取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の実効性を高めることを目的に、毎年度「取締役会の実効性評価・分析」を行っております。
当社は、2017年に監査等委員会設置会社に移行し、独立社外取締役が過半数となる構成により、取締役会の監督機能を強化して経営の健全性および透明性を一層向上させるとともに、取締役会から業務執行の機能を分離することで迅速かつ果断な意思決定が可能となる体制を構築しております。そのため、取締役会の監督・モニタリング機能を強化する観点から、取締役会実効性評価結果の分析により抽出された課題について、継続的な改善に努め、さらなる実効性向上に取り組んでおります。2024年度の取締役会の実効性については、全取締役9名に対しアンケート評価を実施し、抽出された課題や具体的な対策について2025年5月開催の取締役会において議論をいたしました。なお、本年度は外部機関を活用し、取締役会の議案分析や当社を取り巻くビジネス環境の変化等を踏まえ、アンケート項目を見直し、評価を実施いたしました。また、アンケート回答の回収ならびにその結果の集計・分析は外部機関を活用することで匿名性を担保し、より客観的な評価分析に努めました。

評価項目(6区分30項目)

2024年度に対する評価は、前年度の実効性評価の分析結果より得られた課題への取り組み状況を確認するとともに、取締役会の役割を果たすために重点的に監督が求められる各テーマの確認および、今後より一層の実効性向上を図るための課題抽出や対応策の検討を行う観点で評価、分析を実施いたしました。

  1. 経営上の重点テーマ
  2. 取締役会の構成
  3. 取締役会の役割・責務
  4. 取締役会の運営状況
  5. 取締役会の審議充実と情報提供
  6. 株主様を含むステークホルダーとの関係

評価結果の概要

本年度の分析評価の結果、取締役会は、業務執行に対する充実した監督・モニタリングに向けた活発な議論がなされており、取締役会はその役割・機能を発揮されていることが確認されました。
特に、社外取締役の知見・経験を一層活かせるよう、外部専門機関による中国情勢に関する講演会や大株主である中国企業トップとの意見交換を実施し、社外取締役が自らの知見や経験と掛け合わせて監督機能を強化する活動をしている点が評価されました。
なお、各取締役による実効性評価アンケートの回答では、過半数の質問項目に対し「十分できている」または「概ねできている」との回答がありました。

<2024年度 取締役会実効性振り返り>

  1. 取締役会の構成は、現状、活発な議論や意見交換が出来るに適した人数水準である事に加え、取締役会で議論すべき事項に必要とされる様々な経験や専門性を有する多様性のあるメンバーで構成されており、取締役会は率直で自由闊達な意見を促す雰囲気のもとで運営されています。取締役会構成の妥当性や多様性については、継続的に議論してまいります。
  2. 取締役会においては、パーパス「一人ひとりの、生きるに、活きる。」を掲げ、基本理念である経営理念と企業使命を体現すべく策定した長期経営ビジョン「TSUMURA VISION“Cho-WA”2031」の実現に向け、重点的に取り組むべき課題について議論してまいりました。また、「“Cho-WA”(調和)のとれた未来実現への成長戦略・投資の推進」をテーマとする2025年度から2027年度までの第2期中期経営計画の進捗状況を確認するとともに、計画の達成に向けた2025年度の取締役会重点課題について議論し、2025年5月開催の取締役会において具体的な取り組みを策定しております。
  3. 中国事業については、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資する重要性の高い戦略課題であるため、活動状況が高い頻度で取締役会に報告され、方針・計画や戦略等について充分議論するとともに、重要な事項について意思決定いたしました。2024年度は中成薬事業への参入、中薬・飲片事業の拡大を最注力事項として議論いたしました。

<2023年度に認識した課題への取り組み状況>

  1. 第1期中期経営計画の達成状況の確認、第2期中期経営計画の策定の監督・指導
    各担当執行役員からの報告に対し、取締役からの質疑や確認等による監督を適時適切に実施いたしました。
    また、第2期中期経営計画策定に向けては、第1期の取り組みの成果を基盤とし、長期経営ビジョン「TSUMURA VISION ” Cho-WA ” 2031」と併せて目指すべき方向性を議論いたしました。
  2. 中国事業の進捗状況確認(ガバナンス体制整備含む)
    中国政府や地方政府、及び世論の動向を踏まえ、中国での中成薬事業参入、中薬・飲片事業の拡大への基盤づくりに向け、事業の基本方針ならびに戦略投資について意思決定し、その進捗を監督してまいりました。より実態に即した監督・指導の実施ができるよう、資本提携先の取締役等との対面でのコミュニケーションなど、中国現地の視点を取り入れるための機会も創出いたしました。
  3. パーパス・理念を体現する経営人財の養成
    パーパス・理念を体現する経営人財の養成について方針を提示し、サクセッションプランや経営人財養成講座等の仕組みの構築に関する進捗状況の監督を行いました。
  4. 戦略投資案件の進捗状況確認~環境・設備・R&Dへの投資、M&A、DXを含めたシステム投資~
    最高の顧客体験価値の創造を目的とし、バリューチェーン全体を対象としたDXを中心に、戦略投資案件の全体像・方向性について意思決定し、執行側に方針を提示するとともに、その実行を監督いたしました。
  5. 資本政策
    2023年11月に策定した新たな資本政策の基本方針のもと、投資案件の費用対効果を見極めるため資本コストや資本効率を意識した経営の実践に向けた議論をし、株主還元を充実するとともに、政策保有株式の縮減、CCCの改善等を実現いたしました。

<今後(2025年度)の課題と対策>

2024年度の実効性評価の結果を受け、以下のような施策を講じることで、取締役会の更なる実効性向上に取り組んでまいります。

  1. 中国事業の推進
    中国における中成薬事業への参入、中薬・飲片の付加価値サービスの展開と中薬研究開発体制の確立に向け、中国国内の政治状況や現地企業の動向等の変化を注視し、目標達成に向けた方針を議論・決定いたします。
  2. 戦略投資案件の進捗の監督
    長期経営ビジョン実現に向けた積極的な設備ならび事業への投資を推進していくにあたり、建設等に係る原資材・人件費等の高騰や外部環境変化等のダウンサイドリスクを踏まえ、各建設案件における仕様面でのコストの妥当性を評価し、投資案件ごとのコストパフォーマンスを監督してまいります。
  3. DX
    “DXfor Purpose”のもと、最高の顧客体験価値の創造を目的とした漢方バリューチェーン全体のDXによる安定供給・ローコストオペレーション体制の確立と製品価値の向上を目指し、DX戦略の立案ならびに、DX推進委員会のもとで推進されるDX施策の進捗状況を監督してまいります。

また、本年の取締役会では、パーパスを掲げた理念経営、ビジョン経営を実践し、VUCA時代を生き抜く人財育成、環境社会への取り組みを行うとともに、企業価値向上を企図して、以下の6項目について、重点的に取り組んでまいります。

<2025年度 取締役会重点テーマ>

  1. 長期経営ビジョン2031実現に向けた第2期中期経営計画の進捗状況の監督
  2. 中国事業の進捗状況及びガバナンス体制の確認
  3. 労働生産性2倍以上の実現に対する進捗状況の監督
  4. DX For Purposeに向けた実効性の監督
  5. 安定供給のための設備投資拡充及び投資効果の監督
  6. 成長投資と株主還元を両立する資本政策の訴求

当社取締役会は、外部環境を踏まえた方針提示を行い、執行側が方針に沿った戦略策定に基づき実行し、適宜、報告を受け監督を行うことを信条としております。今後も継続して取締役会の実効性の向上を図るため、PDCAサイクルを実行してまいります。

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