帰脾湯

きひとう

「気」と「血(けつ)」を補い、「脾(ひ)」の働きを高める

「帰脾湯」は「気」も「血」も不足したときに用いられる処方で、「五臓」の「脾」の働きが低下した「脾虚(ひきょ)」を改善する代表的な薬のひとつとされています。「脾」には、食物の養分を生体エネルギーである「気」に換えて体じゅうに運ぶ働きがあります。「脾虚」とは、ひと言でいえば胃腸虚弱です。

虚弱で血色が悪い人の不眠や貧血などに用いられる

「帰脾湯」は、体力がなく、胃腸虚弱な人で、疲れやすい、食欲がないといった「気虚(ききょ)」の症状や、顔色が悪いなどの「血虚(けっきょ)」の症状がある場合の、不眠症や不安、抑うつ気分、あるいは、貧血の治療などに用いられます。寝汗、動悸などの症状も処方の目安となります。

  • 「気・血・水」は、不調の原因を探るためのものさしです。
    漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されていて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きてくると考えられています。
    「気(き)」:目には見えない生命エネルギーのこと。「元気」の気、「気力」の気、「気合い」の気。「自律神経(体の機能を調整する神経)」の働きに近いとされています。
    「血(けつ)」:全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与えます。主に血液を指します。
  • 五臓:西洋医学とは異なる臓のとらえ方で、肝・心・脾・肺・腎の働き

配合生薬

黄耆(おうぎ)酸棗仁(さんそうにん)人参(にんじん)白朮(びゃくじゅつ)茯苓(ぶくりょう)遠志(おんじ)大棗(たいそう)当帰(とうき)甘草(かんぞう)生姜(しょうきょう)木香(もっこう)竜眼肉(りゅうがんにく)

出典:「NHKきょうの健康 漢方薬事典 改訂版」 (主婦と生活社)
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