撮影:兼下昌典 ヘアメイク:渡嘉敷愛子
2021.02.26
わたしと漢方
もっと自分を大事にして、身体のことを考えながら、美容を楽しみましょう、ということをこれからも伝えていきたい
千國めぐみ 俳優・モデル
俳優・モデルとして活躍する千國めぐみさんは、美容薬学検定1級やスキンケアマイスターなどの資格を取得し、雑誌やSNSなどを通じて美容に関する情報を積極的に発信しています。また、漢方養生指導士の資格も持ち、漢方や健康について豊富な知識を持たれています。「美容のことだけではなく、身体のことも一緒に考えていくことが大事です。そして、お肌も体調も毎日変化するものだからこそ、今の状態を理解した方がいいです」と千國めぐみさんは語ります。今回、千國めぐみさんにご自身のワークライフ・バランスや健康に対する思いについてお話をうかがいました。
不調を感じたらまず自分の今の状態を考えてみる
なにか身体の不調を感じたら、今の自分の状態を考えて何種類か常備している漢方薬を飲むようにしています。あとはアーユルヴェーダのサプリを毎日飲むようにして体調を管理していますね。
もともと美容が好きなんですが、なんでも突き詰めたい性格で、もっと詳しく知りたいなと思っているうちに、どんどんインナービューティに向かっていきましたね。突き詰めていくうちに、体を根本から改善させていく薬膳や漢方の考え方に辿り着き、これこそが根源的な美容だと感じました。スパイスの効いた台湾の薬膳にも出会い、どんどん引かれていって。漢方の考え方の基本となる五行式体表も覚えて、さらに興味が増していった感じです。漢方は知れば知るほどすごいなって思います。
毎日変化するものだからこそ今の状態を理解することが大事
例えば、ちょっと変だなと感じて漢方薬局に行くと、ここが痛くて、こんな感じで、こういう症状があって、こういったものを食べていてと伝えていくことが症状を把握することになるじゃないですか。でも、西洋医学の考えでは、人それぞれの生活習慣などの背景は関係なく、結果的な症状が同じなら出される薬は皆同じものになります。西洋医学の利点はたくさんあるのですが、漢方のことを知っていると、この点は疑問に思って。体質や不調は本来は人それぞれですよね。
未病という言葉がありますが、病気を手前で防げることがいっぱいあったりしますよね。そのためには、スキンケアもそうですが、今の自分の状態はどうなのかを理解することが一番大事だと思っています。毎日変化するものですからね。ホルモンバランスもそうではないでしょうか。毎日そのことを意識して、今日は食べ物を変えてみたり、あるいは食べたくないなと思ったら食べない日もあって、それはそれで自然なことですよね。
最大の幸運期が終わったとしても生きていることがミラクル
赤ちゃんの時、身体が弱くて死にかけたことがあったんですよね。1歳にもなっていない乳児の頃なんですけど、肺炎で救急搬送されました。本当に死ぬかもしれない、みたいな状態だったそうです。それを自分で何となく潜在的に分かっているから、健康に対してめちゃくちゃ貪欲で敏感なんだと思います。ちょっとおかしいな、体が変だな、心が変だなと感じると、「ちょっと待って」とまず自分で体調のことを考えてみるようにしています。
以前、インド占星術で見てもらったことがあるのですが、私の人生の絶頂期である木星期が生まれる前から1歳までなんですよ。生後すぐに肺炎で死にかけたにも関わらず、こうして生きていられることがミラクルなんだとその時に思いました。私の最大の幸運期はもう終わってしまっていて、つまり生きていること自体がラッキー、みたいな感じです(笑)。
極端過ぎずにグラデーションで考えられるように
すごくラッキーなことに仕事とプライベートのバランスがだいたい半々なんですよね。忙しすぎることもなく、かと言って暇でもなくて、ずっと良い塩梅でワークライフ・バランスを保てています。もっと働いたほうがいいのかなと思った時もあったんですけど、多分そうするとメンタルがわーっとなっていたと思います。私は自分がタフじゃないことを知っていますから、このペースでよかったのかなって思います。
SNSで美容や身体のことについての悩みを相談されることが多いのですが、日々忙しく過ごしていると、今の自分の状態がどうかっていうことを忘れてしまって、感覚が麻痺していってしまうのかもしれませんね。女性は特に生理の時の痛みや悩みをそのままにしてしまっている方が多い印象があります。痛みや不快感は身体からのSOSなはずなのですが、そのことを忘れてしまっているのではないかなっていうのを最近感じます。例えば生理痛に痛み止めは有効ですが、根本的な解決にはならないですよね。常に痛くならないようにしてあげることが治療だと思います。自分の身体が訴えるSOSの声を抑えるのではなく、ちゃんと聞いて解決してあげて欲しいなと思います。
身体のことを考えながら美容を楽しみましょうということを伝えていきたい
今年の冬はとても寒かったですよね。私は寒気にすっかりやられてしまいました。冷えは痛みの元にもなるので、冷気は天敵なのですが、家でも床からの冷気がすごくて。それで、自分が思っている以上に身体が冷えたみたいで、寝られないくらい股関節が痛くなってしまいました。病院で検査してもらって、なんともないようだったので、血流を改善したり体を温める漢方薬を飲んでいます。
体調に合わせて漢方薬を飲み始めてから、今日はまずいかもしれない、みたいな日がこれまであったんですけど、それが全くなくなりました。不調の治りも早いです。シミもできてはいますが気にならないです。私はクマと万年仲良しだったんですが(笑)、それもだいぶなくなりました。SNSで美容についての悩みを聞くと、肌の悩みが絶対的に多いのですが、首から上と身体とを切り離して捉えている方が多くて、そこに違和感を感じています。たしかに肌のトラブルは顔に出ることが多いですが、そもそも肌は自分の身体が作るものです。肌にトラブルが出るということは、身体にトラブルが起こっているということ。身体の中身は見えないので忘れられがちですが、身体を大切にしなければ、トラブルはいつまでもなくなりません。魅力的なコスメをたくさん紹介していくことも楽しいのですが、漢方の考え方のような美容の捉え方がもっと広まったらいいなと思います。もっと自分を大事にして、身体のことを考えながら、美容を楽しみましょう、ということをこれからも伝えていきたいと思っています。
千國めぐみ/ちくにめぐみ
ファッションモデル、俳優として活躍しながら、ビューティ雑誌等で美容コラムを連載している。アロマセラピスト、漢方養生指導士、美容薬学検定 1 級などの資格を保有し、美容や漢方に関して幅広い知識を持つ。