穀雨 初候

葭始めて生ず(あしはじめてしょうず)

4月19日〜4月24日頃

水辺に葦の芽が伸び始める

(百花繚乱の晩春、優しい雨がしとしとと降ります。愉英雨(ゆえいう)は花を楽しませるために降る雨。)

「葦原の瑞穂の国」といわれるように、葦は水辺の多い日本を代表する草。水を浄化する力が強く、葦原は営巣するヨシキリやねぐらにするツバメたち、カヤネズミなどの小動物、水中の幼魚や貝など多くの生き物を養っています。

泥の中からツンツンと突き出てくる葦の芽は葦牙(あしかび)、葦の角(あしのつの)ともいわれ、『古事記』などの神話では、人間は根の国から現世(うつしよ)に萌え出た「青人草」とされ、葦は人類創世の姿に例えられてきました。

葦だけでなく真菰や井草、水面に浮かぶ水草や水中の藻類、水上で花を咲かせる蓮など、さまざまな水生植物が急速に成長するとき。江戸前期までの七十二候では「萍始生(うきくさはじめでしょうず)でした。

「水草生(お)ふ」という季語もあり、水辺は俄然、にぎやかになってきます。川や池では微笑ましいカルガモの親子の姿が見られるようになる頃です。

~生きる、72の季節~/葭始めて生ず

~生きる、私の季節~/切り絵画家 久保 修 編

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