2026.03.06
養生のすすめ
入浴
入浴による背中にきびのケアについて(後編)
前編では、背中の美しさを守る鍵が「皮膚常在菌のバランス」にあることをお話ししました。後編では、ニキビや湿疹などをつくらない入浴メソッドを具体的にお伝えします。是非、今日から意識して入浴してください。
背中トラブルを防ぐ入浴の基本ステップ
背中のニキビや湿疹を防ぐためには、洗う順番や入浴後のスキンケアのタイミングがポイントになります。基本的な流れは、最初に髪の毛を洗い、次に体を洗って、そして最後に湯船につかる。そして浴室から出たらスキンケアというステップです。当たり前と言えば当たり前ですが、実はそれぞれの過程でポイントがあります。
まず浴室に入ったら、最初に髪の毛を洗います。そして、トリートメントした後に、背中にシャンプーやトリートメントの成分が残らないよう、しっかりとお湯で髪と背中を洗い流しましょう。髪の毛の艶をだしたり、指通りを良くしたりする成分が背中に残ってしまうと、毛穴を塞いでしまい、毛穴の奥に皮脂が残ってしまいます。毛穴に残った皮脂はアクネ菌を増殖させてしまう恐れがあります。また、トリートメントに含まれるカチオン界面活性剤が肌に残ってしまうと表皮ブドウ球菌が死滅してしまい、お肌を弱酸性に保てなくなってしまいます。
体は「泡でなでる」が基本
次にカラダを洗います。その際のポイントは、ボディソープをたっぷり泡立て、手を使って優しく撫でるように洗うことです。決してナイロンタオルなどでゴシゴシ擦らないでください。ボディソープはアルカリ性のものが多く市販されているので、敏感肌の人は弱酸性のボディソープの利用をオススメします。前編でお話ししましたが、強い摩擦はアクネ菌が暴走しないように見張っている表皮ブドウ球菌を少なくしてしまいます。撫でるだけで十分です。実はお湯に浸かるだけで汚れの50%程度は落ちてしまう、という研究結果もあります1)。
仕上げは10分間のぬるめ入浴
仕上げは、40℃前後のぬるめのお湯に10分間程度つかることです。洗い流しきれなかったヘアケア成分を完全に取り去るだけでなく、お湯で温まることで毛穴の奥の溜まっている皮脂が溶け出していきます2)。毛穴の皮脂が減り、酸素が供給さるようになると、アクネ菌の暴走も自然に抑えることができます。
ぬるめのお湯での入浴がポイントのため、浴室をあらかじめ温めておけるといいでしょう。
水道水の「塩素」にもひと工夫
日本の水道水には「塩素」が含まれています。衛生面を考えると塩素は必要不可欠ですが、強い酸化作用を持っているため、肌表面のタンパク質を傷つけ、バリア機能を担う表皮ブドウ球菌などの善玉菌にダメージを与えてしまうことがあります。1番風呂で感じるピリピリ感は、肌が悲鳴を上げているサインかもしれません。
この塩素の刺激を和らげるために効果的なのが入浴剤です。入浴剤にはLグルタミン酸ナトリウムやビタミンCが塩素除去剤として配合されているので、お湯に含まれる塩素を除去し、肌へのダメージを軽減してくれます。また、トウキ(当帰)やセンキュウ(川芎)などの生薬エキスを配合したものは、温浴効果を高めて血行を促進し、肌に必要な栄養素を届けることで、健やかな肌づくりをサポートしてくれます。
入浴後10分以内の保湿がカギ
最後はお風呂から上がった後の肌ケアです。入浴後の肌水分量は、10分ほどで入浴前と同程度まで低下し、その後2時間ほど乾燥状態が続くといわれています3)。お風呂上がったら10分以内の保湿がオススメ。肌に水分量が保持されている間にクリームや乳液でうるおいを閉じ込めましょう。
背中ケアは、毎日の積み重ね
美しい背中を手に入れるために必要なのは、単に汚れを取り去るのではなく、常在菌がバランス良く生息できるよう環境も整えてあげることです。日々のケアを継続することで、自ずと健やかで美しい状態へと整っていくはずです。今年の春は、軽やかなファッションを気兼ねなく楽しむことができるでしょう。
参考文献
(1)浴用剤の皮膚への効果、 Fragrance Journal(2):25-29、1993
(2) DONALD T. DOWNfNG JOHN s. STRAUSS. (1974) Synthesis and composition of surface lipids of human skin. THE JOURNAL OF INVESTIGATIVE. DERMATOLOGY, 62, 228-244.
(3)ミロバラン果実エキスのスキンケア製剤への応用 日本薬学会第130年会 2009年28日〜30日 岡山市開催



