漢方薬「六君子湯」の食欲不振改善効果が米国の著名医学雑誌「ガストロエンテロロジー」に掲載
2008年06月26日
  • ニュースリリース

漢方薬「六君子湯」の食欲不振改善効果に関する研究成果が、消化器病学の分野において世界で最も権威のある「Gastroenterology(ガストロエンテロロジー)」誌7月号に掲載されますのでお知らせします。これまで漢方薬の効果を科学的に解明した論文は少なく、今回の掲載は西洋医学的観点から高い評価がなされたことを意味します。この研究は北海道大学と株式会社ツムラとの共同研究で、主任研究者は武田宏司氏(北海道大学大学院薬学研究院医療薬学分野臨床病態解析学 教授)となります。

 今回の基礎研究では、漢方薬である「六君子湯」が抗がん剤のシスプラチン(CDDP)によって誘発された食欲不振モデル(ラット)に対して改善効果を示すことが観察されました。
 その作用機序として、「六君子湯」中の成分(フラボノイド類)がセロトニン2受容体(5-HT2)拮抗作用を介して、食欲亢進ホルモン(グレリン)の分泌抑制を阻害し、その結果、血中のグレリン濃度低下が改善され、食欲不振に効果を発現するということが解明されました。

 「Gastroenterology(ガストロエンテロロジー)」誌は、米国消化器病学会が発行する医学雑誌でインパクトファクター(IF)が11.673(2007年現在)と、世界で最も影響力のある消化器病学の専門誌です。生薬や生薬抽出成分ではなく、漢方薬が掲載されるケースは今回が2度目となります。

 当社は、今後も、漢方薬の作用機序の解明やエビデンスの確立を推進し、自然と健康を科学するべく、医療機関や研究機関などと協力してまいります。

シスプラチン(CDDP)

白金(プラチナ)製剤に分類される抗がん剤で、胃に存在するEC細胞から大量のセロトニン(5-HT)の遊離を促進し、悪心・嘔吐や食欲不振などの消化器症状を引き起こすことが知られています。

グレリン(Ghrelin)

成長ホルモンの分泌を促進するペプチドで、摂食促進作用などがあるといわれています。1999年国立循環器病センターの児島・寒川らによって発見され、構造が決定されました。日本人がはじめて発見し、それからまだ10年も経っていない新しい物質です。

六君子湯(りっくんしとう)

TJ-43ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)の効能・効果は、『胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐』です。慢性胃炎や食欲不振などに処方される頻度が高く、最近ではFD(機能性胃腸症)やNERD(非びらん性胃食道逆流症)などの症状に関する基礎・臨床研究成果が、国内・外の学会において発表される機会も増えています。

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