急性から慢性までの痛みに広く使われる
「疎経活血湯」は、血液や水分の通り道の流れをよくし、血液循環や水分代謝を活発にするという意味をもつ名前の漢方薬です。
17種類もの生薬からなる薬で、痛みを散らす生薬や、血液の循環をよくする生薬、余分な水分を取り除く生薬などから構成されています。
主に「血(けつ)」※が不足した「血虚」に対する処方ですが、「血」の巡りが悪くなった「瘀血(おけつ)」や、「水(すい)」※が停滞した「水滞」もあわせて改善し、急性痛から慢性痛まで、幅広く痛みのあるときに使われています。
関節痛や神経痛などで特に下半身の痛みに効果的
一般に、体力は中くらいの人の関節痛、腰痛、神経痛、筋肉痛などに用いられます。特に腰から脚など、下半身の痛みに効果があるとされますが、肩こり、手足の痛みやしびれなどにも使われます。
加齢にともなって増える変形性関節症や変形性脊椎症、関節リウマチなどの痛みに用いられることもあります。
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「気・血・水」は、不調の原因を探るためのものさしです。
漢方では、私たちの体は「気・血・水」の3つの要素が体内をうまく巡ることによって、健康が維持されていて、これらが不足したり、滞ったり、偏ったりしたときに、不調や病気、障害が起きてくると考えられています。
「血(けつ)」:全身を巡ってさまざまな組織に栄養を与えます。主に血液を指します。
「水(すい)」:血液以外の体液全般に相当し、水分代謝や免疫システムなどに係わっているものとされています。
配合生薬
芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)、川芎(せんきゅう)、蒼朮(そうじゅつ)、当帰(とうき)、桃仁(とうにん)、茯苓(ぶくりょう)、威霊仙(いれいせん)、羌活(きょうかつ)、牛膝(ごしつ)、陳皮(ちんぴ)、防已(ぼうい)、防風(ぼうふう)、竜胆(りゅうたん)、甘草(かんぞう)、白芷(びゃくし)、生姜(しょうきょう)
出典:「NHKきょうの健康 漢方薬事典 改訂版」 (主婦と生活社)
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