腹八分


益軒さんは飲食の大切さを説いている。
有名な「腹八分」の思想の原点を「飲食」編で記している。
珍しい料理や美味な食べ物が食卓に並んでいても、腹八分、腹九分で止めておくのがよい。
少しの時間、欲を我慢すれば、禍は避けられる。
腹いっぱい、十分に食べるのは禍のもととなる、と強調する。
益軒さんは飽食を強く戒める。
【原文】
「珍美の食に対すとも、八九分にてやむべし。十分に飽き満るは後の禍あり。少しの間、欲をこらふれば後の禍なし。 少(すこし)のみくひて味のよきをしれば、多くのみくひてあきみちたるに其楽(たのしみ)同じく、 且(かつ)後の災(わざわい)なし。万(よろず)の事十分にいたれば、必(かならず)わざはひとなる。飲食尤(もっとも)満意をいむべし。又、初に慎めば必後の禍(わざわい)なし。」
(巻第 3 ・飲食 上 。底本『益軒全集・全 8 巻』益軒会編)