帯状疱疹は「水ぼうそうウイルス」の再活性化
最近、ちょくちょくと話題になっている病気のひとつが「帯状疱疹」でしょう。
帯状疱疹とは、体内に潜んでいる水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して、皮膚に水ぶくれができたり、ただれたり、赤い発疹ができたりする病気をいいます。
水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、皮膚に水ぶくれができる、いわゆる「水ぼうそう」という病気になります。
このとき、水ぼうそうが治っても、水痘・帯状疱疹ウイルスはカラダから消えてなくならず、そのまま体内の神経のなかに棲み続けます。それが何年か後に何らかのきっかけで再活性化したのが、帯状疱疹なのです。
日本皮膚科学会によると、水ぼうそうに過去にかかった人や、水痘ワクチンを接種した人の、約20%が帯状疱疹を発症するとされています。
刺すような、灼熱感を伴う痛みが出てくる
帯状疱疹になると、まず皮膚がかゆくなり、そこから1週間後ぐらいに、赤い発疹ができはじめます。このときに、微熱や頭痛などがみられることもあるようです。そのうち、その部分に水ぶくれができ、痛みが出てきます。
帯状疱疹のつらさは、皮膚に表れた症状よりも“痛み”だといいます。 痛みの感じ方はひとそれぞれですが、刺すような痛み、灼熱感を伴う痛みで、洋服がこすれると痛みが強まります。 その後、おおよそ3週間ほどで水ぶくれはかさぶたに変化し治っていきますが、まれにその後も痛みが残ってしまうことがあり、それを「帯状疱疹後神経痛」といいます。 帯状疱疹ができやすいのは胸や背中で、次がお腹です。顔や足に発症することもあります。

疲労や病後に発症、20代でかかることも
帯状疱疹は高齢者ほど発症しやすいことがわかっていますが、若いから大丈夫というわけでもないようです。
今の20代は周囲に水ぼうそうにかかった人が少ないことから、ブースター効果(繰り返しウイルスに接触することで、免疫力がアップする現象)が得られにくく、帯状疱疹になりやすいという指摘もあります。
例えば、疲れていたり、ストレスがたまっていたり、睡眠不足だったり、病気で体力が落ちていたりするなどで抵抗力が落ちていると、神経に潜んでいたウイルスが活性化して、帯状疱疹をもたらします。病気そのものや病気の治療などで免疫力が下がっているときも、帯状疱疹になりやすいです。また、一度帯状疱疹になったら二度とならないわけではなく、人によっては病気を繰り返す人もいます。
治療は抗ウイルス薬、神経痛には漢方薬も
帯状疱疹は、抗ウイルス薬で治療をするのが基本です。 痛みに対しては、飲み薬や塗り薬の痛み止めを使います。ウイルスの活性化がまだ進んでいない早期に使うほど効果が高いとされています。
治癒後に残った帯状疱疹後神経痛に対しては、漢方薬が用いられることもあります。体質や痛みの性質、痛みが起こっている時期などを考慮して、さまざまなものが使われています。 最近では、50歳以上の人は、帯状疱疹ワクチンの接種によって帯状疱疹を予防することができるようになりました(任意接種)。 ワクチンの種類は「生ワクチン(水痘ワクチン)」と「不活化ワクチンの場合」があり、それぞれ接種回数や金額などが違いますので、かかりつけ医に聞いてみるといいでしょう。

参照
医療ライター・山内
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- ウイルス
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