認知症

認知症

まとめ

認知症とは?

認知症とは、加齢や遺伝、生活習慣、病気など何らかの原因によって、認知機能が低下して日常生活に支障が出ることをいい、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)、レビー小体型認知症など、いくつかの病気があります。問診や血液検査、脳の状態を見る検査、神経心理学検査などで診断がつきます。
アルツハイマー病に関しては近年、MCI(軽度認知障害)や軽度認知症に対して使える薬が登場したことから、早期診断・早期治療の重要性が高まってきています。MCI(軽度認知障害)外来などがある医療機関も増えていますので、気になったら一度、相談することが勧められます。

認知症の治療

認知症の治療には大きく薬物療法と、非薬物療法にわかれます。両方の治療をうまく組み合わせることで、認知症の進行を緩やかにしたり、認知症で二次的に生じるBPSD(認知症の行動・心理症状)を軽減したりすることができます。BPSDに関しては漢方薬にも期待が集まっています。

認知症のメカニズム

私たちの脳は日々、外から受けたさまざまな情報や刺激について、判断したり解釈したりしています。こうした「認知」の部分が何らかの理由で低下し、日常生活に支障を及ぼすようになった状態を認知症といいます。
認知症は、頭痛や腹痛と同じように症状を表した呼び名で、病名としてはアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)やレビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭葉型認知症などがあります。そして全体の6~7割を占めているのが、アルツハイマー病です。
認知症というと、どうしても記憶力の低下に目がいきがちですが、実はそれだけでなく、以下のようなものが挙げられます。

記憶障害

もの忘れがひどくなる

見当識障害

今日が何日かわからないなど、自分の状況を見失う

空間認知障害

道に迷うなど、周囲の環境を把握することができなくなる

実行機能障害

段取りよく行動ができない

失語

言葉が出ない

失行

服の脱ぎ着ができない、使い慣れた道具の使い方がわからないなど

失認

見えているものが何か、聞こえているものが何かわからなくなる

理解・判断力の障害

状況に応じた適切な判断ができなくなる

これとは別に、二次的に現れる症状として、BPSD(認知症の行動・心理症状)があります。

  • Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の略
行動症状

睡眠障害、暴言や暴力、徘徊、拒絶、過食・異食、不潔行動(ゴミをためこむ、風呂に入ろうとしない、便をあちこちになすりつけるなど)など

心理症状

不安、抑うつ、幻覚、妄想、無気力、焦燥感など

なぜ認知症は起こるのか、その原因は病気によってさまざまです。
代表的な認知症であるアルツハイマー病の場合は、脳の神経細胞にたまったアミロイドベータというタンパク質の蓄積が発症に関わっているとされています。アミロイドベータの溜まり方には個人差もあり、生活習慣や遺伝も関係していると言われていますが、一般的には加齢によるところが大きいとされています。
このほか血管性認知症では、脳梗塞や脳出血といった脳の血管の病気が原因となって発症します。

認知症の薬物治療、非薬物治療

認知症を調べる検査・診察では、一般的な問診、血液検査、画像検査(X線検査)のほか、必要に応じてCTやMRI、脳血流SPECT、脳FDG-PETなどを行って、脳の状態(萎縮の程度)を詳しく調べていきます。
これらの検査と同時に行うのが、脳の機能の程度を調べる神経心理学検査です。長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(ミニメンタルステート検査)などがあり、脳の画像検査と合わせて、認知症かどうかを診断します。

治療は、大きく薬物療法と非薬物療法にわかれます。
薬物療法で使う薬の一つは、コリンエステラーゼ阻害薬で、進行を抑える効果が期待できるとされています。
最近では、アミロイドベータの蓄積を防ぐ薬が登場しました。認知症になる一歩手前の状態であるMCI(軽度認知障害)や、軽度認知症のアルツハイマー病に対して使われる薬です。この薬の登場で、今まで以上に早期の段階で診断し、治療を行うことの重要性が高まってきました。
一方、非薬物療法は、その名の通り薬を使わずに認知症を改善する方法で、回想法、運動療法、作業療法、アロマセラピー、芸術・絵画療法、音楽療法などがあります。知的な活動をすることで脳が活性化され、それが認知症の進行を遅らせたり、症状を改善させたりするのではないかと考えられています。

認知症の周辺症状(BPSD)に用いられる漢方薬

認知症の周辺症状であるBPSDに有用であることが分かって以来、多くの診療現場で用いられています。BPSDの症状を軽減させることで、患者さんのQOL(生活の質)を改善することが期待されています。
BPSDで見られるイライラや神経のたかぶりを改善できる薬として最もよく知られている漢方薬が、抑肝散(よくかんさん)です。もともとは子どもの夜泣きなどに用いられていた漢方薬ですが、最近ではBPSDで見られるイライラや神経のたかぶりにも効果があるとして利用されるようになりました。介護をする人たちの負担を軽減するという意味でも、重視されています。
ほかにも、BPSDに伴う症状に対する有効性を示す漢方薬がいくつかわかってきています。

認知症のBPSDに伴う症状に使われている漢方薬

抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師がこの診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

監修医師

いのくちファミリークリニック 院長
聖路加国際大学臨床教授・名城大学特任教授
シルバー総合研究所理事長
(元国立長寿医療研究センター長寿医療研修センター長)

遠藤 英俊先生

1982年滋賀医科大学卒業。名古屋大学老年科で医学博士取得後、市立中津川総合病院を経て、国立長寿医療研究センター(旧・中部病院)老年内科勤務、内科総合診療部長等歴任。
認知症や医療介護保険制度等を専門とし、著書出版多数。国や地域の制度・施策にも関わり深く、NHKクローズアップ現代などTV出演も多数。ロシアやタイなど海外での認知症関連の研修や、看護師の特定行為研修も担う。
2021年3月いのくちファミリークリニックを開院。

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  • 認知症
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  • 薬物療法
  • 漢方薬
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