた日本独自の呼び方です。オランダから伝わった西洋医学をオランダ(阿蘭陀)の蘭をとって「蘭方」と呼ぶようになったため、それまでに日本で定着していた医学を「漢方(漢王朝の”漢”に由来)」と呼んで区別するようになったのです。

診察の方法も日本独自

漢方の診察では、舌や脈、おなかを診ます。実はこのおなかを診る「腹診」は、日本で考え出された独自の診察法です※。 また、漢方薬を処方する際に目安にするのが、その人の体質です。その体質を判断する“ものさし”の一つに「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。この「気・血・水」という考え方も日本独自で、鎖国のまっただ中だった江戸時代に生まれたものです。
※西洋医学にも「腹診」という方法があります。同じようにおなかを診ますがその方法、目的などが異なります。

日本では医師が西洋薬と漢方薬を一緒に処方できます

2015年2月現在、148処方の漢方薬が健康保険で使えるようになっています。健康保険が使えることになったことで、より漢方薬が身近になり、病医院で漢方薬を処方するケースが増えてきました。
西洋薬と漢方薬が一緒に処方されることにより、幅広い治療が可能になります。

日本で漢方薬を処方するのは、西洋医学を学んだ医師です。西洋医学と漢方医学、両方の視点から患者を診て、その人にあった薬を処方するという医療システムは、世界的にみても非常にまれなことです。

漢方を学ぶ場ができました

医学教育の改革の一貫として、2001年に大学の医学教育カリキュラムのなかに、漢方を学ぶ項目「和漢薬を概説できる」が新たに加わりました。これにより、医学生は卒業までに、漢方独特の診断法や概念、漢方薬の使い方などについて学ぶことになりました。

ただ、医学生は卒業までに覚えなければならない医学知識が多く、授業だけで漢方の細かい部分まで学ぶことはできません。そこで、医学部を卒業した後にも漢方を学べる「卒後教育」に関心が持たれるようになりました。すでに医学部や医科大学、一般の総合病院のなかには、卒後教育のためのプログラムが用意されているところも多く、漢方に興味を持った医師や研修医がそこで漢方の知識を習得しています。このように漢方を学ぶ場は増えてきているのです。

海外でも注目されている漢方

最近では、漢方薬について西洋医学の評価法によって検証が行われ、その有効性が実証されてきています。漢方薬は経験に基づく伝統医学というだけでなく、科学的な根拠に基づく医学(Evidence Based Medicine)といえるようになりつつあるのです。

現代の漢方は海外でも注目されていて、アメリカ国立衛生研究所(NIH)でも代替療法を研究する部門(NCCAM)ができました。また米国消化器病週間(DDW)でも漢方薬の効果についての論文が発表され、多くの医師の関心を集めています。

コラム1 :代替医学とは

ヨーロッパのアロマテラピーやインドのアーユルヴェーダのように、世界各国にはその土地、あるいは国に由来するさまざまな療法が存在しています。代替医療(CAM: Complementary & Alternative Medicine※)は、こうした療法をまとめた呼び名で、「現代医学に代わる(代替する)療法」といった意味があります。漢方は、日本では医師によって治療が行われるため、代替医療であるとは一概に言えませんが、NCCAMではアーユルヴェーダ、鍼灸、カイロプラクティックなどと並んで、漢方も代替療法として挙げられています。

コラム2 :米国消化器病週間(DDW)とは

米国消化器病週間(DDW)は、米国消化器病学会(AGA)、米国消化器内視鏡学会(ASGE)、米国消化管外科学会(SSAT)、米国肝臓病学会(AASLD)の4つの学会が共同で運営している、消化器病の分野ではもっとも大きい規模を誇る学術集会です。毎年行われていて、世界中から1万数千人の医療関係者や研究者が参加しています。

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