医療用漢方製剤の動向

医師による漢方の使用状況

漢方処方の有無

漢方処方の有無の割合

漢方処方の理由

  • 出典:日本漢方生薬製剤協会 漢方薬処方実態調査2011

日本漢方生薬製剤協会の2011年の調査によると、漢方薬を現在使用しているのは89.0%であり、前回2008年の調査83.5%より5.5%増えています。漢方薬を処方している医師が増えていることが分かりました。
また、処方する理由としては、「西洋薬治療で効果がなかった症例で、漢方薬治療により効果が認められた」が57%と最も多く、「患者様の要望があった」、「エビデンスが学会などで報告された」、「西洋薬だけの治療に限界を感じた」、「QOLの向上など全人的な医療ができる」が後に続いています。

市場動向

薬価の改定
2002年
4月
2004年
4月
2006年
4月
2008年
4月
2010年
4月
2012年
4月
2014年
4月
2016年
4月
2018年
4月
2019年
4月
2020年
4月
2021年
4月
2022年
4月
2023年
4月
医薬品
全体
-6.3% -4.2% -6.7% -5.2% -5.75% -6.0% -5.64%※1 -5.57% -7.48% -4.35%※1 -4.38% 非公開※2 -6.69% 非公開※2
ツムラ
漢方
-3.6% -2.8% -4.2% -3.3% -4.5% -3.8% -3%※1 -3% -3.1% -1.8%※1 -0.4% 0% -0.9% +2.3%
  • ※1消費税対応分を含まない改定
  • ※2中間年改定のため

2022年度の当社を含めた医療用漢方製剤全体の市場は、薬価ベースで1,819億円であり、医療用医薬品に占める割合は約1.7です

2013年から2022年までの医療用漢方製剤の市場動向と当社シェアの推移
ツムラ医療用漢方製剤の対前年伸張率
2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
医療用漢方の対前年伸張率
(金額)
3.2% 2.4% 2.3% 1.9% 2.4% 2.7% 1.8% 1.1% 7.9% 4.5%
対前年売上伸張処方数
(129処方中)
66処方 81処方 68処方 95処方 63処方 83処方 66処方 82処方 110処方 98処方

2020年度における漢方薬(医療用漢方製剤)の市場規模は、1,610億円に達しています。
1999年度を底に着実に市場は拡大しています。医療用漢方薬市場におけるツムラのシェアは、2021年3月末時点で83.4%になっています。

医薬品事業の売上高推移

1976年から2022年までの当社の医薬品事業の売上高推移
  • 2021年度より「収益認識に関する会計基準」等を適用(前期比伸長率11.3%)

当社の医療用漢方製剤は、1976年(昭和51年)にはじめて薬価収載されました。それ以降、安心感等に基づく漢方ブーム、小柴胡湯が慢性肝炎の治療に広く使用されたこと等から、病院でも幅広く使用されるようになりました。売上高のピークは、1991年(平成3年)で、医薬品の売上が1,000億円を超え、小柴胡湯はそのうち300億円を占めていました。
しかし、慢性肝炎の治療薬としてインターフェロンが上市されたり、小柴胡湯に慢性肝炎の副作用が報告されたことなどにより、売上は下降傾向に入ってきました。1996年(平成8年)には、死亡例も含む大規模な副作用報告がなされるなど、安全と思われていた漢方薬で死亡者が出たというショックから、更に売上が減少しました。
そのような中、当社は営業戦略の見直しを図りました。漢方医学そのものの普及を図るという戦略をとった結果、1999年(平成11年)を底にして、売上は回復基調に入っています。また、2004年度以降は「漢方の育薬」によるエビデンスの集積により、売上が更に増加しています。

IR情報IR information