雨水 次候

霞始めて靆く(かすみはじめてたなびく)

2月24日〜2月28日頃

寒さのゆるみとともに、土や植物の発する甘やかな香りも含んでいる春の霞。山間部で春の芽吹きをうながすような霧や雨のことを山蒸し(やまうむし)といいます。霞(かすみ)は水蒸気をたっぷり含んだ空気で、景色がかすんでみえるという点で、現象としては霧(きり)と同じですが、春限定の表現です。

実際に霞(かすみ)や朧(おぼろ)がよく見られるようになるのは晩春ですが、雨後のしっとしとした空気やふんわりした気温のあたたかさを感じる頃です。そして夜は霞(かすみ)とはいわず、朧(おぼろ)といいます。

朧(おぼろ)は月だけでなく、夜の万象がかすんでみえることをさします。家の灯がぼんやりかすんで見えるのは灯朧(ひおぼろ)、草地にかかる靄(もや)は草朧(くさおぼろ)、谷底を隠している谷朧(たにおぼろ)。そして「ボーン」とかすかに聞こえてくる鐘の音は、鐘朧(かねおぼろ)です。

関連する七十二候