INTERVIEW #07

漢方と腸内細菌の
関係を解明し
全ての人に最適な
医療を提供したい。

漢方と腸内細菌の関係を解明し
全ての人に最適な医療を
提供したい。

Profile

研究開発本部ツムラ先端技術研究所
システムバイオロジー部 マイクロバイオームグループ
医科学専攻修了

  • # 研究(基礎)
  • # 2023年入社

入社理由

大学院では医学系研究科に進学し、がん細胞について研究していました。ツムラとの出会いは、通っていた大学の併設病院で、ツムラが主催する「医療スタッフ向けのセミナー情報」を見つけたことでした。参加してみると、漢方製剤は術後や闘病中の患者様の体調を支える支持療法※に使用されていることが分かりました。大学院の講義棟が併設病院のすぐ近くにあり、院内で闘病生活を過ごす患者様の姿を目の当たりにしていた私にとって、非常に興味深いトピックでした。博士課程に進む道もありましたが、「ツムラに就職する」という選択肢が自然と生まれました。 

「自分の能力が活かせるだろうか?」という不安もありましたが、インターンシップで出会った女性社員の方がご自身の仕事にとても丁寧に、楽しそうにお話ししてくださったおかげで、自分がツムラで働くイメージを抱くことができました。余談ですが、その時の女性社員の方が、入社後最も身近な存在になるOJTの先輩だったんです。入社して1番驚いた出来事です!

  • 支持療法:がん患者の方の生活の質(QOL: quality of life)を維持し、治療の妨げとなるような事柄を予防・軽減し、がん治療を行う患者様を支える治療

現在の仕事内容

ツムラ先端技術研究所漢方システムバイオロジー三部の「腸内細菌グループ」に所属し、基礎研究・臨床研究に従事しています。ツムラ先端技術研究所には、他にも「メタボロームグループ」や「遺伝子解析グループ」があり、「漢方薬が、体全身にどのように作用しているのか?」ということを解析しています。その中で、腸内細菌の視点からアプローチし、漢方薬の効果を科学的に解明することが私のミッションです。

漢方薬を飲むと腸内細菌の菌叢(きんそう)のパターンが変わり、今まで存在しなかった腸内細菌が存在する状態に変化することがあります。そこで、「動物に漢方薬を投与すると、腸内細菌の菌叢がどう変化するか?」や「腸内細菌の菌叢が異なる個体では、漢方薬の効き目はどのように変わるのか?」を調べています。漢方薬の効果を、経験則ではなく、科学的な根拠で証明する。まるでパズルを解くような作業に、研究者としてワクワクが止まりません。

仕事で意識していること

周囲の人の意見を聞いて、できるだけ質の高い研究ができるよう意識しています。解析をして「これは上手くいったのでは?」と思っても、豊富な知識と経験を持つ先輩や上司にご相談すると、まだまだ不完全な結果であることも少なくありません。専門分野がそれぞれ異なる人財が多く集まる研究体制だからこそ、学ぶことが多いです。

さらに研究データの解析のために機械学習を活用しているのですが、プログラミングの経験がない私にとって、エラーが出ると原因が分からない!調べてみてもよく分からない!と、分からないことの連続ですが、先輩方に教えていただきながら、日々勉強しています。研究者の世界ではうまくいかないことが当たり前だからこそ、一つひとつの小さなよろこびを大切にするようにしています。

次なる挑戦

「どういう人に漢方薬が効くのか」を解明することは、ツムラ先端技術研究所の悲願です。漢方薬が効く人、効かない人の条件を判別できたら、全ての人に最適な医療を提供できる未来に一歩近づくでしょう。個人に寄り添った医療を「個別化医療」といいますが、ツムラの長期経営ビジョンにも「個別化医療の実現」が組み込まれています。その先には、患者様自身が漢方薬を選び、病気の予防方法を考えることができる社会があります。必ず実現に貢献したいです。

ここまで壮大なビジョンを語れるのは、研究室の中で自分の研究やひいては会社のビジョンについて語り合うことがよくあるからです。なんでも言いやすい人間関係で、相談事や、今後取り組んでみたいことなど、どんな内容でも真摯に向き合い、話を聞いてくださいます。やりたいことに熱中できる環境だから、これからも働き続けていきたいと思います。ツムラを選んで、本当に良かったです。(取材当時)