INTERVIEW わたしの#OneMoreChoice

女性が心地よく生きるための
新しい選択肢についてお話を伺いました。
いろいろな選択肢から、あなたにとっての
#OneMoreChoiceをみつけませんか?

#007

自分を制限する壁を取り払うため、
 多様な選択肢を届けたい 
 寺尾彩加さんの挑戦とは?

寺尾彩加さん / Period.代表

多くの女性が「隠れ我慢」を抱えていると
いわれています。
「隠れ我慢」とは、不調を我慢して仕事や家事をして
しまうこと。ツムラが実施した調査では、
全国20~50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら
日々過ごしていることが分かりました。
吸水ショーツのブランド「Period.」を手掛ける
寺尾彩加さんは、吸水ショーツとの出会いが、
自身の「隠れ我慢」解消のきっかけだったと言います。

多くの女性が「隠れ我慢」を抱えているといわれています。
「隠れ我慢」とは、不調を我慢して仕事や家事をしてしまうこと。
ツムラが実施した調査では、全国20~50代女性の約8割が「隠れ我慢」を抱えながら日々過ごしていることが分かりました。
吸水ショーツのブランド「Period.」を手掛ける寺尾彩加さんは、吸水ショーツとの出会いが、
自身の「隠れ我慢」解消のきっかけだったと言います。

「隠れ我慢」がなくなった
吸水ショーツとの出会い

──「隠れ我慢」という言葉を聞いて、
思い浮かぶシーンはありますか?

私の場合の「隠れ我慢」は、
意識的にしているのではなくて
「気づかないうちに
してしまっていた」ものですね。今となっては
「あれは我慢していた」と思えるのですが、当時は
「仕方ないこと、
しょうがないこと」として
片付けてしまっていたんです。

例えば私は、生理の前後でナプキンをつけるタイミングに
悩むタイプで、
生理がきそうかどうかが分かりづらく、
急にきて下着を汚してしまうことが
小さなストレスに
なっていました。あとはPMSもひどかったり。
でも自分で
どうにかできるとは思っていませんでした。
仕方ないこと、
耐えることなんだと
思い込んでしまっていました。

──そうした無意識的な隠れ我慢に
「気づいた」瞬間があった、
ということですよね?

はい、考えが変わるきっかけとなったのが
「吸水ショーツ」との
出会いでした。
海外の吸水ショーツを1枚買って使ってみたら、
全然モレなくて感激したんです。
まさに私のストレスだった、ナプキンを
つける
タイミングの問題も解消されました。生理は
毎月くる憂鬱なものでしたが、ショーツを買ってからは
次に生理が
くるのが楽しみになったくらいです。

吸水ショーツとの出会いで、生理にまつわるいろんな
価値観が変わると
思いましたし、気づかないうちに
我慢していたことも分かり、
「あらゆる我慢はなくしたり
取り除いたりできることだ」という気づきを
得ました。

また、以前はPMSがひどくて、でもそのせいだと
気づかずに「精神的な
病気なのだろうか」と思うくらい
落ち込むことが多々ありました。
でも吸水ショーツを
介して「そもそもPMSや生理って、なんだろう」と
考えるようになり、いろいろ調べるうちに「この症状は
全てPMSに
当てはまる」と気づいて楽になったんです。
「病院に行って低用量ピルを
処方してもらえば
緩和できる」と知って、実際に内服するようになったら
それまでの苦しみは一気になくなり、
「今まで悩んでいた時間は
何だったんだろう」と
思ったくらいです。

こうした出来事も、今の仕事を始める大きなきっかけに
なりました。

──一方で、まだ我慢を解消できるすべがあると
気づいていない人も
多数います。ご自身の経験として
伝えたいことはありますか。

私もこのビジネスを始めて、ピルの服用や婦人科検診に
ついて
相談される機会が増えました。生理痛が
ひどい人には「我慢することでは
ない」と伝えたり、
オススメのクリニックを紹介したり。
ピルについても、
服用することで快適に過ごしているなど自分の経験談を
ライトに伝えたりしています。

「Period.」のコピーに「自分を制限する壁は自分のなかに
ある」という
文言があります。自分が一歩挑戦することで
変わることは多いけれど、
不安や心配などから自分の
可能性にフタをしている人もいるのでは。
そんな人が
最初の一歩を飛び越えるためのアシストを
していきたいですね。

「自分の体を知らない人」が多い?

──吸水ショーツ「Period.」の
開発・プロデュースを介して気づいた
女性の悩みや
隠れ我慢の傾向などありましたら教えて下さい。

みなさんそれぞれ「これ」という悩みはバラバラですが、
共通する部分としては、自分の体のことを知らない人が
多いな、と。生理の
情報に接する機会が少ないからか、
経血の量や痛みなどが自分基準に
なっていて、医学的に
言われている適正範囲を知らず、本当は月経過多なのに
「自分は違う」と思っている方や、「生理痛はひどくて
当たり前」と
思っている方もいます。
ポップアップストアでお客様と会話する際に
「普段の
経血量は多い方ですか、少ないほうですか」と聞いても、
ほとんどの人が「分からない」と答えます。

自分が健康でいるためにも、平均や適正の状態は
知っておくべきですよね。
でも、今までは
こうした分野での教育の機会がなかった。そこに課題も
感じています。

自分で自分の体の選択がきちんとできる世の中に
していくためにも、
私たちはまず「自分を知る」ことを
テーマに挙げて、自分自身を
知るきっかけとして
吸水ショーツを扱っています。

ここ数年で生理にまつわるプロダクトは増えましたし、
情報も広がりました。
みんなが知る機会が増えたのは
とてもありがたいこと。でも今はまだ
ファーストステップの段階です。正しい知識を身に付け、
深い理解と学びを
得た上で自分に合った選択をする、
そのためのステップはここからです。
今後も継続して
情報発信をしていきたいですね。

──ここ数年の変化のなかでも、
特に寺尾さんが印象的だったことは
ありますか?

ポップアップストアをやっていて、男性のお客様が
いらっしゃる機会が
増えました。今までは
触れてはいけない感覚だったのが、例えば企業の
マネジメント層の男性が社員には聞けない生理痛の
つらさだったり生理の
プロダクトについて
聞いてこられたり。女性のパートナーがいらっしゃる方が
プレゼントとして購入されたり、カップルで
いらっしゃったりする光景も
増えました。

そもそも私たち「Period.」は、ブランドとして女性だけを
エンパワメントするためにビジネスをやっている意識は
なく、
問題を抱えている人たち全てに使ってもらいたいと
考えていて、
あまり「女性を」というのは強く押し出して
いません。吸水ショーツは生理の
ためだけでなく、
妊婦や高齢者の方で軽失禁に悩む方が使うことも
あります。
あらゆる問題解決につながる
選択肢のひとつとして捉えています。

生理は女性だけの問題とするのではなく、自分に生理が
なくても「一緒に
考えたい」「理解して接したい」という
人にも寄り添い、そういった方々を
含めて
エンパワメントしていきたい。そして、個々の不調や
体に
まつわる問題も、女性だけの一時的な課題に
制限するのではなく、
社会規模での課題として捉えて、
全体で解消しなければならないと思います。

──そのためにもまずはどういうアクションを
取るべきでしょうか。

こうした課題を必ずしも男女間だけのものと
するのではなく、
同じセクシュアリティやジェンダーの
中でも人それぞれ感じ方は違うので、
みんな違っていて
当たり前だという理解を大事にしたいですよね。
自らの
スタンダードを押し付けず、まずは自分と他者の
違いを受け入れることから
始めたいです。

最初は「知る、学ぶ」が大事で、そこが定着してきたら
今度は
「ちゃんと発言する、自分の意志を表明する」
というアクションを
取ってみるといいかもしれません。
そうすると言いやすい環境も徐々に
広がっていくと
思います。

あとは、体調が悪いときは無理をしない。私は
「ご自愛タイム」として
しっかり休むようにしています。

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2021.12.22
※掲載内容は、取材時点での情報です

寺尾彩加・Period.代表
1994年生まれ27歳。
2016年動画コンサルティングを行うベンチャー企業
LOCUSに新卒入社。
クリエイティブコンサルタントとして女性商材の
動画プランニングに従事した後、広報を経験。
在職中に海外の吸水ショーツと出会い、
日本で広めたい思いから2018年日本初の
吸水ショーツブランドPeriod.を創業。
「新しい生理の選択肢」「新しい体験」を
提供することをミッションにショーツの
企画販売を
行う。

取材・文=川口あい 撮影=Shin Ishikawa
取材日=2021.12.22
※掲載内容は、取材時点での情報です

これがわたしの#OneMoreChoice

これがわたしの#OneMoreChoice

「自分の体のことを理解して、自分に合った選択をする」
です。

これまで生理関係のプロダクトは使えるものが
決まりきっていて、
それが嫌だとしても他の選択肢が
なく、使わざるを得ない状況でした。
でも今は
月経カップやショーツの他にも世界中に
いろんなプロダクトがあり、
婦人科の病気に対する
医療も含め、選択肢がたくさん増えています。また、
皆さんの声により使える選択肢をもっと増やすことも
可能です。一人一人、
自分に合う選択ができる時代に
なりつつあります。

これからはもっと「必ずこれを使わければいけない」
という我慢をしない世界に
なっていくのが理想です。
まずは自分の体を理解して、自分に合う選択が
できる世の中をつくっていきたいですね。