INTERVIEW わたしの#OneMoreChoice

女性が心地よく生きるための
新しい選択肢についてお話を伺いました。
いろいろな選択肢から、あなたにとっての
#OneMoreChoiceをみつけませんか?

#011(後編)

「過剰な配慮」ではない選択肢を。
Z世代として
フェムテック推進に携わる私が思うこと。

間瀬 菜生子さん /
経済産業省経済産業政策局経済社会政策室

多くの女性が「隠れ我慢」を抱えていると
いわれています。
「隠れ我慢」とは、
不調を我慢して仕事や家事をしてしまうこと。
ツムラが実施した調査では、
全国20~50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら
日々過ごしていることが分かりました。
今回、#OneMoreChoice プロジェクトでは
経済産業省(以下、経産省)の経済社会政策室にて
「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を
推進する川村美穂さん、間瀬菜生子さんにインタビュー。
後編では、Z世代の健康や働き方、
キャリア形成の課題について、
当事者世代の間瀬さんに語っていただきました。

多くの女性が「隠れ我慢」を抱えているといわれています。
「隠れ我慢」とは、不調を我慢して仕事や家事をしてしまうこと。
ツムラが実施した調査では、全国20~50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら日々過ごしていることが分かりました。
今回、#OneMoreChoice プロジェクトでは経済産業省(以下、経産省)の経済社会政策室にて
「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を推進する川村美穂さん、間瀬菜生子さんにインタビュー。
後編では、Z世代の健康や働き方、キャリア形成の課題について、当事者世代の間瀬さんに語っていただきました。

「隠れ我慢」がうまくなり過ぎている?
Z世代の悩みとは

――間瀬さんはZ世代の女性としてフェムテック
推進事業に
関わり始めて、どう感じていますか?

フェムテックの推進に関わるようになって、
今ムーブメントが起きている
という実感があります。
本事業も今年度19事業を採択しましたし、
こうした取材を受ける機会も増えてきました。

女性が健康で自分らしく働き、
生活を送ることを支援するツールに対して、
光が当たることにワクワクしますし、
私自身が働きつづける上でも希望だな
と思います。

私自身、20代前半の女性として、
生理やPMSに伴う課題は自分ごととして
感じますし、
フェムテック製品の吸水ショーツなどは同世代間でも
話題になります。また、今年度の事業者で、
女性の健康について対話が
できるプラットフォームを
つくり、オンライン上のコミュニティーの運営を
実証される事業者がいます。

個人の健康についてはセンシティブな面があり
なかなかオープンに話せる
場所をあまり見たことが
ないので、女性同士が当たり前に話す様子を見ると、
私も当事者として参加してみたいなと、
純粋に思いますね。

――間瀬さんと同世代の周囲の方々は、
どういった健康課題に関心が高いですか?

心と体の健康のバランスについて関心が高い印象です。
主に「食とメンタル」ですね。

私と同じ世代ですと、
進学や就職を機に生活環境が大きく変わる人が
多くいます。実家を出て1人暮らしを始めたり、
就職を機に人間関係が激変したり。

特に1人暮らしを始めると食生活がガラッと変わって、
それが理由となって体を壊してしまい、
さらには新しい職場で
うまくいかない、
他の世代の方々と意見が合わないといった問題が
メンタル面にも影響を与えてしまう。
そうした悩みをよく耳にするようになりました。

――間瀬さんご自身もそうした悩みに共感するところや、
ご自身が「隠れ我慢」をした経験などはありますか?

あります。誰にも言えずにため込んでしまって、
心身の健康を崩してしまう気持ちはよく理解できます。

私は頭痛持ちで、生理に限らず天気によっても
体調不良になることがあって。
以前、とても大事な仕事を前に準備が
大詰めの中で
体調を崩してしまって……心細くてたまりませんでした。
たまたま、周りに同世代も女性の方も少なくて、
周りにどう伝えればいいか分からなかったんです。

なんとか頑張ったのですが、やっぱりつらくて
「休ませてほしい」と
伝えました。
すると周りの人は普通に「上がっていいよ」と
言ってくれたのですが、言い出すまで葛藤がありました。

言えば配慮してくれるというのは分かっていても、
難しいですよね。
自分が大きな仕事の役割を
与えてもらえて、やる気もすごくあったので、
大事なときにパフォーマンスを発揮できないのが
とても悔しかったです。

――やる気がある分、「体調不良を理由にしたくない」と
思うとき、
確かにあります。

そうなんですよね。体調が悪そうだからと仕事を
すべて外されてしまうのは、
それはそれで心が痛くなりますよね。

――周囲の友達とも、「隠れ我慢」について
話すことはありますか?

それが、今回考えてみたら、意外と周りの人から
自分の体調について
言われないし気付かないし、
私も自分の体調について
周りに言って
いないかもしれないな、と。

みんな「隠れ我慢」がうまくなり過ぎて
しまっているのかもしれません。
友達から「実はあのとき体調が悪かった」と、
後から言われて
初めて気付いたり、
私自身も体調が悪くても、
そう見えないように
振る舞ってしまったりすることがあります。

ですので、「若い人同士なら気付けるのでは」
「女性同士なら分かるのでは」と思っている人がいたら、
意外とそうでもないよ、
というのは言っておきたいですね(笑)

自分らしく生きるための「戦略」として

――間瀬さんご自身は、この先のライフステージの
変化と
健康課題について考えることはありますか?

私としては、自分らしく働いて生きるための
「戦略」として、
健康に関する知識や情報を身に付けて、
実際に自分の人生に取り込んでいきたいと思っています。
フェムテックというツールもその一つですよね。

仕事を頑張りたいからこそ、
自分の健康にまつわる課題や
これから起こり得ること、
それこそ妊活や不妊治療と仕事を両立しながら、
どうやったら自分らしく働けるか。
さまざまに考える上での戦力として
知識を身に付け、
人生に取り込んでいく。
そういう視点を持つことが大事なのかなと思っています

――女性のライフステージと健康課題について、
特に気になる分野はありますか?

出産・育児と両立しながら働き続けることについては、
大学時代からゼミのレポート等でテーマとしていたので、
ずっと気になっている分野です。
いわゆる「ワンオペ育児」の課題に関する
調査などもよく読んでいました。

フェムテックの推進に携わるようになってからは
先々のライフステージ、
健康課題について
前もって知っておこうという気持ちが強まったので、
データだけでなく、出産や育児から職場復帰された
当事者の方々の声を聞いて
考えてみる機会を
増やしたいと思っています。

――ここまで個人としてのお話を聞いてきましたが、
間瀬さんご自身が企業や社会に
期待することなどはありますか?

女性の健康課題というと、
「仕事量を減らしてあげればいい」
となりがちです。
しかし、当事者側は、時に体調が悪くなっても、
頑張りたい気持ちもやる気もあるので、
ただ単に仕事量を減らしたり、
それによって重要な機会にたどり着けなかったり
するような
「過剰な配慮」は、
かえってやる気をそいでしまうことに
つながりかねない
場合もあると実感します。

「ここの職場にいても、そういう配慮ばかりで
機会を与えてもらえない」と
気付くと、
優秀な人もいなくなってしまいます。
「その人らしい働き方」を
実現するためには、
どうすればいいのか。
しっかり向き合って、
その人の可能性をむげにしないような対話をするのが
大事なんじゃないかなと思います。

間瀬菜生子(ませ なおこ)
経済産業省経済産業政策局経済社会政策室
1998年生まれ。
2020年に入省後、
2022年5月よりフェムテック推進を担当。
自らもフェムテックサービスを利用し、
若い世代への啓発に挑む。

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2022.07.14
※掲載内容は、取材時点での情報です

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2022.07.14
※掲載内容は、取材時点での情報です

これがわたしの#OneMoreChoice

これがわたしの#OneMoreChoice

――最後に、間瀬さんの「私の#OneMoreChoice」、
自分なりの選択肢について教えてください

「その時々のベストを柔軟に」です。

「隠れ我慢」をしない、
もう一つの選択肢を取るというのは、
その時々でベストな自分でいられるような
柔軟な手段だと思います。
それが、パフォーマンスの発揮にもつながりますよね。
みんながそのベストな状態を手に入れられるようにと
思って、
このような表現にしました。

私自身も、フェムテックなどのツールを利用して、
さまざまな選択肢を持てるようにしたいと思います。