日々を楽しむ
人は高齢に達したら、一日を十日と思って日々を楽しむべきである。
常に日々を大事に過ごし、一日たりとも無益に暮らしてはならない。
世間の人々のありさまが、自分の思いと違っていても、相手は 凡人(ぼんじん)なので仕方のないことだと思い、自分の子弟をはじめ、人の過失は許し、咎めてはならない。
怒ったり、恨んだりしてもいけない。
益軒さんは、老いては日々大事に、楽しく暮らせ。
怒ったり、恨んだりするのは愚かなりと教える。
【原文】
「老ての後は、一日を 以(もって)十日として日々に楽しむべし。常に日ををしみて一日もあだにくらすべからず。世のなかの人のありさま、わが心にかなはずとも、凡人(ぼんじん)なれば、さこそあらめと思ひて、わが子弟をはじめ人の過悪(かあく)を、なだめ、ゆるしてとがむべからず。いかりうらむべからず。
(巻第8・養老)