「TGF-β1受容体結合阻害作用」を発見 桑根皮(そうこんぴ)抽出エキス及びその含有成分に 「脱毛抑制剤」としての有用性示唆
2005年09月13日
  • ニュースリリース

株式会社ツムラ(本社:東京、社長:芳井順一)では、桑根皮抽出エキス及びその含有成分に、脱毛抑制効果を示唆する強い「TGF-β1受容体結合阻害作用」のあることを発見しました。

 TGF-β1は細胞の働きを調節する内因性生理活性蛋白質です。TGF-β1が毛包細胞に存在するTGF-β1受容体に結合すると毛包細胞の「細胞自然死(アポトーシス)」が起こり、毛周期が退行期へ誘導されます。この過程は脱毛の原因のひとつと考えられています。男性ホルモン(テストステロン)はTGF-β1を誘発することが知られており、この過程を介して脱毛にも関与していると考えられています。
 当社は生薬抽出エキスの育毛に関する研究の中で、消費者からの「脱毛予防を望んでいる」という声に基づき、脱毛抑制の観点からも研究を行ってまいりました。具体的には、TGF-β1の受容体結合を介した脱毛に着目し、生薬抽出エキスの受容体結合に対する阻害作用について検討を行いました。
 その結果、(1) TGF-β1受容体を用いた試験系において、桑根皮抽出エキスに強いTGF-β1受容体結合阻害作用があることを見出し、その含有成分であるクワノンE、G、Hとモルシンにも強い同作用を認めました。桑根皮抽出エキスのTGF-β1受容体結合阻害作用は、これら含有成分が一端を担っていることが示唆されます。(2) マウスを用いた試験系において、桑根皮抽出エキスには、テストステロンによる毛の成長阻害に対して抑制作用のあることが判明しました。これは、テストステロンにより誘発されたTGF-β1が受容体に結合し退行期へ移行させることを、桑根皮抽出エキスが抑制することを示唆しています。これらの結果から、桑根皮抽出エキスには脱毛抑制剤としての有用性が示唆されます。
 以上の研究成果については、徳島大学医学部皮膚科との共同研究として、9月16日から金沢市で開催される日本生薬学会第52回年会で発表する予定です。
 当社では、生薬であるショウキョウ、ニンジン、センブリ、ボタンピの抽出エキスを配合し、生薬のシナジー効果を発揮させた「発毛促進、脱毛予防の育毛剤」を発売しておりますが、本件の知見を応用し、さらに桑根皮抽出エキスを配合して脱毛抑制効果を強化した新規育毛剤の製品化検討に着手しています

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