夏至 初候

乃東枯る(なつかれくさかるる)

6月21日〜6月25日頃

日本の夏至は梅雨の最中です。ぐずついた天気になることが多いのですが、この雨こそが田植え後の苗を順当に育て、畑を潤す恵みの雨です。

乃東(だいとう)はシソ科のウツボグサの古名。生薬では夏枯草(かごそう)として古くから知られ、現在も利尿、消炎などの効果を期待して使われています。近縁種の西洋ウツボグサもセルフヒール(Self-Heal)と呼ばれる薬草です。

ウツボグサは円筒状に咲く小さな紫色の花ですが、真夏を迎える頃にその花穂(かすい)が枯れて、茶色になります。ウツボグサの名は、毛羽立ったようにみえる花穂が、弓矢を入れて腰に下げて歩く毛皮の靭(うつぼ)に似ていたことに由来します。枯れるのは花穂だけで、緑の葉はそのまま残っている多年草です。草の勢いが増していく中で、枯れた花穂はよく目立ちます。

ウツボグサは減少傾向にあり、あまり目にすることがないかもしれませんが、ホタルブクロやネジバナなど、毎年出会う草花を季節の指標にしてみてください。

~生きる、72の季節~/乃東枯る