立冬 初候
山茶始めて開く(つばきはじめてひらく)
11月7日〜11月11日頃

七十二侯では「山茶」と書いてつばきと読ませていますが、これは「山茶」が中国でツバキ科の総称であったためです。
サザンカはこの山茶花(さんさか)が訛った「茶山花(ささんか)」から名づけられていますが、山に咲いていた日本原産種で、ツバキ科の中でもっとも早く咲き始めます。サザンカを見かけたら、冬の始まりです。
「さざんか さざんか 咲いた道」。童謡「たきび」の歌詞にあるように生垣に咲き、道を歩きながら見かけることが多いサザンカ。年を越すまで、次から次へと旺盛に咲き、冬の道を明るく灯してくれます。
サザンカの開花期は初冬の11月から1月頃なので冬の花。一方のツバキ(椿)は12月から3月の仲春(ちゅうしゅん)ごろまで咲くので春の花とされますが、どちらも同じ日本原産種です。
日本は世界一のツバキ大国。ツバキやサザンカは世界中に広まってカメリアと呼ばれるようになりました。ツバキの園芸品種は1900種で学名はCamellia japonica(カメリア・ジャポニカ)、サザンカの品種は100種もあり、学名は“Camellia sasanqua”(カメリア・サザンカ)です。
ツバキは日本を代表する鳥媒花(ちょうばいか)でもあります。遠くからでも鳥には赤がよく見えるため、ツバキ科の花は赤が多いのだそうです。サザンカにも鳥は来訪しますが、虫媒花(ちゅうばいか)の傾向が強いため、虫が活動できる時期に咲き終わります。