
2025.03.03
漢方ブログ
頭痛でお悩みの方へ 漢方から考える頭痛の対処法と漢方薬のご紹介
「頭痛がつらくて仕事や授業、家事が手につかない…」
「天気が崩れると頭痛がひどくて何もできない…」
こんなお悩みを抱えていませんか?
日本では、約3人に1人が頭痛もちと言われており、人知れず、頭痛に悩んでいる方が多いようです。
「いつものことだから…」「そのうち治るから」と我慢してやりすごしているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな頭痛に対して、日本の伝統医学である“漢方”の視点からみた生活習慣のワンポイントアドバイスやおすすめの漢方薬をご紹介いたします。
頭痛の分類
頭痛は大きく分けて、原因疾患がなく、一般的に「慢性頭痛」と言われる一次性頭痛と原因疾患のある二次性頭痛に分けられます。
突然の激しい頭痛やいつもと違った痛みを感じる場合などは、二次性頭痛の可能性がありますので、必ず、医師の診断を受けるようにしましょう。
今回は、慢性頭痛についてご紹介していきます。
慢性頭痛は主に「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発性頭痛」に分類されます。

漢方から考える頭痛の原因とは?
漢方の考え方に、「気・血・水(き・けつ・すい)」というものがあります。
「気・血・水」とは生態を維持する3要素で、この要素がカラダを上手く循環することによって生命が保たれていると考えられています。

この3要素にはそれぞれ以下の様なはたらきがあります。
「気」:目に見えない生命エネルギーや精神エネルギー。「気」は呼吸や食物によって作られる。
「血」:血液そのものや血液によって運ばれる栄養、熱を表します。
「水」:体内の液体のうち、「血」を除いたもののこと。
頭痛や頭重の原因のひとつは「血」のめぐりが悪く、主に上半身の血行が悪くなることと考えられます。
また、「血」だけでなく、エネルギーとなる「気」が不足していると、頭が重く、鈍い痛みが続くような頭痛が起こりやすくなります。
「気」が不足している人に起こりがちなことから、疲れの症状も同時にみられることが多いようです。

「血」のめぐりが悪くなったり、「気」が不足したりする原因はさまざまですが、ストレスや冷え、また、女性の場合にはホルモンバランスの乱れなどが原因で悪化することもあるようです。

特に、冷えたときや生理に伴いズキズキするような頭痛がある場合などは、入浴や運動でカラダを温め、「血」と「気」のめぐりをよくすることが大切です。
もうひとつは、水分代謝が悪く、体内の「水」が滞り、頭痛やめまいなどが起こることも考えられます。
また、滞った「水」によってカラダの冷えを招くことも。
まずは水分代謝を良くするために、軽く汗をかく程度の入浴や運動を行うとよいでしょう。
とくに湿度が高くなる雨の日や、気圧が変動しやすい台風の時期に、体内の「水」も影響を受けて、頭痛やめまいの症状が多く出やすくなります。

「水」が滞ると、「血」の流れも悪くなるなど、相互に関係しながら、症状をより悪化させてしまうこともあります。
頭痛のための生活習慣ワンポイントアドバイス
ストレスをため込みすぎない
ストレスを完全になくすのは難しいので、ストレスから離れる時間を意識的につくることを心がけましょう。
マインドフルネスの実践として、ヨガや瞑想もおすすめです。
趣味の時間を大切にしたり、好きな音楽を聴いたりして、リラックスした時間を過ごすのもいいですね。

ストレスを感じたら深呼吸するだけでも気持ちが落ち着きます。
ポイントは吐く時間を吸う時間の2倍にすること。
4秒かけて吸って、8秒かけて吐くイメージで深呼吸をしてみましょう。
良質な睡眠をとる
良質な睡眠をとるには、睡眠を促す「メラトニン」の分泌を調整することがポイントです。
メラトニンは明るい光によって分泌が抑制されるため、朝起きたら、まずは日の光を浴びて、体を目覚めさせましょう。
そうすることで、14~16時間後に再び分泌量が増え、夜に自然な眠りを促すことができます。
就寝時は、ベッドに入ったらスマホを触らない、就寝前から少しずつ照明を落とすなど、メラトニンの分泌が抑制されない工夫をすることもおすすめです。
また、起床時間を一定にすることも睡眠リズムを整え、睡眠の質を上げることに繋がります。
休日でも平日の起床時間との差を2時間以内にするなど生活リズムを整える工夫も取り入れてみましょう。

「頭痛」におすすめの食材
精のつく食べ物は「気」と「血」のめぐりを促します。
また、柑橘類やハーブティーは気分をリフレッシュさせてくれるのでおすすめです。
「気」や「血」のめぐりを良くする食材
山芋、松の実、ホタテ、みかん、レモン

梅雨などの湿度の高い時期は、「水」めぐりを良くする食べ物がおすすめ。
ただし、キュウリやスイカなどのウリ科の野菜は、体を冷やしやすいので控えるほうがよいでしょう。
「水」のめぐりを良くする食材
カボチャ、トウモロコシ、大豆、小豆

冷えると頭痛が悪化するという方へ
カラダを温めるワンポイントアドバイス
冷えると頭痛が悪化する方へのワンポイントアドバイス
簡単にシャワーですませるのではなく、しっかりと湯船につかることが大切です。

体を温める基本の入浴法は、ぬるま湯&ゆったり。38~40℃のぬるめのお湯に10分以上、できれば30分程度つかりましょう。
ゆったり入浴することで副交感神経が優位になり、リラックス効果も深まります。
さらに温まりたい人は、入浴前にスクワットなどの軽い筋トレ、入浴後にストレッチを行うと良いでしょう。

湯船から上がる前に、「熱い」と感じる温度まで追い炊き(or足し湯)をすると、体温を逃さず、湯冷めしにくくなります。
また、温浴効果を高めてくれる入浴剤の使用もおすすめです。
入浴剤を入れることで、入浴そのものによって得られる、「体を温める」などの温浴効果や、「肌の汚れを落とす」などの清浄効果をより高めてくれます。

<おすすめの入浴剤はこちら>
頭痛におすすめの漢方薬3選
雨の日など気候の変化に伴って頭痛が悪化する方に

こんな漢方薬です
体内をめぐる「水」のバランスを整える漢方薬です。
五苓散は「水」が滞っている部位からは排出を促し、足りない部分には補うことで、「水」のバランスを整え、天候の変化や二日酔いによる不調(むくみ、頭痛、下痢など)を改善します。
効能・効果
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:
水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
イライラなどストレスを伴う頭痛の方に

こんな漢方薬です
漢方医学では「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」という特有の概念があります。
ストレスで消化機能が低下すると、エネルギーである「気」や熱を運ぶ「血」が十分に作られなくなるため、「気」や「血」をコントロールする「肝」に負担がかかります。
精神を調節する「肝」に熱がこもると、イライラや頭痛、めまいなどの症状が現れます。さらに血液循環を調節する「心」に熱がこもることで血圧が上昇し、それに伴う諸症状が出やすくなるとされています。
釣藤散は「肝」や「心」の熱を冷ますことで「血」と「気」のめぐりを整え、ストレスを伴う頭痛を改善します。
また、胃腸機能を示す「脾」を補うことで「気」や「血」を作れるようにし、頭が重く、鈍い痛みが続くような頭痛も改善していきます。
効能・効果
体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの次の諸症:
慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるもの
肩こりを伴う頭痛でお悩みの方に

こんな漢方薬です
筋肉の緊張を緩める作用がある漢方薬です。
長時間、同じ姿勢を続けたことなどによって、こわばった首や肩回りの筋肉の緊張を和らげることで、肩こりや頭痛を改善します。
効能・効果
体力中等度以上のものの次の諸症:
感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み
ぜひ、ご自身の症状やライフスタイルにあった対処法を見つけて、実践してみてください。