INTERVIEW #06

この子も、あの子も
活躍できるよう、
生薬の可能性を
研究したい。

この子も、あの子も
活躍できるよう、
生薬の可能性を
研究したい。

Profile

生薬本部生薬研究所(生薬化学グループ)
薬学部卒

  • # 研究(生薬)
  • # 2015年入社

入社理由

動物や植物が大好きで、獣医を目指していたこともあります。縁あって薬学部に進学したのですが、研究室の選択で悩むころ、薬草園で土を耕している先生を発見したんです。「なにやら面白そうなことをしている!」と調べてみたら、その先生が薬用植物の研究室を開いていることが分かり、すぐにその研究室に入りたい!とお願いにいきました。そこではさまざまな産地の「カンゾウ」の種を集めて、撒いて、育てて、成分にどのような違いが出るか?という研究をしていました。本当に楽しくて、すっかり植物研究の世界に夢中になりました。

薬剤師になる道もありましたが、植物研究を続けたくてツムラの門を叩いたところ、運良く入社することができました。薬学部では同じ6年間であっても、修士課程で研究を続けた人と比べて、6年制過程は実習などもあって研究の時間が限られます。入社できるか不安もあったのですが、内定をもらった時は本当に嬉しかったです。こんなにも好きになれる分野や、「好き」を活かせる仕事に就くきっかけとなった先生との出会いに感謝しています。

現在の仕事内容

私が所属する生薬化学グループの役割は「生薬の品質を化学的に評価すること」です。「どんな要因が品質の違いの原因になるか、を明らかにする仕事」と「品質のデータを集め、データベース化していく仕事」の大きく2種類の仕事があります。生薬は天然物なので、同じ生薬でも産地によって品質が異なることがあります。例えば「桂皮」という生薬は、中国やベトナムで作られていますが、産地ごとに香りや成分に特徴があります。この特徴は、何によって生まれるのかを解明するのが、私たちの役目です。

生産にかかる年数を確認してみたり、土壌の違いを見てみたり、生育環境を調査したり、答えのわからない中で、さまざまな「アタリ」をつけては分析・解析を繰り返して紐解いていきます。最近はメタデータを活用した効率的な解析方法も取り入れながら研究を進めています。関連部署と相談しながら、裁量を持って研究を進めていけるのが、研究者として嬉しいところですね。

仕事で意識していること

「世界にある広大な生薬の畑を見てみたい!」というのは、ツムラを志望した理由の一つです。実は、ツムラに入社して1番最初に行った出張はベトナムでした。桂皮の畑や山に行くのですが、日本では考えられないような斜面で栽培しているのを目にして「すごい!」と感激しました。生薬育成の現場を経験していると、研究を進める中で仮説を立てるのにも大いに役立ちます。

それに、生薬への愛情も強くなりますね。生薬生産者皆様の思いや努力が詰まっていることを考えると、「この子が活躍できる場を作りたいなぁ…」と思います。はい、気付いたら生薬を「この子」と呼んでいました(笑)。ツムラで扱っている生薬は119種類。入社9年目ですが、いまだに研究材料として初めて取り扱う子もいて、そんな時は「初めまして、よろしくね」と心の中で声をかけています。こんなに生薬にハマるなんて想像もしていませんでした。「生きているもの」が好きな人にも、案外マッチする仕事かもしれません。

次なる挑戦

私は今、仕事と並行して千葉大学大学院の博士課程に通っています。意欲さえあれば、ツムラは学びを応援してくれます。千葉大学大学院では、植物中で化合物を作り出す遺伝子を解明する手法を学んでいます。千葉大と、ツムラと、母校の3つの拠点で共同研究をしており、その中にはなんと恩師もいらっしゃいます。研究者として再会することができた喜びと、ワクワクする気持ちでいっぱいです。

決められた期間で問題課題を解決していく企業の研究と、本質を追求するアカデミアの研究。似て非なる両者の架け橋になりたい、という目標もあります。互いの得意分野を活かして、いずれはベールで包まれた漢方の全容を化学的に解明したいなと考えています。具体的には、生薬の遺伝子情報と、成分と、漢方の配合の掛け合わせによって「どのように反応し、どのような効能として現れるのか」を明らかにしたいです。チームの仲間、関わる部署の皆さん、大学や母校の研究者、そして恩師。人と人とのつながりを大切にして、これからも大好きな生薬研究に励みます。