ツムラ 漢方の歴史

ツムラでは119種類の生薬を漢方薬の製造に用いていますが、このうち、約15%は実は日本で育てられています。なかには、食品にも用いられるような身近なものもあります。

蘇葉
当帰
川キュウ
黄耆
柴胡
枳実
山椒
陳皮
小麦
茶葉

蘇葉ソヨウ

主な産地北海道、岩手
薬用部位シソ科のシソ又はチリメンジソの葉及び枝先
この生薬を含む漢方薬半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)、香蘇散(コウソサン)など
  • 紫蘇(シソ)のなかでも薬用には、葉の表裏とも「紫色」のものを使用します。特にツムラでは自社開発した「赤芳(せきほう)」という品種を用います。
  • 花が咲くと精油成分が急激に低下するため、ツムラでは花が咲く前に専用の収穫機で収穫しています。

当帰トウキ

主な産地北海道、岩手、群馬
薬用部位セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたもの
この生薬を含む漢方薬当帰芍薬散、十全大補湯、人参養栄湯など
  • トウキは日本特産の多年草で、日本各地で栽培されている。
  • 同じセリ科である「セロリ」に似たような香りがします。
  • キアゲハ蝶の幼虫は、トウキの葉が好物とも言われています。
  • 名前の由来はいくつかありますが、嫁が当帰(トウキ)を服用して元気になり、夫(婚家)に「まさ(当)に帰る」ことができたことが語源といわれています。

川キュウセンキュウ

主な産地北海道、岩手
薬用部位セリ科のセンキュウの根茎を、通例、湯通ししたもの
この生薬を含む漢方薬葛根湯加川芎辛夷、当帰芍薬散、温経湯など
  • 暑さに弱く、寒冷地で栽培されるため、北海道や東北地方で栽培されています。
  • ツムラの漢方薬に使うセンキュウの殆どは夕張ツムラが生産しており、大型の機械を使用して大規模に栽培しています。
  • センキュウもセリ科なので、セロリに似たような香りがするとも言われます。

黄耆オウギ

主な産地北海道
薬用部位マメ科のキバナオウギの根
この生薬を含む漢方薬補中益気湯、黄耆建中湯、人参養栄湯など
  • オウギ(黄耆)の「耆」は「お年寄り」という意味で、根が黄色く老人のヒゲの様に長いことが、名前の由来とも言われています。
  • 生薬であるニンジン(人参:ウコギ科)とセットで使われる漢方処方は「参耆剤(じんぎざい)」と呼ばれており、ツムラの漢方薬では補中益気湯など10種類あります。

柴胡サイコ

主な産地高知、熊本
薬用部位セリ科のミシマサイコの根
この生薬を含む漢方薬柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯など
  • ミシマサイコの名の由来は、江戸時代に静岡県三島付近で多く集荷し、流通したことによると言われていて、東海道を上下する旅人が、土産として生薬の柴胡を購入することが習わしであったとされています。

枳実キジツ

主な産地高知
薬用部位ミカン科のダイダイ又はナツミカンの成熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したもの
この生薬を含む漢方薬四逆散(シギャクサン)、大柴胡湯(ダイサイコトウ)、竹筎温胆湯(チクジョウンタントウ)、通導散(ツウドウサン)など
  • 初夏に白色の花をつけ、果実は冬に熟して黄色となります。
  • この果実は次の年まで落下せず、新旧の果実が一本の木になるため、この特徴を長寿の家族に見立てて「代々(ダイダイ)」と呼ぶ説があります。
  • 未熟果実を乾燥したものが「枳実」で、成熟果実の果皮を乾燥させたものが「橙皮(トウヒ)」です。

山椒サンショウ

主な産地高知、和歌山
薬用部位ミカン科のサンショウの成熟した果皮で、果皮から分離した種子をできるだけ除いたもの
この生薬を含む漢方薬大建中湯(ダイケンチュウトウ)、当帰湯(トウキトウ)
  • サンショウは、日本では古くから食用および薬用として広く利用されています。
  • 成熟した果皮を乾燥させたものが生薬「山椒」で、特異な芳香があり、味は苦く舌を麻痺させるのが特徴です。
  • ちなみに中華料理で麻婆豆腐などに利用される「花椒」は、山椒とは精油成分の組成が異なります。

陳皮チンピ

主な産地和歌山
薬用部位ミカン科のウンシュウミカンの成熟した果皮
この生薬を含む漢方薬抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)、釣藤散(チョウトウサン)、茯苓飲(ブクリョウイン)など
  • 果皮を薬用とします。芳香性健胃薬として用いられます。
  • ウンシュウミカンの名は、中国浙江省のミカンの産地である温州を思い起こさせますが、鹿児島県出水郡長島で発生したと言われています。
  • 成熟した果皮を乾燥させたものが生薬「陳皮」、一方未成熟な果皮を用いた生薬は「青皮」と呼ばれ、陳皮とは区別されます。

小麦ショウバク

主な産地北海道
薬用部位イネ科のコムギの種子
この生薬を含む漢方薬甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ)
  • ツムラの漢方薬の中では甘麦大棗湯にのみ使われています。
  • 食品に用いられる小麦と同じものを生薬原料として使用しています。(もちろん、漢方製剤として用いる際は、他の生薬と同様に品質試験をします。)
  • イネ科の生薬には、このほかにビールの原料でもある「麦芽(ばくが)」もあります。

茶葉チャヨウ

主な産地高知
薬用部位ツバキ科のチャの葉
この生薬を含む漢方薬川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
  • ツムラの漢方薬の中では川芎茶調散にのみ使われています。
  • お茶には、大きく3種類の加工方法があります。発酵茶(紅茶)、半発酵茶(ウーロン茶)、発酵させず乾燥させた緑茶の3種類で、生薬としては緑茶を使用します。
  • 茶葉を摘んだ後、積んでおくと発酵するので、緑茶は高温加熱して発酵を止め、加熱しながら揉んで乾燥させます。

[ 日本で育てられている ]生薬

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生薬(しょうやく)と漢方薬の違いは?

生薬とは、漢方薬を構成する原料です。

生薬(しょうやく)とは、植物の葉、茎、根などや鉱物、動物のなかで薬効があるとされる一部分を加工したものです。(加工とは、切る、乾燥する、蒸すなどをさします。)
漢方薬とは、漢方医学の考え方にもとづき、基本的には2種類以上の生薬を定められた量で組み合わせた薬のことです。
例えば、漢方薬である葛根湯(かっこんとう)は、7種類の生薬から構成されています。

漢方薬「葛根湯」を構成する原料の生薬
漢方薬「葛根湯」を構成する原料の生薬
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