漢方では、一人ひとりに合った治療や漢方薬を選ぶために、身体の状態を測る“ものさし”があります。
代表的なのは「気・血・水(き・けつ・すい)」や「虚・実(きょ・じつ)」などです。医師は、これらのものさしで今の身体の状態を見て、治療の方針を考えます。
はじめて漢方ガイド
漢方では、一人ひとりに合った治療や漢方薬を選ぶために、身体の状態を測る“ものさし”があります。
代表的なのは「気・血・水(き・けつ・すい)」や「虚・実(きょ・じつ)」などです。医師は、これらのものさしで今の身体の状態を見て、治療の方針を考えます。
「虚・実」は、その人の体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などチェックするものさしです。
このどちらに近いかで、処方する漢方薬が変わってきます。
「気・血・水」は、“不調の原因”をチェックするものさし。
漢方では、私たちの身体は「気・血・水」という3つのはたらきのバランスで成り立っていると考えます。
簡単にいうと…
この3つの要素が、バランスよく流れているときに、心も体も良い状態と考えます。
どれか一つの要素でも不足していたり、流れが滞っていると不調症状が出やすくなると考えられています。
「気・血・水」のバランスは人それぞれ。その時の体質の傾向や身体の状態をわかりやすく分類したのが、6つの体質タイプです。
まずは自分を知ること。
「気・血・水」をきっかけに、今の自分の心と体の状態と向き合ってみませんか?
胃腸が弱ってエネルギーをうまく作れなかったり、がんばりすぎて気を使いすぎていたり…。そんな“気(き)のバランス”がくずれた状態です。
エネルギー不足で身体を守る力がダウン。風邪をひきやすくなったり、ちょっと動いただけで息切れしたりすることも。疲れやすくてやる気が出ない、食欲がわかない…なんて日もあるかもしれません。
いつもよりも疲れやすく、メンタルが不安定になることがあります。
「温めて、休む」を基本に、少しずつエネルギーをチャージ。温かい飲み物や、ぐっすり眠る時間をとると、身体の内側から元気がわいてきます。お昼に数分目を閉じてひと息つくのも、やさしいエネルギー補給になりますよ。
本来「気(き)」は、川のように身体の上から下へ流れていくもの。でも、ストレスなどでその流れがせき止められると、気が上半身にグッと集まりやすくなることで、不調が現れやすくなります。
突然の頭痛や動悸、吐き気、ゲップ、咳など、上半身に不調が出やすいのが特徴。理由のない焦りやソワソワ感など、心までざわつきやすくなります。
月経のときは、さらにイライラや焦りが強まりやすい時期。感情の波が激しくなりやすく、頭に血がのぼるような頭痛が重なることもあります。
普段から深呼吸をしたり、香りのよいハーブティーでひと息ついたりするとよいでしょう。肩の力を抜き、心をゆるめる時間をこまめにとることをおすすめします。
換気がうまくいっていない部屋のように、「気(き)」のめぐりが滞りがちです。ストレスが重なると、内側にモヤモヤがたまり、気分が晴れにくくなることも。
気分が落ち込みやすく、憂うつになりがちです。さらに、のどのつかえ感など、メンタルと連動して身体にも不調が出やすくなります。
月経前になると、気分の落ち込みやイライラがいつもより強くなりがち。お腹の張りなど、体の重だるさも感じやすく、PMS(月経前症候群)の症状が出やすくなります。
まずは、ストレスをためないことがいちばん。自分なりのストレス対策を見つけて、リラックスを心がけるとよいですよ。好きな香りのアロマを焚くなど、香りを味方につけるのもおすすめです。
ストレスや冷え、運動不足などが引き金になって、「血(けつ)」の流れが滞りがち。体の中で“血のめぐり渋滞”が起きて、不調のサインがあちこちにあらわれやすくなります。
目の下のクマやくすみ、唇がどんより見えるといった症状は、血のめぐりが滞っているサインかもしれません。
さらに、肩こりや頭痛、手足の冷えなど、体からのSOSが届くこともあります。
血のめぐりが悪いと、月経前にニキビや吹き出物などの肌トラブルが出やすくなることも。
月経中は、経血にレバーのような塊が混じっていて経血量が多く貧血になることも。
まずは冷えをためこまないように気を付けましょう。あたたかい服装や湯船でリラックスすることを心掛けて。
デスクワークなどで同じ姿勢が続くときは、軽いストレッチや席を立つことを意識するとよいですよ。こまめに動いて、血のめぐりをサポートしましょう。
「血(けつ)」は、体に栄養とうるおいを届けてくれるもの。血虚タイプは、それがちょっと足りてない状態です。偏った食事や無理なダイエットが続いている人に多いかもしれません。
肌や髪のパサつき、爪の割れやすさ、目の乾きなど「うるおい不足」のサインに加えて、立ちくらみや息切れ、貧血っぽさなど「栄養足りてないかも?」というサインが出やすいのも特徴。
血が足りない状態だから、経血の量が少なかったり、月経が予定より遅れたりしやすくなることも。
まずは、ちゃんと食べて、しっかり寝ることが血をチャージする近道です。
鉄分が多い赤身の肉やほうれん草など、食事から血を補うことも意識してみましょう。
体の“水はけ”が悪くなり、余分な水分がたまりがち。その水分が体を内側から冷やす原因にも。雨の日に体調を崩しやすいのも特徴的です。
夕方になるとつらくなる「むくみ」は代表的なサインです。そのほかにも、めまいや吐き気、全身の重だるさを感じやすい傾向が。
月経前になると、体は“ため込みモード”になるため、水分もため込みがちに。いつもより体がすっきりしないかもしれません。月経の経血量が多くなることも。
体の“水はけ”をよくするには、汗をかくことがポイント。入浴や軽い運動で、余分な水分を外に排出するとよいですよ。冷たい飲みものやスイーツ、塩分の多い食事は、水をためこむ原因になるので、少し控えることをおすすめします。
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監修医師
髙宮城 直子 先生
Naoko女性クリニック院長
産婦人科女性ヘルスケア専門医。
女性の不調をホルモン剤や漢方薬を用いて施行。 更年期や月経関連の心身の治療を得意としている。 更年期オンライン診療「ビバエル」にて全国の患者の治療も行っている。