白露 初候

草露白し(くさのつゆしろし)

9月7日〜9月11日頃

朝晩の気温が下がり、草に降りた朝露が白く光ってみえる頃。雨が降っていなくても、野を歩くと足元がぐっしょりと濡れることから、露時雨(つゆしぐれ)という季語もあります。

おしなべて月やひとへにやどるらん 花の千種の秋の白露   続後拾遺集

昔の人は秋草に宿る白露をこよなく愛してきました。泉鏡花の『天守物語』にはこんな台詞が出てきます。

「千草八千草秋草が、それはそれは、今頃は、露を沢山たんと欲しがるのでございますよ。刻限も七つ時、まだ夕露も夜露もないのでございますもの」

秋は花野の季節。群生する幾千幾万の種々(くさぐさ)が一斉に小さな花を咲かせ、白く輝く朝露を宿し、秋の風に揺れます。

白露の期間は台風の季節でもあり、雨が降ることも多いので、草の葉に宿る真珠のような露がたくさん見られます。蜘蛛の巣にも露がびっしりとついてキラキラと輝いています。ぜひ自然界の白露を観察してみてください。

秋は陰陽五行で白を司り、秋の風を「色なき風」と言ったりします。白は無色透明な光の色。月が白く輝くのも、空の雲が白く見えるのも光の反射です。

~生きる、72の季節~/草露白し