取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の実効性を高めることを目的に、毎年度「取締役会の実効性評価・分析」を行っております。
当社は、2017年に監査等委員会設置会社に移行し、独立社外取締役が過半数となる構成により、取締役会の監督機能を強化して経営の健全性および透明性を一層向上させるとともに、取締役会から業務執行の機能を分離することで迅速かつ果断な意思決定が可能となる体制を構築しております。そのため、取締役会の監督・モニタリング機能を強化する観点から、取締役会実効性評価結果の分析により抽出された課題について、継続的な改善に努め、さらなる実効性向上に取り組んでおります。2022年度の取締役会の実効性については、全取締役9名に対しアンケート評価を実施し、抽出された課題や具体的な対策について2023年5月開催の取締役会において議論をいたしました。なお、2020年度に外部機関とともに開発したアンケート設計を基本とし、本年度も、アンケート設計は社内で行い、回答の回収ならびにアンケート結果の集計は、外部機関を活用することで、匿名性を担保し、より客観的な評価分析に努めております。

評価項目(6区分25項目)

2022年度に対する評価は、前年度の実効性評価の分析結果より得られた課題への取り組み状況を確認するとともに、取締役会の役割を果たすために重点的に監督が求められる各テーマの確認および、今後より一層の実効性向上を図るための課題抽出や対応策の検討を行う観点で評価、分析を実施いたしました。

  1. 経営上の重点テーマ
  2. 取締役会の構成
  3. 取締役会の役割・責務
  4. 取締役会の運営状況
  5. 取締役会の審議充実と情報提供
  6. 株主様を含むステークホルダーとの関係

評価結果の概要

本年度の分析評価の結果、取締役会は、業務執行に対する充実した監督・モニタリングに向けた活発な議論がなされており、取締役会はその役割・機能を発揮されていることが確認されました。
各取締役による実効性評価アンケートでは、多くの質問項目に「十分できている」又は「概ねできている」との回答でありました。
なお、前年度、重点的な課題として抽出した項目は、全てで改善が認められました。

<2022年度 取締役会実効性振り返り>

  1. 取締役会の構成は、現状、活発な議論や意見交換が出来るに適した人数水準である事に加え、取締役会で議論すべき事項に必要とされる様々な経験や専門性を有する多様性のあるメンバーで構成されており、取締役会は率直で自由闊達な意見を促す雰囲気のもとで運営されています。取締役会構成の妥当性や多様性については、継続的に議論してまいります。
  2. 取締役会においては、新たにパーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を掲げ、基本理念である経営理念と企業使命を体現すべく策定した長期経営ビジョン「TSUMURA VISION“Cho-WA”2031」の実現に向け、重点的に取り組むべき課題について議論してまいりました。また、「“Cho-WA”(調和)のとれた未来実現への基盤構築」をテーマとする2022年度から2024年度までの第1期中期経営計画の進捗状況を確認するとともに重点課題の実現に向け、意思決定してまいりました。
  3. 中国事業については、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する重要性の高い戦略課題であるため、活動状況が高い頻度で取締役会に報告され、方針、計画や戦略などについて充分議論するとともに、重要な事項について意思決定いたしました。

<2021年度に認識した課題への取り組み状況>

  1. 中国事業
    中国事業については、中薬事業基盤を構築するためのM&A実施に向け、M&Aプロセスについても定期的に報告を受け、プロセスの監督強化とともに、取締役会としての迅速な意思決定をしてまいりました。
  2. グループ会社ガバナンス体制整備
    グループ会社のガバナンス体制整備については、中国グループ会社において、人財確保、人財養成を図るとともに、中国統括会社[津村(中国)有限公司]を中心としてグループ各社の執行状況を監督するガバナンス体制を構築することで、グループ全体のガバナンスを強化いたしました。また、リスク管理における3線ディフェンス(1線:事業部門、2線:管理部門、3線:内部監査部門)の考え方に基づく体制の整備・運用も含め、取締役会の監督・モニタリングを強化してまいりました。

<今後(2023年度)の課題と対策>

2022年度の実効性評価の結果を受け、以下のような施策を講じることで、取締役会のさらなる実効性向上に取り組んでまいります。

  1. 戦略投資案件の進捗確認
    戦略投資案件の進捗確認については、以下のとおり取り組むことにより投資効果の最大化を目指します。
    • 戦略投資案件の全体像・方向性について取締役会で意思決定し、執行側に方針を提示するとともに、方針に沿った戦略立案ならびに投資がなされているかを監督する。
    • 製品の安定供給体制整備のための設備投資については、建設コスト、人財確保、スマート工場化、サステナビリティ等、あらゆる側面から勘案し、国内外のどこで増強するかも含め意思決定する。
    • 戦略投資案件の回収可能性、回収計画についても監督し、必要があれば適宜、計画の見直しを指示する。
  2. DX
    DXについては、「DX for Purpose」の方針のもと「漢方バリューチェーン」を対象に、以下のとおり取り組むことにより情報基盤の確立を目指します。
    • DXが実現されたときの「あるべき姿」を取締役会で議論し、全体計画の方針を提示するとともに、実行速度、費用対効果等について監督する。
    • DX推進における現状の重要な課題、およびその解決に向けた対策と進捗状況について監督する。
  3. 社外への情報共有
    情報開示の充実については、以下のとおり取り組むことで、企業価値向上を目指します。
    • 四半期毎の決算説明会、アナリスト・投資家との1on1ミーティング、海外機関投資家IRの実施などにより対話機会を増やすほか、一般消費者の皆様も含め幅広くステークホルダーを意識した情報発信の環境を醸成する。
    • 発信する情報の内容については、当社グループの事業や企業価値向上に取り組む姿勢を正しくお伝えし評価していただけるよう、取締役会の中で十分に議論を重ねる。

また本年も取締役会で取り組むべき、経営上の重要な課題として、先に記載いたしました戦略投資案件の進捗状況確認も含め、下記のとおり5項目を挙げ、重点的に取り組んでまいります。

<2023年度 取締役会重点5テーマ>

  1. 第1期中期経営計画の進捗状況確認
  2. 中国事業の進捗状況確認(ガバナンス体制整備含む)
  3. パーパス・理念を体現する経営人財の養成
  4. 戦略投資案件の進捗状況確認
    ~設備・R&D・M&A・DXを含めたシステム投資~
  5. 資本政策

当社取締役会は、外部環境を踏まえた方針提示を行い、執行側が方針に沿った戦略策定に基づき実行し、適宜、報告を受け監督を行うことを信条としております。今後も継続して取締役会の実効性の向上を図るため、PDCAサイクルを実行してまいります。

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