撮影:目黒智子  撮影協力: Alternative(西麻布)

2018.10.30

わたしと漢方

自分の体と向き合い、バランスを大事にすることがクオリティ・オブ・ライフにつながる

大草直子 スタイリスト兼WEBマガジン「mi-mollet(ミモレ)」コンセプトディレクター

スタイリストとして、またWEBマガジン『mi-mollet(ミモレ)』のコンセプトディレクターとして、多くの女性から支持される大草直子さん。ご自身の仕事を通じて、より豊かな毎日を過ごすための働き方や生き方を日々発信しています。プライベートでは3人の子を持つ母であり、忙しい毎日を送りながらも仕事と家庭を両立しています。「自分の体と向き合い、バランスを大事にすることがクオリティ・オブ・ライフ=”より豊かな毎日”につながる」と語る大草さんに、今回お話をうかがいました。

自分の体の状態を知り、自分の体と向き合うこと

私自身、基礎体力がすごくあって、普段から本当に元気にしていますので、丈夫な体に産んでくれた両親には本当に感謝していますね。良くも悪くも替えがきかない仕事なので、体が資本だと常に思っています。もし私が倒れたら全ての仕事が飛んでしまうので、そこに対する責任感は若い頃から持ってはいたかな。ただ、年齢とともに体の不調はいろいろと感じますよね。もう完治していますが、大病も経験していますしね。

最近だと、貧血がひどかったんですよね。あまりに毎日が忙しかったので、撮影の時にちょっと意識が遠のくみたいなことがあって。それで血液検査をしてみたんです。そうしたら結果がひどかったんですよね、医者からは「よく立っていられますね」って言われたくらい。その時に、貧血っていうのは貯金みたいなものって言われて、なるほどなって思ったんですよね。栄養とか休養なんかの蓄えがなくなると貧血が起こりやすくなるっていう。でも、それがきっかけで自分の体と向き合うようになりましたし、自分の体の弱いところもわかりましたよね。疲れが溜まるとここに出るのだなってことも自分でわかるようになって。漢方薬もその時に処方されて、当帰芍薬散を服用していました。

母からの教えとQOL(クオリティ・オブ・ライフ)のあり方

母は今も栄養学に関する仕事をしているのですが、私が小さい頃から食べるものには気を使ってくれていましたね。野菜やタンパク質を多く摂ってバランスよく食べるとか、体を冷やすものを摂らないとか。今でいう食育ですね。だから、私の3人の子どもも含めて我が家の健康は母が管理してくれていますね。最近、母もInstagramを始めたのですが、私の投稿を見て「最近、飲み過ぎですよ!」とか「何日連続で飲んでいるんですか?」って連絡がLINEできたり(笑)。そんなことも含めて私たちの健康管理をしてくれているのだと思います(笑)

今は長男もだいぶ丈夫になりましたけど、小さい頃はしょっちゅう病気をもらってきていましたね。春先だったり夏の疲れが出るころだったり、子供が風邪を引きやすい時期ってあって、その時期は本当に気をつけていましたね。子どもたちが熱を出しても私は仕事に行かなくてはいけないので、そこはもちろん実家に預けたり、ベビーシッターの手を借りたりしていましたね。でも、スープだけは毎晩、やはり母として私が作ってあげていました。具材をとにかくスープにつっこむだけでしたが(笑)、味噌汁やクラムチャウダー、鶏で出汁をとったスープなんかを作って食べさせていました。

でも、ティーンネイジャーになると、ファストフードも食べるし、お菓子も食べるし、きのこなんて絶対食べないし。そのうち食べるかな(笑)? でも、それはそれで子供の世界だから全部がNGではないけれど、親がコントロールできる年齢の時に食への知識や体験をちょっと貯金させておく、みたいなことは大事ですよね。

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)のあり方をみなさんなりに考えていますよね。食についてもそうですが、QOLを充実させるにはバランスがすごく大事ですよね。自分が良いと思う価値観を自分で決めるってことと、そこに対するルールを自分で選び取るってことがとても大事ですよね。誰かが言っているからとか、世の中の大勢がこうだからというルールだとバランスを欠いてしまいます。私の場合、情報はいくらでもあって、自分で選び取れるようにもなっているけれど、結局、今活きている知識や考え方は母からずっと教わってきたことだなって感じますね。

興味を持ち始めたのは最近ですが、概念も含めて漢方薬はすごく面白いですよね。まず自分の体のタイプを知ることだったり、自分の体がどういう状態なのかを知らないといけないってことでしょ? それに、漢方にはケミカルな成分がなかったので抵抗なく飲めましたね。飲んだ時に顆粒が甘く感じましたし、胃にくることもありませんでしたね。自分の体に合っているなと感じましたね。

より楽しく暮らしていくために、生活偏差値をあげていく

『mi-mollet』を立ち上げたのが3年半前なんですけど、そのころ女性たちに感じていたのは、とても忙しいうえに情報過多でいろいろなものに追い詰められているなってことでしたね。すごく辛そうだから楽にしてあげたいなと思って、『mi-mollet』を始めました。だから、ファッションの情報もたくさん扱っていますが「これが流行っている」とか「これを買いましょう」ではなくて、どんな記事でも「これがあるともうちょっとコンフォタブルになりますよ」と、そういう言い方をしているんですよね。

先ほどのQOLの話と同じで、より楽しく暮らしていくために健康偏差値だったり生活偏差値をあげないと意味がないですよね。私はメディアで生きている人間なので、そのために良い情報やこれが絶対良いと思う情報をできるだけ発信していきたいです。例えば、女性の場合、ホルモンバランスが心身に影響することがとても多いですし、病気とも呼べないような女性特有の症状や状態みたいなものに対して、ちゃんとした情報を発信したいですよね。そういった情報を出していくことで、読者に安心してもらえると思うんです。そうすれば、更年期に起こる症状ひとつ取っても決して怖いものじゃないし、ある意味みんなが通る道なんだな、くらいに思っていられますよね。『mi-mollet』でも一度しっかり取り組んでみたいと思っていて、世の女性たちのためにも使命としてやらなきゃいけないと思っていますね。

大草直子/おおくさなおこ

現・ハースト婦人画報社へ入社後、独立。ファッション誌、カタログを中心にスタイリングをこなす傍ら、イベント出演や執筆業にも精力的に取り組む。著書『大草直子の「STYLING&IDEA」』(講談社)ほか多数。

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