長かった冬も終わりに近づき、桃や梅、桜の花が順々に咲き始め、街並みが少しずつピンク色に染まっていきます。近場をお散歩するだけでも、心が弾む季節ですよね。
そんな穏やかな景色とは裏腹に、“春の嵐”──激しい気候の変化にも注意が必要です。
私たちのカラダには、ホメオスタシス(恒常性)といって、カラダの生理機能を一定の状態に保つ働きがあります。その働きを担うのが神経系、内分泌系、免疫系です。
そのため、低気圧などの影響で自律神経が乱れた時には、それに連動してホルモン分泌の乱れを起こしてしまうことがあります。もともと低気圧が近づく雨の日などに頭痛やむくみなどを感じてしまうような敏感なタイプの人は、この時期に不調を感じやすくなります。
特に、季節の変わり目やストレスに敏感な女性はホルモンバランスを乱しやすく、月経不順やPMSなど女性ホルモンにまつわる不調が起こりやすくなることが考えられます。
女性ホルモンの乱れとストレスの関係
女性ホルモンは、脳から分泌されるホルモンによって調節されており、視床下部から指令が出ることで卵巣に働きかけ、分泌されます。また、視床下部には自律神経をコントロールする働きもあります。
視床下部は、自律神経や内分泌系のコントロールをすることで代謝機能や体温、ココロの状態などを外界に適応できる状態に調整しています。そのため、ストレスなどで自律神経が乱れると女性ホルモンの分泌にも影響をあたえることになります。
逆に、イライラしたり、落ち込んだりして感情をコントロールできない状況の時には、女性ホルモンのバランスが乱れているケースもあります。

女性特有の不調に漢方薬という選択肢
近年、漢方薬の認知はどんどん広まってきているように思います。
漢方は、女性が感じる微妙な気候の変化や生活環境の変化、年齢にともなったカラダの変化によって生じる不定愁訴の改善を得意としています。実際に、冷えやイライラ、月経不順、月経痛、PMSなどの症状に、婦人科やレディースクリニックで漢方薬が活用されているケースが多くあるようです。
女性には、月々のホルモンの変動、年齢や出産に伴うホルモンの変動があるため、不調が頻繁にやってきます。
女性特有の疾患を抱える人は、年を重ねるほどに増加傾向にあるため、不調は我慢せずに小さいうちから(ちょっとしたものでも)対処し、大きな病気につながらないように日々メンテナンスをするといった意識で過ごしていきましょう。
原因のはっきりしない不調やちょっとした不調が続いて悩んでいる人は、かかりつけの医師や薬剤師などに相談して、「漢方薬」という選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。漢方薬を活用することによって症状や体質を改善し少しずつ強いカラダを作っていきましょう。

Feb 24 2023
薬剤師・大久保 愛
Keywords
- 不定愁訴
- 女性ホルモン
- 未病