人生の三楽

およそ人には楽しむべきことが三つある。

一つは、正しい道を実践し、心得ちがいをせずに善を楽しむこと。
二には、健康を維持して日々を快適に楽しむこと。
三には、長生きして、その分長く楽しむことである。

いくらお金があっても、身分が高くても、この三つがなければ、本当の楽しみは得られない。
益軒さんは、善行、健康、長命で人生を豊かにしなさいとすすめている。


【原文】
「およそ人の楽しむべき事三あり。一には身に道を行ひ、ひが事なくして善を楽しむにあり。二には身に病なくして、快(こころよ)く楽むにあり。三には命ながくして、久しくたのしむにあり。富貴にしても此三の楽なければ、真(まこと)の楽なし。

(巻第 1 ・総論・上)