2020.10.01
漢方ブログ
体重増加の原因は水分かも! むくみによる水太りの解消方法
今回は、むくみと体重増加の関係についてご紹介します。
体重増加の原因はむくみ?
冷えている人に多いむくみ
漢方では「気・血・水(き・けつ・すい)」が体内をめぐることによって、体が正常に機能すると考えられています。「気」は体をめぐっているエネルギー、「血」は血液や血液によって運ばれる栄養素、「水」は体をうるおす血液以外の体液などを表しています。
漢方でいう「太る」とは、体重増加した分だけ余分なものを体にためこんでいる状態だと考えられています。つまり、「気・血・水」のめぐりが悪くなり、体の外に余分なものを排出する力が落ちてしまうことで「太る」ものと捉えます。たとえば、「水」が偏ったり滞ったりすることを、漢方では「水毒」といい、水毒が起こるとむくみや水太りなどの不調があらわれます。
とくに冷え症の場合は、「気・血・水」のめぐりが悪くなり「水毒」になりやすくなります。思い当たる節がないのに体重が増加していたり、むくんだりしている場合は、「水毒」が関係しているのかもしれません。
日常生活で起こりやすいむくみ
立ち仕事や長時間のデスクワークで、足がむくむことがありませんか。
長時間同じ姿勢でいると、筋肉があまり動かされず、血液のめぐりが悪くなります。とくに足先は、心臓から最も遠い位置にあり、血液のめぐりが必然的に悪くなります。血液が滞っている場所では、血管から水分がしみ出しやすくなり、余分な水分が溜まってしまいます。
また、体は水分の流れによって老廃物を回収する仕組みがあるため、水分の流れが滞ると余分な水分とともに、老廃物も溜まってしまいます。この状態を「むくみ」といい、さらに、むくみが慢性化し、からだに余分な水分や老廃物を溜め込んでしまっている状態を「水太り」といいます。
むくみの原因
飲食で起こりやすいむくみ
水分を過剰にとり過ぎると、血管内の水分が増えてしみ出しやすくなるうえ、その水分が回収されにくくなるためにむくみが起こりやすくなります。塩分の多い食事をすると、のどが乾いて水分をとり過ぎてしまいますが、それだけではなく、体内に塩分が多くなると、体は濃度を一定に保とうとして、水分をため込みやすくなり、むくみを悪化させてしまいます。
一方、体が水分不足になってもむくんでしまうことがあります。心臓から送り出される血液は、体のすみずみまで行き渡り、しみ出した水分を老廃物などとともに吸収するのですが、水分不足になると血流が滞り、組織内に水分がとどまってしまうからです。お酒を飲むとむくみやすいのも、実は水分不足によるもの。アルコールは利尿作用を高めるため、飲んでも水分を排泄して水分不足となり、その結果、血流が滞って水分を回収できずに顔や手足のむくみとなって現れてしまいます。
女性に起こりやすいむくみ
女性の場合は生理周期によりホルモンバランスが変わるので、むくみやすい時期やむくみにくい時期があったりします。プロゲステロンの分泌が徐々に増える生理前2週間(黄体期)は、むくみやすくなります。このため、生理前に体重が増加し、生理が終わると体重が元に戻るという方もいます。
また、男性より女性のほうがむくみを感じやすいといわれるのは、筋力の差も関係しています。とくに、下半身の筋肉は血液を心臓へ戻すためのポンプの役割を担っていますが、女性は筋肉量が少なく、血液を心臓へ押し戻す力が弱いため、血流が滞りがちです。その結果、血管から細胞液としてしみ出る水分が多くなり、これがむくみの状態となって現れます。
むくみの改善方法
むくみや、それに伴う体重増加は、生活習慣の見直しなどを行うことで改善できます。また、むくみやすい部位の筋肉を伸ばしてみたり、マッサージしたりすると予防につながります。ここでは簡単にできるむくみの改善方法をご紹介します。
筋肉を鍛える
筋肉は、収縮することによって血液を循環させるポンプの役割をはたしています。とくに、下半身は心臓からもっとも遠い位置にあるので、下半身の筋肉の力を鍛えると血流改善に効果的です。筋肉を鍛えることは冷え症にもおすすめ。体熱の多くが筋肉によってつくられるため、筋肉が増えると体が冷えにくくなるのです。
入浴で温まる
むくみは、冷えなどで血行が悪くなると悪化します。血行が良くなると、心臓に血液が戻るときに、体の水分や老廃物が回収され、むくみの改善につながります。
入浴のコツは、38~40℃のぬるめのお湯に10分以上、できれば30分程度つかること。みぞおちあたりまでお湯につかる半身浴でじわじわと汗をかくことがおすすめです。
むくみや水太りを改善したいからといって、熱いお湯に長くつかり、汗をかこうとするのは逆効果です。42℃以上の熱いお湯は、交感神経を刺激し、血管を収縮させてしまいます。逆にむくみが悪化しやすい入浴方法なのです。
慢性的にむくみを感じたら?
デスクワークや立ち仕事などで、何時間も同じ姿勢をとり続けると、血行不良から水分の循環が悪くなり、体重が増加するなど、むくんだ状態に陥ってしまいます。しかし、定期的に運動したり、入浴で血行を良くしたりすることで、むくみの状態が改善されやすくなります。
それでもむくみが続くようなときは、別の原因があるかもしれませんので、注意が必要です。とくにむくみと関係があるのは、腎臓、肝臓、心臓などで、これらの機能が不調になると、むくみとなって現れることがあります。また、女性は、女性ホルモンが急激に減少する更年期にむくみが現れやすくなります。むくんだ状態がなかなか戻らず、慢性的にむくみが続くようでしたら、病院を受診することをおすすめします。
むくみや水太りにおすすめの食べ物
むくみには利尿作用のある食材として、トウモロコシ、小豆などがよいとされています。血行促進によいとされる赤身肉やレバー、トマト、カボチャなどや、代謝アップに良いとされるニラやクルミなどの食べ物がおすすめです。
むくみを伴う水太りによいとされる食材
- 赤身肉
- トマト
- カボチャ
- ニラ
- クルミ
- トウモロコシ
- 小豆
むくみや水太りに使われる漢方処方
むくみや水太りにおすすめの漢方処方はこちらです。
とくに下半身のむくみが気になる場合に
漢方処方
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
効能・効果
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
こんな漢方薬です
この漢方薬には、体内の余分な「水」を体外に排出させたり、体内の「水」のバランスを調整したりするはたらきがあります。色白で筋肉がやわらかい、いわゆる水太りタイプの方に適しています。疲れやすく、汗をかきやすい、足がむくみやすいといった人におすすめです。