穀雨 末候

牡丹華さく(ぼたんはなさく)

4月30日〜5月4日頃

牡丹華(ぼたんはなさく)は春の最後の一候です。晩春に入ると次々と花が咲き、いよいよ春闌(はるたけなわ)となりますが、その最後をしめくくるように咲くのが百花の王、牡丹です。牡丹が咲いたら、春は終わりという合図でもあります。

牡丹は「花王」「富貴花」「花神」とも呼ばれ、花の中の王、そして富や幸福の象徴として古くから尊ばれてきました。たおやかな気品と豪華さを兼ね備えた牡丹は見ているだけで幸せがやってきて、ふわりと広がるかのようです。

牡丹は中国原産ですが、奈良時代に生薬として日本に輸入され、平安時代には観賞用として寺社の庭などに植えられるようになり、江戸時代には庶民の間でも爆発的に流行し、さまざまな栽培品種が生まれて今日にあります。

牡丹の花期は一週間ほどと短く、春の終わりを告げる明快な目安となります。牡丹の花びらがはらはらと散る頃、日本は立夏を迎え、芍薬が咲き始めます。

芍薬も名前の通り、漢方ではおなじみの生薬で芍薬甘草湯などに配合されています。牡丹のつぼみは尖っていますが、芍薬のつぼみはまん丸い球形です。

関連する七十二候