自然と健康を科学する ツムラ

専門家監修 今すぐ入りたくなる入浴なるほどガイド

忙しいから…面倒だから…と、シャワーだけで済ませていませんか?
湯船に浸かるとリフレッシュするだけでなく健康や美容に、さまざまな好循環が生まれるんです
ご存じですか?

湯船に浸かる入浴には、シャワーでは得られない4つの作用があります。

温熱作用 体を温めることで血流改善静水圧作用 水圧による血流改善浮力作用 負荷をやわらげリラックス清浄作用 皮膚の汚れを落とす
4つの作用について詳しく見る

いずれも医学的なエビデンスが確認されており、湯船に浸かる習慣づくりがさまざまなお悩みの改善につながり、

より健康的な毎日を送るために役立ちます。

コラム

「お風呂は最強のセルフケア? 入浴のすごい効果」をよむ

入浴効果を高める3つのポイント

01

適温は「自分が心地よい」と思う温度!

入浴では、「心地よい」と感じる温度の湯船に浸かることで、リラックスでき、血液のめぐりも良くなります。ただし、「心地よさ」は人それぞれ。体調やその日の気分によっても変わります。まずは40℃のお湯を張り、足を浸けてみてください。ぬるいと感じたら1℃程度上げ、熱いと感じたら1℃程度下げると、自分に合った快適な温度が見つかります。

02

12~15分浸かるとベスト!

血液が全身を一周するのにかかる時間は、およそ1分。筋肉までしっかり血流を届けるためには、10周分、つまり10分以上の入浴がおすすめです。目安は12〜15分程度。心地よいと感じる温度で、ゆったりと湯船に浸かりましょう。

03

水分補給を忘れずに!

入浴で汗をかくと、脱水のリスクがあります。そのため、入浴前後にはしっかり水分補給を行いましょう。糖分の多いジュースやお酒は避け、吸収しやすいスポーツドリンクや水・お茶を選ぶのがおすすめです。

こんなお悩み、ありませんか?

気になるものを
選んでみましょう

疲れが抜けない肩こり・腰痛冷えがつらいぐっすり眠りたい
リラックスしたい美肌を目指したいむくみが取れない目が疲れる

入浴でスッキリ解決!

Bath solves problems

疲れが抜けない

栄養補給&入浴で相乗効果を狙おう

湯船に浸かると血流が促され、全身に酸素や栄養がしっかり行き渡ります。入浴前に栄養を摂っておくことで、その働きはさらに高まります。また、湯船に浸かることで一時的に体温が上がり、入浴後にスムーズに下がることで自然な眠気を誘います。体温リズムが整うことで睡眠の質を高め、成長ホルモンの分泌を促して、傷んだ細胞を修復。結果として、心と体の疲労回復につながります。

ワンポイントアドバイス

疲労回復のコツは、入浴の2〜3時間前にタンパク質を摂ることです。心地よい温度の湯船に15分ほど浸かると、血液のめぐりがよくなり、栄養素が筋肉までしっかり届くと考えられます。

栄養補給&入浴で相乗効果を狙おう イメージイラスト
肩こり・腰痛

温熱効果と浮力でラクになる!

肩こりや腰痛の多くは、筋肉の血流が滞ることで起こります。肩こりの場合は、肩までしっかり浸かって温めることで血管がやわらかくなり、血流がスムーズになります。腰痛の場合も温めることで血流が改善されるうえ、お風呂の浮力によって腰や関節への負担が軽くなり、体がラクになります。

ワンポイントアドバイス

肩こりがつらいときは、腕を前に伸ばして浮かせてみましょう。腕が軽く感じられれば、力がしっかり抜けているサインです。

温熱効果と浮力でラクになる! イメージイラスト
冷えがつらい

心地よい温度&水圧で血行改善!

血液のめぐりが悪くなると、体は〈冷え〉を感じやすくなります。めぐりを整えるには、熱いお湯ではなく「気持ちいい」と感じる温度のお湯に、およそ15分ほどゆっくり浸かるのがポイントです。肩までしっかり浸かることで、お湯の温かさと水圧の作用が加わり、心肺機能が高まって血流がスムーズに。全身の血液循環が促され、体の内側からポカポカと温まります。

ワンポイントアドバイス

熱い湯船に浸かると血管が収縮し、心臓への負担が大きくなってしまいます。そのため、血液のめぐりを整えるには、リラックスできる温度のお湯が最適です。入浴中には、足の指のつけ根にある冷えの特効ツボ「八風(はっぷう)」を、強めに押してみましょう。血流とリンパの流れを促し、冷えの緩和に効果的です。

心地良い温度&水圧で血行改善! イメージ心地良い温度&水圧で血行改善! イメージ
ぐっすり眠りたい

入眠時に体温が下がるタイミングを狙おう

ぐっすり眠りたいときは、入浴によって“眠りに適した体温リズム”を整えるのがおすすめです。人の体温(脳や内臓の温度=深部体温)は一日のうちで変動しており、夜になると自然に下がることで眠気が訪れます。入浴で一度体温を上げておくと、入浴後にスムーズに体温が下がり、眠りに入りやすくなります。また、血液のめぐりが促されることで熱の放散が進み、入浴しないときよりも体温を下げやすくなるため、より深い眠りにつながります。

ワンポイントアドバイス

湯船に浸かると、体温はおよそ1℃ほど上がります。その体温が下がるまでには、およそ90分かかるといわれています。ぐっすり眠るためには、お布団に入る90分ほど前にお風呂から上がるのが理想的です。

入眠時に体温が下がるタイミングを狙おう イメージイラスト
リラックスしたい

ぬるめのお湯と薄暗い環境で手足を伸ばそう

熱いお湯は交感神経を刺激し、血管の収縮や血圧上昇を招くため、リラックスには不向きです。ぬるめのお湯に静かに浸かり、灯りを落として手足を伸ばすと、副交感神経が働きやすくなり、心身がゆったりと落ち着きます。

ワンポイントアドバイス

湯船に浸かりながら、腹式呼吸を7〜8回行ってみましょう。腹式呼吸をすると、副交感神経が優位になり、心も体も自然にリラックスします。

ぬるめのお湯と薄暗い環境で手足を伸ばそう イメージイラスト
美肌を目指したい

水分を補い、栄養を届けてお肌をキレイに!

湯船に浸かるだけで、全身の汚れの50%程度は落ちるとされています。肌に負担をかけないようにやさしくボディーソープなどで汚れを落とし、その後、ぬるめの湯船に浸かって血液を循環させましょう。肌に水分と栄養がいき届き、健康でうつくしい肌を保つことができます。

ワンポイントアドバイス

湯船に浸かると、水分が肌に浸透することで、角質水分量が一時的に増加します。しかし、お風呂からあがってそのままでいると、10分後には角質水分量は入浴前とほぼ同じになり、その後は入浴前より減少し、乾燥してしまいます。お風呂あがりは、10分以内のスキンケアを意識しましょう。

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むくみが取れない

お風呂の温熱&水圧がむくみを軽く!

むくみは、細胞と細胞の間を満たす水分(間質液)が、血管やリンパ管にうまく吸収されずにたまってしまうことで起こります。湯船に肩まで浸かると、全身に水圧がかかり、温熱との相乗効果で血液の流れがよくなります。特に足には水圧が直接かかるため、たまっていた水分が血管へ押し戻され、むくみの改善につながります。

ワンポイントアドバイス

湯船に浸かりながら、足首からふくらはぎにかけて軽くマッサージしてみましょう。たまっていた水分のめぐりがよくなり、足のむくみの解消につながります。

お風呂の温熱&水圧がむくみを軽く! イメージイラスト
目が疲れる

リラックス&血行促進で目の疲れをケア

心地よいと感じる温度の湯船にゆったり浸かることで、全身の血液循環が良くなるだけでなく、「休息・リラックスの神経」である副交感神経が優位になります。その結果、目の周り​を含めた全身の血のめぐりが整い、心も体もほぐれていきます。

ワンポイントアドバイス

湯船に浸かりながら、温かく絞ったタオルを目の上に5〜10分ほど乗せてみましょう。目の周りの筋肉を集中的にほぐすことができます。

リラックス&血行促進で目の疲れをケア イメージイラスト

ところで、

日本では、入浴を「養生」のひとつと考えていたんです

養生と入浴

「養生」は、日本に古くからある言葉で、心身の状態を整えたり、健康を増進・維持したり、病気を治癒するための心がけや対処のことを指します。食事や睡眠、運動に加え、適切な入浴も養生の一つとして大切にされてきました。入浴は、体を清潔に保つだけでなく、血行を促進させることで体の状態を健やかに整え、心をリラックスさせる効果が期待できます。

入浴とその歴史

古代

古代では身を清める宗教儀式として存在し、薬草を煎じて利用していたとされています。

6世紀~

飛鳥時代

仏教が伝来すると、『温室経』(おんしつきょう)に記された「七つの病を除く」ものとして、入浴の健康効果が知られるようになります。

8世紀頃

奈良時代

東大寺などの寺院に、入浴のための釜を据えた「浴堂」が設置されるように。僧侶たちが身を洗い清めるほか、来訪者に振る舞うこともあったとされています。

9世紀頃

平安時代

貴族の間で蒸気浴や沐浴が普及。位の高い貴族は平均して2~3日に1回の頻度で入浴していたほか、様々な行事や新年の節目などに行っていたとされています。

12~14世紀頃

鎌倉時代

庶民を入浴させて仏教の教えを説く「施浴(せよく)風呂」などによって庶民にも入浴が広まりましたが、こうした特別な機会を除く日常では、武士も行水で体を洗い清めていました。

14~16世紀頃

室町時代

病気の治療や養生訓を記した『庭訓往来』(ていきんおうらい)という書物に、日本の植物を用いた「五木一草湯」(ごぼくいっそうとう)という入浴剤の原型が記されています。

16世紀頃

安土桃山時代

有力な武将の屋敷に浴室が設けられるようになりました。(豊臣秀吉が築いた「聚楽第」の蒸し風呂など)この頃はまだ、下級武士や庶民の間では、行水をつかっていたようです。

17~19世紀頃

江戸時代

江戸時代になると銭湯が登場。当時は男女混浴の浴場が一階、二階が休憩所という構造で、入浴だけでなく、庶民の休息、交流の場として発展していきました。貝原益軒の『養生訓』にも、入浴の心得が詳しく記されています。

19~20世紀

明治時代

かまどの上に木製の風呂桶を据えた「五右衛門風呂」「鉄砲風呂」などが普及し、「お湯に浸かる」入浴が一般化。明治30年(1897年)に津村順天堂(現ツムラ)から、「くすり湯 浴剤 中将湯」が発売されました。

20世紀

昭和時代

昭和初期、ガス燃焼を利用した一般家庭向けの風呂釜が登場。戦後高度成長期によるマイホームや公団住宅の普及にあわせて「バランス釜」が一般的となり、より手軽に入浴できるようになりました。

21世紀~

平成~現代

入浴設備の発展や人々の健康意識の向上などから、汚れを落とすための入浴から、「ウェルビーイング」を高める手段としての入浴に進化。入浴に関する研究も進み、より健やかで快適な生活のための生活習慣として注目を集めています。

文化としての入浴

入浴には、季節を感じたり、人とのつながりを深めるといった文化的な側面もあります。また、親子や親しい間柄での入浴は、会話や交流の場としても古くから親しまれてきました。日本での入浴は、汚れを落とし、疲れを癒やし、不調をやわらげるだけでなく、人と人とのつながりを深め、心に豊かさをもたらす文化としても大切にされてきたのです。

文化としての入浴 イメージ

コラム

「湯に映る日本の心:歴史と文化で紐解くお風呂の系譜」をよむ

季節湯を楽しもう

「季節湯」という言葉をご存知ですか? よく知られているのが5月の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)、12月の冬至の柚子湯で、いずれも江戸時代頃から庶民に普及したようです。菖蒲などはスーパーでも入手可能ですが、四季折々の薬草成分を配合した入浴剤を取り入れ、色や香りとともに入浴を楽しむのもおすすめです。

季節湯を楽しもう イメージ
温浴効果を高める 入浴剤

湯船にゆっくり浸かるのが苦手な方にも活用していただきたいのが、温浴効果を高める入浴剤です。SNSや口コミで、自分にあった入浴剤を探してみましょう!

温浴効果を高める
入浴剤 イメージ

コラム

「〈もったいない〉から始まった入浴剤の歴史」をよむ

この機会に、あなたらしい入浴スタイルを探求してみましょう!

監修者プロフィール

石川 泰弘

日本薬科大学 スポーツ薬学コース特任教授 博士(スポーツ健康科学)、温泉入浴指導員(厚生労働省規定資格)、睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定資格)。「お風呂教授」として TVや雑誌をはじめとする多くのメディアで活躍。 多くの日本代表チームやトップアスリートに対して入浴や睡眠を活用したリカバリーに関する講演なども行っている。

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