漢方の概念にある「腎虚(じんきょ)」とは、生命エネルギーが衰えた状態のことを指します。つまり腎虚はフレイルに近い状態と言えます。
そういった兆候を、簡単に測定し、できるだけ早く発見する方法「Jスケール」 (Japan Frailty Scale:JFS)を紹介します。
Jスケールとは
Jスケールは、漢方医学の老化の概念に基づいて、フレイルの簡単な自己申告スクリーニングスケールとして開発されました。
このJスケールを用いて、フレイルまたはその前段階のプレフレイルの判定を行うことができます。
質問は、漢方医学の「腎虚」の概念を踏まえた内容になっています。Jスケールの「J」には、Japan、腎虚(Jin-kyo)の2つの意味が含まれています。

Jスケールでは、夜間頻尿、腰痛、下肢の冷え、身体のだるさ、および年齢の5つの質問を使用してフレイルをスクリーニングします。機器による測定や専門的な相談が不要で、項目数が少なく時間が限られているプライマリ・ケアの現場での使用に適しています。
スケール合計が4点以上の場合はプレフレイルの可能性がありますので、生活を見直し、医師に相談することも考えましょう。
Jスケール(Japan Frailty Scale:JFS)
質問項目(Q1〜Q5)に回答し、合計点が4点以上はプレフレイルと考えられます。


監修医師
大阪大学大学院医学系研究科 先進融合医学共同研究講座 特任教授
萩原 圭祐先生
プロフィールを見る
<学歴・研究歴>
平成6年、広島大学医学部医学科 卒業
平成16年、大阪大学医学系大学院博士課程 修了、大阪大学微生物病研究所 研究生
平成17年、大阪大学医学部附属病院 免疫アレルギー感染内科 医員
平成18年、大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー内科 助教
平成23年、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座 准教授
平成29年、大阪大学大学院医学系研究科先進融合医学共同研究講座 特任教授
<職歴>
平成6年、大阪大学医学部附属病院第三内科 研修医
平成7年、国立大阪南病院 免疫内科 研修医
平成8年、社会福祉法人愛染橋病院 内科 医員
平成10年、大阪府立羽曳野病院 循環器内科 医員
<所属学会>
日本内科学会(総合内科専門医、内科指導医)
日本リウマチ学会(リウマチ専門医、リウマチ指導医、リウマチ学会評議員)
日本東洋医学会(漢方専門医、漢方指導医、東洋医学会代議員)
<著書>
「漢方がみちびく心と体のレジリエンス(回復力)」
- 2022年当時の情報となります
Keywords
- フレイル予防
- 健康寿命