男性の更年期に多い特徴的な「3つの課題」
その本音は、男性は自分が現役から
遠ざかることを認めたくないから
女性の更年期は閉経という生物学的現象ですが、
男性の更年期は自分を取り巻く環境において、自分らしさを発揮できない場合に症状が現れます。
今回の調査結果から、
男性の更年期症状を取り巻く環境には、
「言いにくい」「認めたくない」
「対処法がわからない」という3つの課題が
あることがわかりました。
なぜ、認めたくないのかといえば、
男性は自分が更年期であることを
認めてしまうと、
加齢を受け入れて“現役”から遠ざかるような気が
してしまうからです。
若々しくいきいき仕事をする現役世代に対し、
更年期には現役を終えつつある世代
というイメージがあります。
今回の調査でも約7割以上が更年期に
ネガティブなイメージを持っていましたが、
ネガティブなイメージがあると、
症状を誰かに相談することが難しくなります。
男性は、精神的な苦痛や肉体的な疲労を
他人には訴えず、
また自分でも認めないという傾向があり、
その結果として対処法がわからない、
という悪循環に陥りやすいのです。
男性の性格的な傾向や
更年期の持つイメージから、
男性の更年期の症状には「3つの課題」が大きな
ハードルとなっていると考えられます。
男性の更年期の時期は「人生のハーフタイム」
後半戦をより有意義なものにするための
整え期間
かつて現役を退くことは、隠居して社会的な存在
ではなくなることを意味していました。
しかし、超高齢社会では、
社会との関わりはさらに長くなり、
その中で自分らしい人生を送ることが
課題になっています。
更年期は、
例えるならサッカーやラグビーの
ハーフタイムのようなもの。
前半戦の試合を終え、疲労を感じ、
息が上がっているような状況です。
ひどく疲れる人もいればそうでもない人も
いるように、症状の大小に差はあれど、
ここでうまくコンディションを整え、
よい後半戦に臨むことが肝心です。
よいコンディションをつくっていくために
情報収集したりアドバイスをもらったりし、
現状をしっかり分析しましょう。
更年期とは人生の前半戦は
終わったことを意味しますが、
決してネガティブな時期ではなく、
これから人生の後半戦に向けて
準備をし整える時期です。
健康問題はオープンに話し合うことで、
自分に合った解決策やサポートが
見つけられる可能性が高まります。
無理に打ち明ける必要はありませんが、
症状を知ることは大切です。
男性の更年期は社会的ストレスが要因と
なりやすいので、何が要因かを具体的に探り、
ストレスから離れるために周囲のサポートが
必要な場合は、そのことを伝えてみるのも
良いでしょう。
更年期は誰もが迎える人生のハーフタイムです。
人生の後半戦をより有意義なものとするために、
心身ともに整えましょう。
更年期の不安ごとは、
男性の守護神「泌尿器科」に相談を!
今回の調査では、更年期症状に対して対処法が
わからない男性が約8割を超えていました。
更年期の男性は、若いときのようなエネルギーが
なくなった、周囲から十分に評価されていない、
仕事にやりがいが感じられないなど、
ネガティブな感情を抱きがちです。
そんなネガティブな感情にとらわれるのでは
なく、人生のハーフタイムと受け止め、
仕事や家族、プライベートについて考え、
生きがいを見直し、
体調を整えることを優先しましょう。
男性の更年期は症状を
我慢してもよくなりません。
更年期症状をはじめ、
心身の不調などの症状が現れた場合は、
泌尿器科医を受診してください。
泌尿器科の「泌」は分泌、
すなわちホルモンのこと。
泌尿器科は男性の守護神です。
日本メンズヘルス医学会のホームページ
(https://mens-health.jp)では
全国の専門医を紹介しています。
お気軽にご相談ください。
堀江 重郎(ほりえ・しげお)先生
泌尿器科医、医学博士
順天堂大学医学部 泌尿器外科学講座・遺伝子疾患先端情報学講座・デジタルセラピューティクス講座 主任教授
日米で医師免許を持ち、手術ロボット ダヴィンチを駆使した前立腺、腎臓手術のトップランナー。
男性ホルモンの低下に起因する様々な疾患の診断と治療を行う日本初の「メンズヘルス外来」の立ち上げなど、
日本の男性医療や科学的アンチエイジングをリードする。
発足から22年目を迎える日本メンズヘルス医学会の理事長。日本抗加齢協会 理事長。
著書に「男性の病気の手術と治療」(かまくら春秋社)、
男性更年期障害(LOH症候群)について解説した「LOH症候群」(角川新書)など多数。