心気を養う


養生術の基本は、まず気持ち心気を養うことである。
心を柔らかく穏やかにし、怒りと欲望を抑え、憂いや心配を少なくして、心を苦しめず、また、痛めないこと。
これが気持ちを養う要諦である。
(中略)養生の道は、病気をしていないときに、慎み、用心することである。
病気になってから、薬や鍼、灸に頼って病を追い払おうとするのは養生術として、下の下である。
健康なときに病気を予防する心を持て、と益軒さんは教えている。
【原文】
「養生の術は先(まず)心気を養ふべし。心を和(やわらか)にし、気を平(たい)らかにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ、思ひ、をすくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず、 是(これ)心気を養ふ要道なり。(中略)養生の道は、病(やまい)なき時つゝしむにあり。 病発(おこ)りて後、薬を用ひ、針灸(しんきゅう)を以(もつて)病をせむるは養生の末なり。 本(もと)をつとむべし。」
(巻第 1 ・ 総論 上)