
誰もが心地よく生きるための
新しい選択肢についてお話を伺いました。
いろいろな選択肢から、あなたにとっての
#OneMoreChoiceをみつけませんか?
マリウス葉さんが
海外経験や実体験を経て自ら実践する、
「隠れ我慢」を減らす2つのステップ
マリウス葉さん
心身の不調に対する「隠れ我慢」を減らし、誰もがもっと心地よく生きられる健やかな社会づくりに貢献しようと、ツムラは2021年3月から #OneMoreChoice プロジェクトを続けています。
2022年にSexy Zone(当時)を脱退後、スペインの名門大学の「IE大学」に留学し、哲学や政治・法律・経済を学び、この7月に同大学を卒業したばかりのマリウス葉さんにお話を聞きました。
かつて芸能活動と学業とのハードな両立により、心身に不調をきたした経験があるというマリウスさん。多様な海外経験や幅広い学びを踏まえて、「隠れ我慢」についての考えや、ご自身も実践しているという「隠れ我慢」への対処法について語ってくれました。

心身の不調に対する「隠れ我慢」を減らし、誰もがもっと心地よく生きられる健やかな社会づくりに貢献しようと、
ツムラは2021年3月から #OneMoreChoice プロジェクトを続けています。
2022年にSexy Zone(当時)を脱退後、スペインの名門大学の「IE大学」に留学し、哲学や政治・法律・経済を学び、
この7月に同大学を卒業したばかりのマリウス葉さんにお話を聞きました。
かつて芸能活動と学業とのハードな両立により、心身に不調をきたした経験があるというマリウスさん。多様な海外経験や幅広い
学びを踏まえて、「隠れ我慢」についての考えや、ご自身も実践しているという「隠れ我慢」への対処法について語ってくれました。
自分でも気づいていない不調を
「隠れ我慢」していませんか
──女性の約8割が「隠れ我慢」をしている
という調査結果について、
どう思いますか?
調査結果を聞いて、率直にすごく驚きました。
そもそも「隠れ我慢」という言葉に、
日本独特のニュアンスを感じています。
周囲との調和を大事にしすぎて、
知らないうちに我慢しすぎてしまう人も
少なくないのだと思います。
女性はもちろん、「隠れ我慢」している男性も
多いのではないでしょうか。
僕自身、父がドイツ人で、
幼い頃からドイツで教育を受けて、
10歳から日本で芸能活動をしてきました。
ドイツでは疑問に思ったことについて、
子どもの頃から「なぜ」と周囲に問いかけるのが
普通だったのですが、
日本では、システムやルールなどについて疑問に
思うことがあっても
「なぜ」と聞かずに我慢して慣れなければ
いけない、
と自然と教わってきました。
不満や不調があったとしても、表情にも
出してはいけない、
と思い込んでいました。
20歳を過ぎて芸能活動を休止して、
スペインのIE大学に編入。
ヨーロッパに戻って、自分が「隠れ我慢」を
してきたのだと
初めて気づきました。
自分で不調に気づいて、
周囲に言えずに我慢していることもあれば、
自分自身すらも気づいていない、
無意識の不調を「隠れ我慢」して
頑張っていることもあるのではないでしょうか。

心身の健康への意識や自己肯定感が異なる、
日本とヨーロッパ
──海外での経験から、
日本とヨーロッパでは
どのような違いがあると思いますか?
日本では比較的、
我慢をしすぎるのではないかと思います。
それは周囲との調和を大事にしすぎるからでは
ないかなと。
ヨーロッパでは逆に、
もう少し我慢をしたほうが
いいのではと思うこともあります。
我慢には良い我慢と悪い我慢があると思います。
筋トレの筋肉痛や徹夜での勉強など、
一時的に我慢をして成し遂げられることも
ありますが、
我慢をしすぎると心や体に
不調をきたしてしまいますよね。
どちらかが良いということではなく、
僕はバランスが大事だと思います。
時と場合によって我慢することがいいことも
ありますが、
「いやだ」「つらい」と体が感じたら、いやです、
無理です、
ということを伝えることは
すごく大事だと思います。
一方で、伝え方も重要です。
本当は我慢が積み重なって、
「ワーッ」と
叫びたいこともあるかもしれませんが、
自分の状況を客観的に見て、
冷静に伝えることが大事ですよね。
僕はスペインの大学に2年在籍しましたが、
スペインでは「我慢するのはよくない」という
カルチャーを強く感じました。
お昼に長い休憩をとって、
仕事や勉強で疲れたら昼寝をしようという
「シエスタ」文化が根付いていて、
スペインの企業も従業員にシエスタができる環境を
つくらないといけないんです。
昼休みも1時間では短いので、3時間程度。
銀行もお店も、13時か14時ごろから
16時か17時ごろまで昼休みをとります。
カスタマーファーストではなく、
働く人の心身の健康が制度的にも守られている
ことは
とてもいいことだと感じました。
一方で、他の国とGDPや成長率などを比較すると
良くないのではないかとも言われています。
この21世紀において、GDPで国ごとの経済を
比べるのは古いのではないか、
今は幸福度の
レベルを比べるのがいいのではないかと、
同じZ世代の友人たちと議論したこともあります。
スペインのライフスタイルの方が
比較的プレッシャーや我慢が少なく、
幸せを意識しながら自分がやりたいことを
選択できることは魅力だと
口々に話していました。
ドイツでは、心の不調と体の不調を気遣うことは
同じぐらい大事だという位置付けです。
会社が従業員のケアをするのはもちろん、
職場でも同僚同士のコミュニティ意識が
比較的強いと聞きます。
仕事に対して、同僚に対しての意識が
日本とは違い、
悩みや心身の不調について
相談しやすい環境ではないかと思います。
──日本では我慢をする理由として、
「休むことで仕事や家事に支障が出る」、
「周囲の仕事を増やして負担をかけたくない」
という方が多いのだそうです。
よくわかります。
家族の絆、社会の絆は日本もドイツも
強いと思いますが、
日本の方が、
「私は大丈夫だよ」と言いながら、
自分を犠牲にしてまで周囲に合わせてしまう人が
多い傾向にあると思います。
迷惑をかけたくないとか、
わかってもらえない気がするとか、
いろんな理由があるのではないでしょうか。
それは、
自分自身へのリスペクトが
低いことによるものではないかと思います。
自己愛、自己肯定感の低さとも言えます。
周囲の人を大切にする気持ちと同じくらい、
またはそれ以上に、
自分のことも大切に思うことができれば、
比較的我慢をしなくて済むのではないでしょうか。
もしかしたら、自分の不調や、我慢をしていること
自体にも
気づいていないのかもしれません。

自分自身との関係性を見直そう。
日記を書き続けて得られる「気づき」
──そんな「隠れ我慢」を減らすには、
どうしたらいいと思いますか。
まずは、自分との関係性を見直して
自分自身を大切にすることが、
最初のステップだと思います。
具体的に実践していることとして、
僕自身、日記を書くようにしています。
ペンを持って日記帳に書いてもいいし、
スマホのメモやアプリを使ってもいいし、
音声入力や、ボイスメモを使って音声のまま
残してもいいと思います。
とにかく自分自身のことや、
自分が考えたことや感じたことに向き合って、
言葉にしていくのが大切だと考えています。
マイルールとして、
1日3ページなどと決めて書き続けます。
最初は僕も難しく、
「何を書けばいいか
わからない」と書いたりしていました。
2日目、3日目と続けていくうちに、
自分の心や体の様子に向き合った内容を
書くようになります。
「なんとなくイライラする」といった
自分の様子を書いてみることで
その日の出来事を振り返り、
「昼間、電車の中でお年寄りに席を譲らない人を
見てしまったからだ」
と思い出したりします。
そのうちに、
「実は子どもの頃からこんなことが嫌だったんだ」
と、
幼少期から無意識のうちに背負ってきた
ストレスに気づいたり、
心の健康が崩れることで
体の健康も損なってしまうことに
気づいたりしたこともありました。
とにかく、自分自身への「気づき」をもたらす
きっかけを
作ってあげることが
ファーストステップだと思います。
自身の不調との向き合い方で重要なのは、
「どうしたらよくなるか」と対処法を考えて、
不調を解消・解決する方向に向かうことです。
「誰かのせいだ」とか、
「なぜあの人はこうしてくれないのだろう」、
「私はこんなに頑張っているのに」と
ネガティブな方向に向かっていくと、
より自分を追い詰めてしまいます。
日本では心身がギブアップしてから
カウンセリングや治療を始める人が
多いと思いますが、
もっと早い段階で小さな異変に
気づいて、対処することができたら、
回復も早いのではないでしょうか。
自分自身の変化を大切にすることで、
自己肯定感も次第に高まってくるのではないかと
思います。
周囲が話しやすいよう、
「大丈夫」の「その先」を尋ねてみよう
──ステップ2はなんでしょう。
自分に向き合って悩みや心身の不調に気づいたら、
やはりステップ2は、話すこと。
人それぞれ、抱えている痛みや悩みは違うので、
話さないと伝わらないですよね。
例えば生理痛がつらい時、
女性は無理して
「隠れ我慢」をする必要はないと思います。
生まれ持った自然なことだから、
あたりまえのように周囲に話してもらえたら
いいな、と。
男性は生理痛に苦しむことがないからこそ、
耳を傾ける責任があると僕は思っています。
風邪をひいて具合が悪かったら、
周囲の人や職場に伝えて仕事を休んだり
セーブしたり、
できないことを助けてもらったり
しますよね。
僕は大切な友人が生理やPMSでつらいときに
頼ってくれたら、
ご飯を作ってあげるなど、
サポートすることもあります。
もちろん、全員にサポートしてあげることは
できません。
バランスが大事で、自分も相手も負担に
ならない程度に頼り、
頼られるという関係性が
大事。
周囲に伝えてみることで、周りの人が動いたり、
自分の気持ちが整理できたりして、
解消・解決できることも多いと思います。
案外、話してみると拒絶されることは
少ないものです。
周囲の人も我慢せず
話してみてほしいと思っているはずです。
一方で、話してみたらあまり聞き入れてもらえず、
拒否反応を示されたとしたら、
その相手自身に余裕がないとか、
不調だというサインなのかもしれません。
──不調を話してもらいやすい環境をつくるため、
マリウスさんが心がけていることはありますか?
友人に「最近どうなの?」と聞いてみて
「大丈夫」と言われても、
「大丈夫ってどういうこと?」と、
もう一回尋ねるようにしています。
それで、「私は元気だから大丈夫!」とか
「面倒くさいなあ」と言われたら、
それは本当に大丈夫なんだなと
思うようにしています。
一方で、そこで黙り込んでしまったり、
「話したくない」と言われたら、
「何かあったらメールや電話でも聞くから、いつでも話してね」とか、
「いま散歩しているから、近くまで行って会うこともできるよ」と、
ドアを開けていることを伝えるようにしています。
僕自身、すごく悩んでいた時に、
「大丈夫」と口では言っていても
実は大丈夫じゃない時がありました。
そんな時にもう一回、
「大丈夫ってどういうこと?」、
「本当に大丈夫?」と聞いてくれる人がいたら、
勇気を出して
SOSを出すことができたのかなと思うからです。
次第に、自分が調子が悪い時にも
仲間たちが「本当に大丈夫?」と
投げかけてくれるようになってきました。
自分からアクションをして、
そういうカルチャーや雰囲気を
つくっていきたいです。
スペインの仲間たちは、
友達が何か不調を抱えていると知ったら、
最初に考えることは、
彼・彼女が疲れているのか、
心が落ち込んでいるのか、
体がダウンしているのか、
という不調の内容です。
それに応じて、
今日はそっとしておいた方がいいのか、
外の空気を吸うために連れ出したほうがいいのか、
電話で話した方がいいのか、
そういった対処法を考えます。
友人や恋人をつくる際に
大事にしていることの一つが、
相手がどれだけ
自分のことを理解している人なのか。
自分のストレスや不調について理解がない人や、
対応できない人だと、
結局お互いに迷惑がかかるから
付き合わない方がいい、
という話になることもあります。
自分に対する意識をしっかり持ち、
自分を大切にできているということが、
他者と付き合う上でも
重要なポイントだと思います。

マリウス 葉
2000年、ドイツ、ハイデルベルク生まれ。
幼少期をドイツで過ごす。
タカラジェンヌだった母に憧れ、
歌やダンスのレッスンを始める。
11歳のとき、アイドルグループのメンバーとして
デビュー。
2022年12月、芸能活動を引退。
2021年9月にはスペインの大学に編入し、
2024年7月、大学卒業を報告。
取材・文=林 亜季 撮影=Yoshihito Koba
取材日=2024.07.29
※掲載内容は、取材時点での情報です
取材・文=林 亜季 撮影=Yoshihito Koba
取材日=2024.07.29
※掲載内容は、取材時点での情報です
これがわたしの#OneMoreChoice

これがわたしの#OneMoreChoice
──最後に、マリウス葉さんの
「わたしの#OneMoreChoice」、
自分なりの選択肢について教えてください。
人生を満喫するため、ともに学び合い、
ともにサポートし合いましょう。
みんな、実はこの地球に自ら生まれたいと思って
生まれてきたわけではないんですよね。
つらいこともたくさんあるし、
何か一つの山を越えたと思ったら
また新しい山が立ちはだかるもの。
僕自身そんなことがたくさんありました。
「これまで僕は、こういうことを我慢して
きたんだな」
という気づきもたくさんありました。
でも一度しかない人生、
せっかくなら楽しく満喫して生きていきたいと
思っています。
人生、ずっと学びの連続です。
僕がスペインの大学に挑戦した時、
インスタグラムでこんなメッセージを
もらいました。
「私はこれまで海外に行ったことが
なかったのですが、
マリウスの発信を見て、
『海外に行ってみたい』と思い、
35歳で初めて
パスポートを取得しました」
という内容です。
誰もが、それぞれの時計を持っています。
35歳の新たな挑戦、すごいことだと思いました。
僕自身、7月に大学を卒業して、
これからのビジョンについては
たくさんの選択肢があります。
ストレスフリーな生活は難しくても、
なるべくストレスが低く、
幸せ度が高いライフスタイルを
目指して
生きていきます。
これからも困難な壁が立ちはだかることも
あると思います。
互いの心身と向き合い、
ともに学び合い、
そしてつらい時は
みんなでサポートし合いましょう。
