夏至 次候

菖蒲華さく(あやめはなさく)

6月26日〜6月30日頃

梅雨の時期は菖蒲や紫陽花など、青や紫の花が多くなり、雨に濡れると一層鮮やかになり、目にしみるような美しさです。

七十二候の「菖蒲華(あやめはなさ)く」はアヤメ科の花のこと。アヤメは「菖蒲」「文目」「綾目」などさまざまな漢字を使います。花の基部に美しい綾模様が見えるのがアヤメです。端午の節供の菖蒲湯に使われるサトイモ科のショウブは水辺の多年草で、生薬として使われていますが、 別種です。

アヤメ科の花は雨を落とすように大きく垂れ下がる花びらと、鶏冠のように立ち上がる花びらのある複雑な形で、花芯が濡れないようにしっかりと守られています。他の季節の花には見られない独特のデザインです。

アヤメ科の花でいちばん最初に咲くのは名前の通りのイチハツ(一初)で4月下旬から。5月に咲き出すのはアヤメ、ジャーマンアイリス、水辺に咲くカキツバタ(杜若、燕子花)など。そして園芸品種のハナショウブ(花菖蒲)は6月頃から咲き始めます。

七十二候の「菖蒲華(あやめはなさく)」は6月末〜7月初旬ですので、アヤメは終わり、最後に咲くハナショウブ(花菖蒲)が咲いている頃です。

ハナショウブは江戸時代、盛んに色鮮やかな品種が生み出され、江戸系、伊勢系、豊後系など二千種以上もあります。ハナショウブは花を愛でる日本ならではの園芸文化の結晶ともいえます。花の基部に黄色がみえるのが花菖蒲です。ぜひ確かめてみてください。

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