命の長短
生まれつき身体の頑強な人は、おのれの強靭さを恃(たの)んで慎(つつし)まないので、身体の弱い人より却って早く命を失う。
一方、身体が弱く、飲食も少なく、病気がちで、自分は短命で長生きできないと思う人は却って長生きする人が多い。
これは、身体の弱さを畏れて慎むからである。
このため、命の長短は身体の強弱によらず、その人が日常生活で、慎むか、慎まないかによる。
その人が持っている寿命を延ばすも縮めるのも本人次第、慎み次第、と益軒さんは教えている。
【原文】
「つよき人は、つよきをたのみてつゝしまざる故(ゆえ)に、よはき人よりかへつて早く死す。又、体気よはく、飲食すくなく、常に病多くして、短命ならんと思ふ人、かへつて長生する人多し。是(これ)よはきをおそれて、つゝしむによれり。この故に命の長短は身の強弱によらず、慎(つつしむ)と慎まざるとによれり。」
(巻第1・総論・上)