慎みを知る

養生の道の基本は、欲望のままに生活する恣(ほしいまま)の態度を戒め、慎みをもって生きることにある。
恣(ほしいまま)とは、欲望に負けて慎まないことをいう。

慎みは恣の裏側といえる。慎みは畏れる心を基本とする。
畏れるとは、何事も大事にすることをいう。

世俗に伝わることわざに、用心は臆病(おくびょう)にせよ、というのと同じである。
益軒さんは、「慎」の態度を重視している。


原文「養生の道は、恣(ほしいまま)なるを戒(いましめ)とし、慎(つつしむ)を専(もっぱら)とす。恣なるとは慾にまけてつゝしまざる也。慎は是(これ)恣なるのうら也。つつしみは畏(おそるる)を以(もって)本とす。畏るゝとは大事にするを云(いう)。俗のことわざに、用心は臆病(おくびょう)にせよ云がごとし。」

(巻第 1 ・総論・上)