2025.11.06
漢方ブログ
便秘で腹痛が起こるのはなぜ? 原因と改善・予防法を解説
便秘が続くと腹痛を引き起こすことがあります。便秘は身体的な不調だけでなく、精神的な健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早期に解決することが大切です。この記事では、便秘によって腹痛が起こるメカニズムの原因、漢方を取り入れた効果的な改善・予防法についてわかりやすく紹介します。
便秘と腹痛の関係
便秘で腸内に便が長くとどまると、腸内細菌による発酵や腐敗が進み、ガスが多く発生します。便の滞留はガスの排出を妨げ、腸壁を圧迫しておなかのハリや痛みを招く原因となります。さらに、ガスがたまることで腸の動き自体も鈍り、便秘が悪化するという悪循環に陥ることがあります。
便秘によって腹痛が起こる理由
便秘による腹痛の原因にはいくつかの要素が関わっています。主な原因として以下が挙げられます。
便による腸壁の圧迫
腸内に便が長時間とどまると、腸壁が押し広げられて強い刺激が加わります。その結果、おなかの痛みやハリが起こるのです。腸内の圧力が上昇するとともに、血管が圧迫されて血流が妨げられ、その影響で腸の動きがさらに低下し、便秘をいっそう深刻にする可能性があります。
腸内のガスだまり
腸内細菌が便を発酵・分解する過程でガスが発生します。通常はおならやげっぷとして自然に排出されますが、便秘になって通過が妨げられると、ガスが腸内に滞留しやすくなり、痛みやハリを引き起こします。
腸のぜん動運動の異常
便秘の原因の1つに、腸のぜん動運動の異常があります。腸のぜん動運動が過剰に起こると痙攣のような痛みを生じ、逆に運動が停滞すると便やガスがたまりやすくなり、痛みやハリにつながることがあります。
漢方から考える便秘に伴う腹痛の原因
漢方では、腸の働きは「脾(ひ)」と深く関係していると考えられています。東洋医学における「脾」とは西洋医学でいう脾臓とは異なり、消化吸収機能全体を指す概念です。食べたり飲んだりしたものを、生命エネルギーである「気」に変えて全身に運ぶ重要な役割を担っています。この「脾」が弱まると、「気」の巡りが滞って腸の動きが鈍くなるため、腸内環境が乱れやすく、便やガスの排出が滞り、腹痛などの不快感を生じやすくなります。
便秘に伴う腹痛の対処法
ここでは、便秘に伴う腹痛に試したい具体的な対処法を紹介します。
おなかを温める
おなかが冷えると腸の働きが鈍り、便やガスが停滞しやすくなります。カイロや腹巻を使ったり、湯船につかったりして体を芯から温めると、血行が促され、腸のぜん動運動も活発になります。漢方でも「脾」を温めて働きを整えることが重視されており、冷えを改善することは腹痛や便秘の緩和につながると考えられています。
マッサージで腸を刺激する
おへその中心を時計回りに優しくマッサージすると、腸のぜん動運動が刺激され、便やガスの排出が促されます。おなかの緊張がほぐれ、痛みの軽減も期待できるでしょう。漢方の視点では、「気」の巡りが整うことで腸の動きも整い、腹痛の改善につながるとされています。全身の力を抜いてリラックスした状態で行うのがポイントです。
十分な水分補給をする
便秘に伴う腹痛を防ぐためには、水分補給が欠かせません。体内の水分が不足すると便が硬くなり、便通が悪くなる原因となるため、1日1.5〜2リットルを目安に水分をしっかり摂りましょう。ただし、冷たい水を飲むと内臓が冷えて血行が悪くなり、腸の働きを弱めることがあります。常温の水や白湯をこまめに飲むのがおすすめです。
便秘に伴う腹痛を予防しよう
便秘が続くと腹痛やおなかのハリが起こりやすくなります。症状が出てから対処するよりも、普段の生活習慣を整えて「便秘に伴う腹痛をおこしにくい体」をつくることが大切です。ここでは、日常生活の中で取り入れやすい予防法を紹介します。
食生活を見直す
温かい食事や発酵食品、食物繊維を取り入れた食事は腸内環境の改善に役立ちます。とくに根菜や海藻類は「脾」を助け、腸の働きを支えると漢方では考えられています。また、適度な油分も便の滑りを良くし、腸の負担を減らします。水分補給とあわせて、バランスの良い食事を心がけましょう。
規則正しい生活を送る
起床・食事・排便といった毎日の生活リズムを整えることは、腸の自然な動きを助けます。漢方では「脾」はリズムの乱れに弱いとされ、生活習慣の不規則さが腸の不調につながると考えられています。とくに朝食と排便のリズムを意識して整えると、便秘予防に効果的です。
日常生活に運動を取り入れる
ウォーキングや軽いストレッチなどの適度な運動は、腸のぜん動運動を促し、便秘予防に効果を発揮します。漢方でも、運動は「気」の巡りを良くし、「脾」の働きを支えるとされています。毎日少しずつ体を動かす習慣を身につけましょう。
ストレスをためない
ストレスは腸の働きを乱し、便秘や腹痛の原因になります。漢方では「気滞(きたい)」と呼ばれ、気の巡りが滞ると腸の動きが鈍くなると考えられています。自分に合ったリラックス法を見つけてストレスを軽減し、腸の働きをスムーズに保つことが大切です。
腸内環境を整えて、便秘に伴う腹痛のない毎日へ
便秘に伴う腹痛は、腸内環境の乱れや「脾」と「気」のバランスの崩れが大きく関わっていると考えられます。食生活の偏りや運動不足、ストレスなどは、いずれも便秘を招く身近な要因です。漢方の力を取り入れながら生活習慣を見直すことで、体の内側から整え、便秘や腹痛に悩まされない快適な日々を目指しましょう。
便秘に伴う腹痛には「大建中湯(だいけんちゅうとう)」
便秘に伴い腹痛やおなかのハリを繰り返す場合は、漢方薬を取り入れるのも有効です。「大建中湯」は腸を内側から温め、弱った「脾」の働きをサポートすることで「気」のバランスを整え、腸の動きを改善します。その結果、便やガスの排出がスムーズになり、腹痛やおなかのハリを和らげます。腸をしっかり動かして排泄を促すことで、おなかの不快感を改善してくれる漢方薬です。
【効能・効果】
体力虚弱で、腹が冷えて痛むものの次の諸症:下腹部痛、腹部膨満感
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