50歳以降に多い症状


監修医師
飯島 勝矢先生
東京大学高齢社会総合研究機構教授・機構長、および未来ビジョン研究センター教授。老年医学、総合老年学(ジェロントロジー)が専門。特にフレイル予防を軸とした健康長寿実現の総合まちづくりや地域包括ケアシステム等の課題解決型実証研究を手掛ける。住民フレイルサポーター主体の健康長寿まちづくりシステムを全国展開。内閣府の高齢社会対策大綱の作成にも従事。
あなたのその症状、
それって「フレイル」
かも?
フレイルでは、年齢とともに心や体にさまざまな不調があらわれやすくなります。「歩くのが遅くなってきた」「握力も含めて、全体の筋肉の衰えが進んできた」「わけもなく疲れやすい感じになってきている」「日常生活がアクティブではなくなってきている」など、フレイルかもと気づいたら、まずは、フレイルチェックやフレイルを知ることからはじめてみましょう。

50歳以降起こりやすい
症状とは?

フレイルは、加齢により体力・気力が低下した状態で、健常と要介護の中間の状態です。フレイルで起きやすい症状には「疲労・倦怠感」「食欲不振」「気力の低下」等がありますが、フレイルの状態で適切な対策をとることで健康な状態に戻れる可能性があります。
一方、漢方の考え方にある「未病」とは、健康と病気の間の状態を指しています。未病の状態では、疲労、食欲不振、意欲の低下や不安感、不眠等の様々な症状が現れますが、未病の段階で適切な対処・治療を行うことで病気へ進みにくくなると考えられており、漢方の「未病」の考え方とフレイルは通じるところがあります。
「わけもなく疲れる」「腰が重だるい」「眠りが浅い」など、こうした症状は小さな変化に見えても、放っておくと、不調が次の不調を招く可能性があります。一人ひとりの体質や年齢によって現れ方は異なりますが、漢方では、これらの症状を体全体のバランスの乱れとしてとらえ、根本から整えることを目指します。また、同じ症状でも人によって合う漢方薬はさまざま。複数の症状を併せ持つ方も多いため、体質や症状に合わせた治療が大切です。
ここからは、50歳以降における未病の状態で生じやすい症状について紹介します。
このような症状ありませんか?
頻尿
トイレの回数が増えたり、頻繁に尿意をもよおしてしまったり、
夜中に尿意で目が覚めてしまいぐっすり眠れなかったり、
尿漏れが心配で外出できなかったり…。
対処法
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病院での治療では
病院では、膀胱の働きを抑える薬や、尿の回数を減らす薬のほか、膀胱訓練や骨盤底筋体操などの行動療法が行われることもあります。
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病院での漢方治療では
冷えや加齢などに応じて、排尿のトラブルの背景にある原因を探り、体全体のバランスを整える「漢方薬」が用いられることもあります。
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日常では
水分の摂り方やカフェイン・アルコールの摂取を見直すことに加え、ストレスをためないよう気分転換をはかることや、日ごろから体を冷やさないように温めることも大切です。
漢方医学で考える頻尿とは?
頻尿の原因はさまざまですが、漢方医学では特に「腎(じん)」の機能が低下した「腎虚(じんきょ)」と呼ばれるタイプで現れることがあります。「腎虚」とは漢方独特の考え方で、腎という名称は現代医学の腎臓と同じですが、その機能や考え方は異なります。
「腎」は、排尿や体内の水分調整だけでなく、生命活動のエネルギー源とされており、人の成長・発育・生殖に深く関わっていると考えられています。
そのため、腎の機能が低下すると老化現象としてさまざまな変化が現れ、排尿のコントロールも乱れやすくなります。
思い当たる症状があれば、
医師に相談してみましょう。
足腰の違和感
立ち上がるときに「よいしょ」と声が出たり、
腰が重だるく感じたり、ズキッとした痛みがあったり…。
対処法
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病院での治療では
原因となる疾患の治療を行い、慢性腰痛では運動療法を中心に、必要に応じて薬物療法やブロック注射を併用します。
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病院での漢方治療では
足腰の違和感の背景にある冷えや血流低下、加齢などが関係している場合には、体全体のバランスを整える「漢方薬」が用いられることもあります。
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日常では
長時間同じ姿勢を避け、散歩やストレッチなどで血流を促すことが大切です。
漢方医学で考える足腰の違和感とは?
漢方医学では「気」・「血」・「水」のバランスが整っている状態を健康と捉え、このバランスが崩れたときに体の不調が生じると考えられます。足腰の違和感の原因はさまざまですが、漢方で対応できるのは、気血の巡りが悪くなっておこる「瘀血」のタイプと、腎の機能が低下して起こる「腎虚」のタイプがあります。
思い当たる症状があれば、
医師に相談してみましょう。
不眠
体は疲れているのに眠れない、夜中に起きてしまったり、
日中に眠くなったり、朝起きると体がだるかったり…。
対処法
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病院での治療では
生活習慣改善指導や薬による治療では、寝つきをよくする「睡眠導入剤」、気持ちを落ち着かせる「精神安定剤」、うつが原因のときに使う「抗うつ薬」などその人に合う薬物治療を行うことがあります。
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病院での漢方治療では
不眠の背景にある不安や興奮、冷えといった要因が影響している場合には、体全体のバランスを整える「漢方薬」が用いられることもあります。
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日常では
朝起きて夜眠る、体のリズムに合わせた生活を意識することも大切です。
漢方医学で考える不眠とは?
漢方医学には「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という、心身のバランスを保つ大切な3つの要素の考え方があり、不眠は、これらのバランスが乱れた時に生じると考えられます。漢方では、興奮して眠れない状態を気の巡りが乱れている気逆(きぎゃく)と捉え、心身が疲れすぎて眠れない状態は気虚(ききょ)や血虚(けっきょ)とらえます。
思い当たる症状があれば、
医師に相談してみましょう。
倦怠感
朝起きるのがつらかったり、全身がだるかったり、身体が重かったり、やる気が起きなかったり、ささいなことでイライラしたり…。
対処法
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病院での治療では
日常生活に困難をきたす場合や、糖尿病やうつ病などが原因の「病的疲労」である場合もあるため、原因となる病気に応じた治療を行います。
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病院での漢方治療では
倦怠感の背景にある体力や気力の低下、加齢や疲労による回復力の低下などが影響している場合には、体全体のバランスを整え、本来の力を引き出す「漢方薬」が用いられることもあります。
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日常では
睡眠や安静などで身体の疲れを取り、ビタミンやたんぱく質を含むバランスのよい食事をとることが大切です。入浴で緊張をほぐし、疲れが取れてきたら軽い運動で発散しましょう。
漢方医学で考える倦怠感とは?
漢方医学では「気・血・水」のバランスが整っている状態を健康と捉え、このバランスが崩れたときに体の不調が生じると考えられます。倦怠感の原因はさまざまですが、過労や加齢などによって、体を動かすエネルギーである「気」や、全身を巡って栄養を与える「血」が不足すると、倦怠感につながることがあると考えられています。こうした状態は「気虚」「血虚」と呼ばれますが、両者が重なってみられることもあります。
思い当たる症状があれば、
医師に相談してみましょう。
食欲不振
なぜかお腹が空かなかったり、食欲がわかなかったり、食べ始めてすぐお腹いっぱいになったり、味や香りを感じにくくなったり、食事が美味しく感じられなかったり…。
対処法
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病院での治療では
食欲不振が病気(消化器系疾患、糖尿病、うつ病など)によるものか、加齢によるものだけかを調べ、原因疾患に応じた治療を行います。特に食欲不振以外の症状(嘔吐、発熱、倦怠感など)がある場合や、食事だけでなく水分も摂れない場合、体重が急に減ってきた場合は早めに受診しましょう。
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病院での漢方治療では
食欲不振だけでなく、体力低下や冷えなど、背後にある諸症状も緩和できるよう、一人ひとりの症状や体質に合わせた「漢方薬」が用いられることもあります。
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日常では
栄養価の高い食品(卵、乳製品、栄養補助食品など)もうまくとり入れ、1日5、6回に分けて少量ずつ食べたり(分食ともいいます)、誰かと一緒に食事をする「共食」の機会をつくることが大切です。運動なども食欲を増進させる効果があるので、定期的な生活習慣の改善も心がけましょう。
漢方医学で考える食欲不振とは?
漢方医学では、「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることで健康が維持されていて、これらのバランスが乱れると心身にさまざまな症状が現れると考えます。食欲不振の原因はさまざまですが、気の不足による気虚(ききょ)や、血の不足による血虚(けっきょ)、水分の滞りによる水滞(すいたい)により引き起こされると考えられています。
思い当たる症状があれば、
医師に相談してみましょう。
教えて飯島先生!
フレイルとは、年齢とともに体力や気力が低下し、要介護状態になりやすくなってきている状態のことを指します。しかし、適切な対策をとることで、健康な状態に戻ることも可能です。
加齢や病気で筋肉量や筋力が低下すると、歩行速度が落ちたり握力が低下するだけではなく、疲れやすく外出が億劫になり、結果的に日常生活の活動量が減少します。さらに、動かなければ食も進まなくなり、筋肉の素になるたんぱく質を中心とした必要な栄養を十分に摂取できなくなります。
このように、様々な要因が複雑に絡み合い、お互いに影響し合って負の連鎖を引き起こすことを「フレイルサイクル」とも言われております。日々の変化はごく僅かではありますが、それが繰り返されていくうちにフレイルはどんどん進行し、日常生活に支障をきたすようになります。

監修医師:飯島勝矢先生
東京大学 高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター











