財務戦略・業績

企業価値向上とプレ財務指標

中長期的な企業価値向上に向けた財務戦略として、「事業規模の拡大」「利益率の向上」「成長に向けた投資」を実行するため、漢方バリューチェーンにおける行動評価指標を管理しています。
「栽培・調達・製造・研究開発」では、自社管理圃場比率の拡大や野生生薬の栽培化の推進による生薬仕入単価の低減を目指します。また、漢方市場の拡大にともなう生産数量増加による効率化に加えて、AIを搭載した生薬の自動選別機の導入等、AI・ロボット化によりさらに労働装備率を向上させます。
製造・品質に関するビッグデータを活用し、高度化することでスマートファクトリー化を実現し、加工費の低減を目指します。研究開発においては、売上高比率5%以上を確保し、新規疾患領域、漢方治療の個別化、未病領域等へ重点的に投資します。
「販売・啓発・普及」では、医療用漢方製剤10処方以上を処方する医師数の増加および診療ガイドライン収載数の増加による漢方標準治療の拡大、さらに個別化医療への取り組み、未病領域への挑戦に取り組みます。
また、すべての大学医学部において、必修科目としての漢方医学教育、漢方外来の設置、漢方医学を指導するための学内講師育成勉強会が実施されるよう、漢方医学教育を支援します。
中国事業においては、海外売上高比率50%以上に向け、事業の拡大に取り組みます。

  • プレ財務:まだ財務資産に顕在化していないが、財務資産と同様に重要な資産。当社グループでは「非財務」ではなく「プレ財務」と呼んでいます。

売上高/営業利益

売上高・営業利益の推移です。
売上高の拡大(漢方市場の拡大と安定成長)については、以下の取り組みをおこない増収を継続してきました。

卒前・卒直後・卒後の一貫した漢方医学教育の充実・定着・発展への継続的な支援
育薬処方を中心とした基礎・臨床エビデンス構築(診療ガイドライン掲載、漢方治療の標準化)
医療用漢方製剤10処方以上を処方する医師を2人に1人へ(50%へ)

収益性の強化(コスト構造改革)については、実現すべき状態に向け、調達・製造・販売においてそれぞれ戦略課題に取り組んできました。

調達:自社管理圃場※の拡大による原料生薬の価格安定化・生薬在庫と回転率の適正化
製造:生産能力の増強と新生産技術の導入による自動化・ロボット化
販売:薬価改定の影響の縮小(医療用漢方製剤の製品価値の継続的な訴求)

  • 自社管理圃場:当社が直接栽培指導でき、栽培にかかるコストの把握とそれに基づく生薬の購入価格設定が可能な圃場

プレ財務データ

自社管理圃場の拡大

2006年から2022年までの自社管理圃場の拡大推移

高品質な生薬を市場よりも優位かつ安定的に調達するため、自社管理圃場の拡大に取り組んだことにより、自社管理圃場からの調達比率は約8割となっています。
漢方製剤の原料となる生薬の栽培・調達から、エキス製剤の製造・販売までを一貫して管理することで、高品質な漢方製剤を安定的・効率的に供給が可能となり、競争優位の源泉となっています。
今後の中国事業の進展にともない、計画的な栽培面積と品目の拡大が課題です。

  • 当社価格指数:当社グループ使用量ベースの加重平均価格 (2006年度を100とする)

生産能力の増強と新生産技術導入

  • 2012年から2021年までの物的労働生産の推移
    製造現場における改革物的労働生産性 約25%向上(対2011年度)
  • 製造全工程を自動化・ロボット化すべての生産拠点へ拡大

段階的な生産能力の増強とともに、ロボット技術などの導入により、製造における全工程の自働化・ロボット化を実現しました。
一方、漢方バリューチェーンの上流工程で実施している原料生薬の選別作業は、対象が植物の根・茎などであり、大きさや形、質量が一様ではありません。したがって自働化は難しく、人による目視選別に頼らざるを得ない状況でした。そのため、2018年にAIを搭載した自動選別機の開発に着手し、2022年には石岡センターへ導入し試運転をしています。
今後は自動選別機を各拠点へ導入し、人員をより生産的な業務にシフトしながら、ローコストなオペレーションを確立していきます。

年齢別男女別の漢方薬投与比率

医療用漢方製剤、高齢者と女性により多く使われており、とくに女性は若年期をはじめ幅広い年齢層で処方されています。
また、医療用漢方製剤は、ほぼすべての診療科で処方されており、産婦人科と精神科では90%を超える医師が処方※しています。

  • 出典:日本漢方生薬製剤協会 漢方薬処方実態調査2011

配当金および配当性向の推移

当社は、株主様に対する利益還元を重要な政策と考え、「TSUMURA VISION “Cho-WA”2031」の実現に向けた中長期的な企業価値向上の取り組みの一環として、株主還元方針を改定いたしました。
株主資本配当率であるDOEを指標として設定し、健全なバランスシートを保ちながら配当拡充を目指します。
2031年度に目指す水準はDOE5%です。

その他のプレ財務データ一覧

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
10処方以上を処方する医師の割合(%)*当社調べ - 14 16 26 32
漢方医学教育実施大学数(4コマ以上) 69 71 72 73 78
漢方外来設置大学数 79 80 79 79 79
診療ガイドライン収載数(タイプB以上) 88 91 102 104 99
自社管理圃場比率(%) 71 72 78.4 79.6 77.8
取締役数(人) 9 9 9 9 9
取締役の報酬額(百万円) 246 274 273 285 309
社外取締役比率(%) 55.6 55.6 55.6 55.6 55.6
女性取締役比率(%) 11.1 11.1 11.1 11.1 11.1
女性執行役員比率(%) 0 0 0 0 1
連結従業員数(人)(うち単体) 3,547(2,493) 3,840(2,534) 3,830(2,556) 3,921(2,564) 4,032(2,631)
従業員の女性比率(%) 20.1 20.6 21.7 23 24.3
女性管理職比率(%) 5.2 5.9 6.3 7.4 8.4
平均年齢(歳) 43.7 43.7 43.6 43.6 43.1
平均勤続年数(年) 19.8 19.4 19.1 18.9 18.1
新卒3年定着率(%) 96.3 97.8 92 100 86.3
離職率(%) 0.95 0.98 1.8 1.44 2.67
従業員エンゲージメント/満足度(点) 4 3.91 3.99 4.02 -
育児休業取得比率(%) 男性 0.6 7 19 37 52
女性 100 100 100 100 100
育児休業
平均取得日数(日)
男性 28.5 21.4 24.1 12.3 24.6
女性 148.4 172.2 125.4 121.4 119.3
育児休業取得者復職率(%) 100 100 97.5 100 100
社員一人あたりの教育費(千円) 103 102 93 124 126
年間教育時間(時間) 721 1496 1372 1702 1,575
障がい者雇用率(%) 2.9 2.94 2.83 2.91 2.58
新卒採用社員数(人) 男性 36 31 22 21 21
女性 18 20 26 18 24
キャリア採用社員数(人) 男性 32 44 25 40 122
女性 9 8 14 24 44
総実労働時間(時間/人) 1874 1825 1852 1810 1,799
月平均残業時間(時間/人) 14.5 13.8 12.7 10.9 10.0
有給休暇の平均取得日数(日/人) 12.2 11.6 10.8 13.5 14.0
労働災害発生件数(件) 11 16 11 12 17
  • 連結と記載のあるものを除いて単体のデータとなります。

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