寒露 初候

鴻雁来る(がんきたる)

10月8日〜10月12日頃

第四十九候「鴻雁来(こうがんきたる)」は、清明の第十四候「鴻雁北(こうがんきたへかえる)」と対になっている七十二候です。

「鴻」はハクチョウなど大型の水鳥の総称で、「雁」はカモより大きくハクチョウより小さな水鳥の総称です。かつては全国に飛来していたマガンの飛来地は現在、宮城県などのごく一部に限られていますが、マガモ、コガモ、オナガガモ、キンクロハジロなどは全国の河川や池で比較的よく見られるカモ類です。

それぞれに美しい配色の水鳥たち。すべてのものが末枯れていく季節の中で、北から次々とやってくる渡り鳥たちのおかげで、水辺は少しずつ華やいでいきます。

まさに「水の秋」。水鳥たちにとって、日本の冬は恋の季節。飛来した当初は地味だったオスの羽が冬になるにつれ、鮮やかに変わっていくことも楽しみのひとつです。あたたかい羽毛に包まれた渡り鳥たちがやってくる頃、人間もセーターに袖を通す日がやってきます。

~生きる、72の季節~/鴻雁来る