大雪 末候
鱖魚群がる(さけむらがる)
12月16日〜12月20日頃

日本の鮭は春になると海へ出て、4〜6年後に生まれ故郷の川に戻ってきて産卵します。鮭の遡上は9月から始まり、12月はそろそろ終わりの時期です。そのため鮭は秋の季語に分類されていますが、「荒巻鮭(あらまきざけ)」が出回るのは年末です。
「荒巻鮭」は秋に捕った鮭の内臓をとりのぞいて塩漬けにした、伝統的な保存食です。ちょうど年末にできあがることから、江戸時代には年末年始の贈答品として、庶民の間にも出回るようになりました。「荒巻」の呼び名は、塩漬けの際に荒い藁のむしろで巻いたためです。
鮭は白身魚ですが、身が赤いのはオキアミ、エビなどの甲殻類を食べているため。災いを避け(鮭)るとして歳神様のお供えにもなり、卵のイクラは子孫繁栄の象徴としておめでたいものとなりました。
鮭の獲れない関西では塩鰤(しおぶり)を「年魚」「年取り魚」として、年末年始のご馳走としてきました。どちらにしても冬は脂がのって、魚が美味しい季節です。「鱖魚群(さけのうおむらがる)」は豊かな海の恵みを感じさせてくれる一候です。