INTERVIEW わたしの#OneMoreChoice

誰もが心地よく生きるための
新しい選択肢についてお話を伺いました。
いろいろな選択肢から、あなたにとっての
#OneMoreChoiceをみつけませんか?

#013

「早い対処と、周囲への共有を大切に」
俳優の北村有起哉さんが考える、
更年期との向き合い方

北村 有起哉さん/俳優

2021年から、不調や「隠れ我慢」について
発信をしてきた #OneMoreChoice プロジェクト。
これまでもライフステージごとの健康や、それらを
取りまく課題と対策について対話を重ねてきました。
今回は、更年期世代とその時期の不調に関する
コミュニケーションについて、
俳優の北村有起哉さん、
高野志穂さんご夫妻に伺います。
地方での長期の撮影など心身へ負担も
多いお仕事をこなす2人は、
日々のストレスや体調不良に
どのような対処をしているのでしょうか。
前編は「パートナーと心配をかけ合うのは
当たり前」と話す北村さんにお話を聞きます。

2021年から、不調や「隠れ我慢」について発信をしてきた #OneMoreChoice プロジェクト。
これまでもライフステージごとの健康や、それらを取りまく課題と対策について対話を重ねてきました。
今回は、更年期世代とその時期の不調に関するコミュニケーションについて、
俳優の北村有起哉さん、高野志穂さんご夫妻に伺います。地方での長期の撮影など心身へ負担も多いお仕事をこなす2人は、日々のストレスや体調不良にどのような対処をしているのでしょうか。
前編は「パートナーと心配をかけ合うのは当たり前」と話す北村さんにお話を聞きます。

「まだまだいける」の
自己暗示がある世代?

――北村さんは「更年期」という言葉に
ついて、
どのようなイメージをお持ちでしょうか。

実のところ、今回の広告への出演と
このインタビューのご依頼を
いただいて
自分で調べてみるまでは、
ぼんやりとしたイメージしかありませんでした。

病気なのか、老化なのか。
精神的、肉体的にどんな症状があるのか……
そのあたりもわからず、
特に女性のイメージが強くあったので、
男性にも更年期に症状が生じるとは
認識していませんでした。

あまり勉強できていなくて
自分ごとではなかったので、
知る機会を持ててありがたく感じています。

――ツムラの調査によると、
更年期症状を自覚する
男性の63%が「周りに言いにくい」、
58%が「症状があっても認めたくない」
と感じているといいます。

個人的には、調子が悪いことを周囲に伝えるのが
恥ずかしい、
ということはあまりないんです。
俳優という仕事柄、
「代わりがいない」という意識が
人より強くあって、
好きでやっている仕事ですし、
正直、気合いで乗り越えることが
多いかもしれません(笑)

ただ、更年期症状の場合は、インフルエンザ
だったり、
交通事故で骨折したり、そういった
わかりやすい症状ではないからこそ、
言いにくいんだろうなと思います。

僕自身、年齢的にも体力の衰えが始まる時期だと
感じていますが、
周囲を見ても
「まだまだいけるのでは」と
自己暗示を
かけている人が多いと感じています。

老いていく自分を受け入れにくい、
認めにくい時期というか。
そうすると、誰かに話すことも億劫になって
しまうので、
難しいですよね。

――更年期症状に対処するにあたり
「周囲に言いにくい」「認めたくない」
「対処法がわからない」
という
3つの課題があることも分かっています。
不調を抱え込まないために、
何が必要だと思いますか。

まずは、「周りに気を遣わせ過ぎないためにも、
自分の不調を治す」
という意識を持つことが
必要だと思います。

例えば今の御時世、
ゴホゴホ咳をしながら仕事をしている人がいたら、
周囲もセンシティブになりますよね。
忙しいことを言い訳に病院へ行かなかったり、
体調不良を抱え込んでいたりすると、
結果的に周囲に気を遣わせてしまう場合が
多いと思います。

自分の不調を見て見ぬふりするのではなく、
自覚して、
むしろオープンに共有した方が、
結果的には良い方向に働くはず。
共有できれば、仲間内で良い病院やお医者さんを
紹介できることも
あるじゃないですか。

それこそ僕も最近は、
膝が痛い仲間がどんどん増えてきて、
みんなで
整体師さんを紹介し合ったりしていますよ。
そういう経験を重ねていけば、
自分だけで不調を抱えることも
少なくなるのではないでしょうか。

あとは興味を持って調べることも
重要だと思います。
身近な人や自分に更年期症状が
あらわれたときに、
知識があって、
情報を知っていれば対応できますよね。

なにより自分自身に更年期症状があらわれても、
対処法を知っていれば慌てたり抱え込んだりせずに
行動できると
思いますし、友達と話をしている中
でも、
「もしかしたら更年期症状じゃない?」
と示すこともできる。

理解できれば怖くないし、オープンに共有できて、
そこで早く対応できれば、
回復にもいい効果が
もたらされるんじゃないかなと思います。

早いうちに適切な対処を。
その学びが選択肢に

――現在のライフステージとして、
「更年期」の症状に限らず
「なんとなくの不調」や
「隠れ我慢」を実感することはありますか。

これまでは睡眠時間は
5〜6時間あれば十分でしたが、
さすがに足りなくなってきましたね。

子供が産まれてから、
仕事がない日の方が
タフになったことが原因な気もしますが(笑)、
それでも疲れが残りやすくなってきたと感じます。

――そうした疲れによるストレスや不調には、
どのように対処されていますか。

元々の性格もありますが、
ストレスや精神的な不調は、
なるべく溜め込まないようにしています。

長文のセリフを覚えなければいけない時など、
ストレスを感じる場面は多くありますが、
そういうネガティブな感情に対しては
「あえて鈍感になる」ことを意識しているんです。

身体の不調の場合は、
仕事への影響に直結するので、
放ったらかしにせずすぐに病院に
行くようにしています。
早いうちに適切な処置をしてもらう経験を
長年にわたり重ねてきたからこそ、
自分にとって最適な選択肢がわかっている。
この仕事をしていくうえで、
とても大事なことだと思います。

自分の前では、疲れを我慢せず
共有してほしい

――パートナーが隠れ我慢をしている様子を
見たことはありますか。

しょっちゅうありますよ。
子育てをしながらどんどん痩せていって、
大丈夫だろうかと心配になった時期がありました。

そんなとき、彼女が泊まりがけで地方ロケがあり、
10日間くらい僕がワンオペで
家事育児などをやったのですが、
その大変さを身にしみて感じました。
「こんなに大変であれば、確かに疲れて
痩せてしまう」
と気づきましたね。

それからというものの、
大変そうな時は休むように声をかけたり、
体調が悪そうであればクリニックを紹介したり、
そこまで車で送迎をしたり。
腰を痛そうにしていたら、
仕事現場で聞いた良い治療院を紹介してみたり。
お互いに情報を収集して、
共有するようにしていますね。
自分の前では、疲れた姿を共有してほしいなと
思うようになりました。

だって、家族が心配をかけ合うのは
当たり前じゃないですか。
自分のことって割とおざなりになりがちなので、
一緒に過ごしている「自分以外」の存在が、
一番気遣ってくれます。
また自分も、相手にとって一番、
気遣える存在でありたいな、と。

たまには、
ため息をついて家に帰ってきてもよくて、
それに気づくかどうかが大切。
根底には常に感謝の気持ちがありますから、
僕はできる限りサポートをするように
したいなと思います。

――パートナーが体調不良になったり、
今後、更年期を迎えて症状があらわれたら、
どのような言葉をかけ、寄り添いたいですか。

とにかく休んで、旅行にいってもいいだろうし、
気晴らしになることをするでもいいですし、
そのときに彼女がしたいことを
最優先してもらえるようにサポートしたいですね。
一人で美術館に行きたいなら
行ってきてもらいたいですし、
それがもしルーブル美術館だと言われても、
どうぞいってらっしゃいと、
送り出してあげたいですね。

北村有起哉(きたむら ゆきや)
1974年生まれ。東京出身。
1998年に舞台『春のめざめ』(串田和美演出)と
映画「カンゾー先生」(今村昌平監督)に
出演しデビュー。
舞台『CLEANSKINS / きれいな肌』(栗山民也演
出)で朝日舞台芸術賞寺山修司賞を受賞。
近年の出演作には、舞台「夜の女たち」(22)、
映画「ヤクザと家族 THE Family」(21)、
「すばらしき世界」(21)、「終末の探偵」(22)、
ドラマ「エール」(20/NHK)、
「ムショぼけ」(21/ABC)、
「舞妓さんちのまかないさん」(23/Netflix)
などがある。
待機作に映画「有り、触れた、未来」、
「GOLDFISH」、
「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」、
ドラマ「ウツボラ」(WOWOW)などが控える。

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2023.01.31
※掲載内容は、取材時点での情報です

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2023.01.31
※掲載内容は、取材時点での情報です

これがわたしの#OneMoreChoice

これがわたしの#OneMoreChoice

──最後に、北村さんの「わたしの#OneMoreChoice」、
自分なりの選択肢について教えてください。

「ずっと頑張らなくてもいいよ」。

頑張る時と頑張らない時の、
スイッチのオンオフを大切にしています。
例えば僕は、撮影前のメイク中にでも
すぐに眠ったりするんですよ。
はたから見ると頑張っていないように映るけれど、
僕にとっては重要なリフレッシュの時間です。
そんな感じで、ずっと頑張り続けるのではなく
自分なりのオンオフを見極めながら、
自分や家族の体調を労っていきたいと思います。

北村有起哉