夏バテ、暑気あたりの漢方薬として知られる
「清暑益気湯」の“清暑”とは暑さの原因を涼しくする、“益気”とは「気」※を増やすといった意味があります。暑さで弱った胃腸を元気にし、低下した体力を回復させるのがこの薬で、いわゆる夏バテ、暑気あたりに用いられる代表的な漢方薬です。
暑さによる食欲不振、下痢、全身倦怠感、夏やせなどに適しています。熱感、口の渇き、軟便、尿量の減少なども処方の目安になります。
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「気・血・水」は、不調の原因を探るためのものさしです。
漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されていて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きてくると考えられています。 「気(き)」:目には見えない生命エネルギーのこと。「元気」の気、「気力」の気、「気合い」の気。「自律神経(体の機能を調整する神経)」の働きに近いとされています。
さまざまな方向から、暑さで弱った体の回復を助ける
「清暑益気湯」は、生命エネルギーである「気」の量が不足した「気虚」に用いられる薬です。胃腸の働きを増して疲労を取る生薬、体の熱を冷ます生薬、「水(すい)」を調節する生薬などで構成されています。
「人参」と「黄耆」を含む「参耆(ジンギ)剤」のひとつで、暑さで弱った体の回復を助けます。
配合生薬
蒼朮(そうじゅつ) 、 人参(にんじん) 、 麦門冬(ばくもんどう) 、 黄耆(おうぎ) 、 陳皮(ちんぴ) 、 当帰(とうき) 、 黄柏(おうばく) 、 甘草(かんぞう) 、 五味子(ごみし)
出典:「NHKきょうの健康 漢方薬事典 改訂版」 (主婦と生活社)
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