
2018.01.01
漢方ブログ
冷えからくる頭痛の原因とおすすめの食べ物・漢方薬を紹介
漢方でいう「頭痛」は、体内の「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」のいずれかの滞りによって、バランスの乱れから起こるものと考えられています。今回は、冷え症からくると考えられる頭痛と、その対処法をご紹介しましょう。
冷え症の方に起こりやすい頭痛
冷え症の場合、頭痛や頭重の原因のひとつは「血」のめぐりが悪く、主に上半身の血行が悪くなることと考えられます。また、「血」だけでなく、エネルギーとなる「気」が不足していると、頭が重く、鈍い痛みが続くような頭痛が起こりやすくなります。「気」が不足している人に起こりがちなことから、疲れの症状も同時にみられることが多いようです。とくに、冷えたときなどにズキズキするような頭痛がある場合は、入浴や運動で体を温め、「血」と「気」のめぐりをよくすることが大切です。

もうひとつは、水分代謝が悪く、体のなかの「水」が滞り、頭痛やめまいなどが起こることも考えられます。漢方では、水分は体内に適正に分布しているもので、適切でない場所にたまってしまった水分を「水毒」と表して、バランスが悪い状態だと捉えます。また、たまった水分によって体が冷えてしまうこともあります。まずは水分代謝を良くするために、軽く汗をかく程度の運動や入浴を行うとよいでしょう。
「水毒」の場合は、とくに湿度が高くなる雨の日や、気圧が変動しやすい台風の時期に、体内の「水」も影響を受けて、頭痛やめまいの症状が多く出やすくなります。「水」の流れが悪いと、「血」の流れも悪くなるなど、相互に関係しながら、症状をより悪化させてしまうこともあるのです。
※急な激しい痛みや慢性的に頭痛が続くときなどは、脳神経外科などを受診して重大な病気がないかを検査するようにしましょう。
「頭痛」に使われる漢方処方
冷えからくる頭痛がある人は、めまい、のぼせ、頭重、肩こりなど、ほかにも不調を抱えていることが多く、漢方では、「気」「血」「水」のめぐりを整えて、不調を改善していきます。
冷え症の方のむくみやめまい、頭重に
漢方処方
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
効能・効果
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)、めまい・立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴り
こんな漢方薬です
「婦人科三大処方」のひとつといわれ、「血」の不足を補い、めぐりを良くして、体内の余分な「水」の偏りを改善し、体を温める漢方薬です。めまいや頭重、むくみ、足腰の冷え症の他、生理不順や月経異常など、広く応用されています。体力がなく疲れやすい人に適しています。
吐き気やめまい、むくみを伴う方の頭痛に
漢方処方
五苓散(ごれいさん)
効能・効果
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹※のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
※残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。
こんな漢方薬です
頭痛やむくみ、下痢など「水」の滞りが原因となる症状を改善する代表的な漢方薬です。体力に関わらず服用することができます。はきけやむくみなどを伴う方に適しています。
「頭痛」におすすめの食べ物
精のつく食べ物は「気」と「血」のめぐりを促します。また、柑橘類やハーブティーは気分をリフレッシュさせてくれるのでよいでしょう。
気と血のめぐりを良くする食材
山芋、松の実、ホタテ、ゆず、みかん

梅雨などの湿度の高い時期は、「水」めぐりを良くする食べ物がおすすめ。ただし、キュウリやスイカなどのウリ科の野菜は、体を冷やしやすいので控えるほうがよいでしょう。
水のめぐりを良くする食材
カボチャ、トウモロコシ、大豆、小豆
